アーケード版『ソナーアタック』 光学潜望鏡で狙う初期体感ゲームの魅力

アーケード版『ソナーアタック』は、1968年に株式会社さとみ(英表記Samy、現在のサミー)が開発・発売したエレメカ(エレクトロメカニカル)ゲームです。潜望鏡を覗きながら敵艦に魚雷を発射するシンプルな光学式仕様で、潜水艦シューティングゲームとして人気を博しました。

開発背景や技術的な挑戦

当時、セガや中村製作所、三共といったメーカーが「ペリスコープ」シリーズの潜望鏡型ゲームで市場を開拓しており、さとみもこの潮流に乗り参入しました。光学レンズと照明機構を手作業で調整し、リアルな潜望視点や魚雷発射インターフェースを実現するには高い精度が求められました。当時としては筐体内の配線や電球の配置も試行錯誤が多く、アナログ機構と電子設計の両立が課題でした。

プレイ体験

プレイヤーは潜望鏡を覗き、上下左右に浮かぶ敵艦を狙って魚雷ボタンを押します。魚雷は合計8発程度で、使い切ると終了。弧を描いて動く敵艦を適切なタイミングで撃沈することがスコアの鍵です。遠くにいる敵ほど高得点ですが、深い距離感と光学の揺らぎで狙いづらく、照準が外れることもしばしばでした。そのため、初見では連続命中より空振りが続き、魚雷を温存するプレッシャーが強く印象的でした。

評価の変化

発売当初はそのリアルな潜望鏡機構と、射撃の緊張感が高く評価され、アナログゲームとして珍しい照準型シューティング体験を提供していました。現在では、デジタルシューティング全盛の中、光と影を巧みに活かしたゲーム性が懐かしむ声を集め、エレメカ文化の代表的存在として再評価されています。

他ジャンル・文化への影響

『ソナーアタック』をはじめとする潜望鏡ゲームは、アナログによる没入体験を追求し、後の光学メカを活かしたシューティングゲームや体感型筐体の先駆けとなりました。レトロゲーム収集家からは、エレメカの遺産として愛好されており、現在のリアル系VRゲームにも通じる「視点の没入性」という要素で文化的な連続性を持ちます。

リメイクでの進化

現代にリメイクするなら、光学機構をVRヘッドセットに置き換え、照準レティクルやサウンドエフェクトを強化することで、当時の体験をそのままに没入感を高められます。敵艦のバリエーションや難易度選択、オンラインランキング連携を加えることで、1968年のアナログ趣味を現代ユーザーに響かせる作品になりえるでしょう。

特別な存在である理由

筆者としては、『ソナーアタック』が特別なのは、そのシンプルな機構の中に“潜望鏡を通して敵を見つけて撃つ”という操作感がしっかりと実体験として残る点です。この明快で直感的な設計には、半世紀前でも今も変わらないゲームの根源的魅力があります。

まとめ

『ソナーアタック』は、光学と機械、照明を駆使した初期の潜望鏡型エレメカシューティングゲームです。リアルな潜望鏡視点と魚雷射撃の緊張感は、今なお多くのファンに愛され続けています。リメイクによってその魅力はさらに広がる余地があり、アナログ体験のノスタルジーを現代でも楽しめる名作として位置付けられます。

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