アーケードゲーム版『ホラーストーリー』は、1989年7月に東亜プランからリリースされた横方向強制スクロールのアクションシューティングゲームです。海外版は『Demon’s World(デーモンズ・ワールド)』というタイトルで稼働していました。家庭用ゲーム機への移植としては、1990年12月にPCエンジンのスーパーCD-ROM2向けにNECアベニューから発売されたものが唯一の存在です。近年では、東亜プランのタイトルを復刻するプロジェクトの一環として、アーケード版がPlayStation 4やNintendo Switchなどの現行プラットフォームに収録されたオムニバス形式のパッケージで提供されています。本作は、悪魔やゾンビ、奇怪なモンスターが登場するホラーテイストの世界観と、非常に高い難易度が特徴で、当時のコアなプレイヤーを熱狂させました。
開発背景や技術的な挑戦
当時の東亜プランは、シューティングゲーム開発において一時代を築いていましたが、『ホラーストーリー』では、それまでの縦スクロールシューティングとは一線を画す横スクロール形式を採用し、ホラーというテーマを大胆に取り入れるという新たな試みを行いました。技術的な挑戦としては、大量の敵キャラクターと弾幕をスムーズに動かすための描画処理能力の最適化が挙げられます。また、巨大なボスキャラクターは多関節スプライトによって、迫力と異様な動きを見事に表現しています。美術面では、緻密なドット絵と独特の色彩で、コミカルさとグロテスクさが同居する、唯一無二の悪夢的な世界観を構築しました。この挑戦的なグラフィックとシステムが、本作を単なるシューティングゲーム以上の存在へと押し上げています。
プレイ体験
プレイヤーは、悪魔が支配する世界を舞台に、銃や強力な特殊武器を駆使して進んでいきます。基本的な操作は、移動とショット、そしてボムの使用の3つですが、本作のプレイ体験は、極めて難易度が高いことで知られています。横スクロールでありながら、上下左右から予測不能な攻撃が飛び交い、プレイヤーには瞬時の判断力と高い反射神経が求められます。特に、アーケード版は敵の配置や弾のスピードが非常に厳しく調整されており、1つのミスが即ゲームオーバーに繋がる緊張感が常にありました。しかし、その難しさを乗り越えてステージをクリアしたときの達成感は格別で、この絶妙なゲームバランスが、繰り返し挑戦したくなる中毒性を生み出していました。2人同時プレイが可能であったことも、協力して困難に立ち向かう楽しさを提供していました。
初期の評価と現在の再評価
『ホラーストーリー』の初期の評価は、その高い難易度ゆえに、広く大衆に受け入れられたというよりは、一部の熱心なシューティングゲームファンや東亜プランのファンに強く支持される形でした。当時、アーケードゲームは爽快感とわかりやすさが求められる傾向がありましたが、本作の持つシビアさと異様な雰囲気は、プレイヤーを選びました。しかし、ゲームセンターを離れてレトロゲームとして再評価される現在では、その独創的な世界観と、徹底的に作り込まれたゲームバランスが「カルトクラシック」として再認識されています。特に、その後の東亜プラン作品や、ハードコアなアクションゲームの源流を探る上で、本作の挑戦的なデザインは高い評価を得ています。再評価の動きにより、当時の魅力を現代のプレイヤーが再発見しています。
他ジャンル・文化への影響
『ホラーストーリー』が他ジャンルや文化に与えた影響は、その直接的なフォロワーの多さというより、ホラーとアクションの融合というテーマにおける先進性にあります。日本のゲームにおけるコミカルさとグロテスクさの融合した表現は、後の作品に間接的な影響を与えたと考えられます。特に、ランアンドガンというジャンルでありながら、ステージのギミックや敵の造形にホラー要素を徹底的に盛り込んだ姿勢は、後のゲームデザインにおける表現の幅を広げました。東亜プランという伝説的なメーカーが生み出した異色作として、ゲーム業界の歴史を語る上での独特な存在感を放っており、そのデザイン思想は、多くの開発者に影響を与え続けています。
リメイクでの進化
本作は、1990年のPCエンジン版という家庭用移植版が存在しますが、アーケード版を完全な形でリメイクした作品は、単体としてはリリースされていません。PCエンジン版は、アーケード版とは異なる操作感や、CD-ROM2の容量を活かしたサウンド面での進化が見られましたが、ゲームバランスやステージ構成に違いがありました。現代の技術でリメイクされるとすれば、オリジナル版の持つ高いゲーム性はそのままに、グラフィックのHD化、オンラインでのランキング機能、そして難易度調整オプションの追加などにより、より多くのプレイヤーにその魅力を伝えることができるでしょう。現行機での復刻版収録は、実質的な「再体験」の場を提供しています。
特別な存在である理由
このゲームが今なお特別な存在である理由は、東亜プランというクリエイター集団の独創性と限界への挑戦を体現しているからです。当時流行していたシューティングゲームの枠にとどまらず、新しいジャンルの可能性を探求し、強烈な個性を放つ作品として完成させました。ゴシックホラーとアクションシューティングという異質な要素を見事にまとめ上げ、プレイヤーに強烈な印象を残しました。その挑戦的なゲームデザイン、極めて高い完成度、そして時代を超えて評価され続けるユニークな世界観が、『ホラーストーリー』を日本のアーケードゲーム史における重要な作品の一つとして位置づけています。
まとめ
アーケードゲーム『ホラーストーリー』は、1989年に東亜プランが世に送り出した、ホラーとアクションシューティングを融合させた異色の名作です。PCエンジンのスーパーCD-ROM2への移植版も存在します。非常にシビアな難易度ながらも、緻密に練られたゲームバランスと、独創的でグロテスクな世界観が、コアなゲームファンを魅了し続けています。その挑戦的な精神と高い完成度は、東亜プランのクリエイティビティを象徴しており、現代のゲームファンにとっても、レトロゲームの歴史を語る上で欠かせない特別な作品です。
©1989 Toaplan