アーケード版『シティボンバー』は、1987年11月にコナミから発売された縦スクロール型のカーアクションゲームです。プレイヤーは悪徳カジノの売上金を奪った怪盗306号となり、ギャングや警察の追っ手を振り切りながら、制限時間内に目的地へ到達することを目指します。本作は、当時のコナミが得意としていた疾走感あふれる演出と、単純なレースゲームの枠を超えた多彩なアクション要素が融合した作品として知られています。
開発背景や技術的な挑戦
1980年代後半のアーケードゲーム市場では、擬似3D技術を用いたドライブゲームが人気を博していましたが、本作はあえて俯瞰視点の2D縦スクロールを採用しています。この視点において、いかにして高速走行の迫力と車の重量感を表現するかが技術的な焦点となりました。コナミは自社のハードウェア能力を活かし、滑らかなスクロールと多数のオブジェクトを同時に処理することで、混雑する都市部の喧騒を再現しました。また、車の挙動においても、単なる移動だけでなく、ジャンプや回転ノコギリといった攻撃的なギミックを搭載するために、複雑な当たり判定とアニメーションの同期が行われています。当時の開発陣は、プレイヤーに映画のカーチェイスシーンを彷彿とさせる緊張感を与えるため、背景の書き込みや敵車両のアルゴリズムに細心の注意を払いました。
プレイ体験
プレイヤーが操作する愛車は、通常の乗用車とは一線を画す特殊車両です。ボタン操作によって車両から翼を展開して障害物を飛び越えたり、前方に取り付けられた回転ノコギリで敵車を破壊したりと、豪快なアクションを楽しむことができます。コース上には、破壊することでパワーアップアイテムを落とす特定の車両が存在し、これらを回収することでミサイルの強化や燃料の補給、さらにはジャンプ距離の延長などが可能になります。単にスピードを出すだけでなく、状況に応じてこれらのガジェットを使い分ける戦略性が、本作のプレイ体験を豊かなものにしています。刻一刻と迫る制限時間の中で、ギャングの執拗な体当たりや道路上の油だまりを回避しつつ、ゴールを目指すスリルは格別です。
初期の評価と現在の再評価
発売当初は、コナミの他の有名タイトルであるシューティングゲームやアクションゲームの影に隠れがちでしたが、独特のカーチェイス設定と爽快な破壊要素は、一部の熱心なプレイヤーから高い支持を得ました。派手なエフェクトやコミカルながらも緊迫感のある演出は、当時のアーケードセンターでも異彩を放っていました。近年では、レトロゲームの移植プロジェクトによって再び光が当てられ、シンプルながらも奥深いゲームデザインが再評価されています。特に、高難易度でありながら何度も挑戦したくなる絶妙なレベルデザインや、FM音源によるアップテンポなBGMが、現代のプレイヤーにとっても新鮮な魅力として受け入れられています。
他ジャンル・文化への影響
本作が提示した「武装した車で敵を蹴散らしながら逃走する」というコンセプトは、その後のアクションドライブゲームというジャンルに多大な影響を与えました。特に、俯瞰視点でのバイオレンスなカーアクションという要素は、後の有名タイトルなどにも通じる先駆的なアイデアであったと言えます。また、コナミ独自のキャッチーなキャラクター性や世界観設定は、ゲームを単なるスコア競い合いの道具から、物語性を感じさせるエンターテインメントへと昇華させる一助となりました。本作で見られたジャンプアクションや武器使用といった要素は、後のレースゲームにおける特殊能力システムの雛形の一つとして数えられています。
リメイクでの進化
オリジナル版の発売から長い年月を経て、本作は最新のゲーム機向けに忠実に移植されています。リメイク版や移植版では、当時のアーケード基板の挙動を再現しつつも、クイックセーブやオンラインランキングといった現代的な機能が追加されました。グラフィック面では、ブラウン管の質感を再現するフィルター設定などが用意され、当時の熱気を今のディスプレイで味わうことができます。また、操作の遅延が極限まで抑えられたことで、オリジナル版以上に繊細なハンドルさばきが求められる高精度のプレイが可能となりました。これらの進化により、往年のプレイヤーは懐かしさを感じ、新しいプレイヤーは当時の技術の粋を快適な環境で体験できるようになっています。
特別な存在である理由
本作が多くのファンにとって特別な存在であり続ける理由は、その「型破りな爽快感」にあります。交通ルールを完全に無視し、障害物を飛び越え、邪魔な敵を粉砕しながら突き進むという背徳的な楽しさは、ストレス解消の手段として完成されていました。また、80年代後半のコナミ特有の、ハードな設定の中に漂うどこかユーモラスな雰囲気も、本作を唯一無二の存在にしています。当時のアーケードゲームが持っていた、短いプレイ時間の中に濃密な興奮を凝縮するという美学が、この一作に見事に体現されています。それは単なる古いゲームではなく、当時の開発者の情熱が直接伝わってくるような、熱いエネルギーを持った作品なのです。
まとめ
アーケード版『シティボンバー』は、圧倒的なスピード感と多彩なガジェットを駆使したアクションが魅力の、カーアクションゲームの傑作です。1987年の発売以来、そのユニークなゲーム性と高い完成度は、多くのプレイヤーを魅了してきました。都市部を舞台にした緊迫のカーチェイスは、今遊んでも色あせることのない興奮を提供してくれます。本作は、コナミの創造性と技術力が結集した一台であり、ビデオゲームの歴史において重要な足跡を残しました。もし、スリリングな走りと爽快な破壊を楽しみたいのであれば、この名作に触れてみることを強くおすすめします。そこには、現代のゲームとはまた異なる、純粋な遊びの楽しさが詰まっています。
©1987 KONAMI