1987年、ゲームセンターの薄暗い空間に響く軽快なメロディと共に、スクリーンには鮮やかなビジュアルが映し出されていました。プレイヤーたちは、未知の超能力を操る高校生、麻宮アテナと椎拳崇の冒険に胸を躍らせ、コントローラーを握りしめていました。『サイコソルジャー』は、そんな時代の象徴的な存在として、多くのゲーマーの心を掴んでいました。
開発背景や技術的な挑戦
『サイコソルジャー』は、1987年3月にSNKから発売された強制横スクロールのアクションシューティングゲームです。前作『アテナ』の続編として位置付けられ、当時のゲーム業界において革新的な試みがなされました。特に注目すべきは、ゲーム内で肉声によるボーカル音声をBGMに採用した点で、これは「業界初の歌うゲーム」として話題を集めました。日本国内版では日本語、海外版では英語のボーカルが流れ、いずれも当時アイドルだった清水香織氏が歌唱を担当しています。技術的には、FM音源とADPCM音源を組み合わせることで、音楽とボーカルを同時再生することに成功しました。
プレイ体験
ゲームは8方向レバーと2つのボタンを使用し、プレイヤーは麻宮アテナまたは椎拳崇を操作します。強制スクロールするフィールド内で、敵を倒しつつ進むシステムは、カプコンの『ソンソン』を彷彿とさせますが、アイテム取得によるキャラクター強化や、崩壊後の世界を舞台とした退廃的な世界観が独自性を持たせています。特に、サイコエネルギーを溜めて放つ「サイコボール」や、特定のアイテムで変身する「サイコクリーチャー」など、多彩な攻撃方法がプレイヤーを魅了しました。
初期の評価と現在の再評価
稼働当初、『サイコソルジャー』はその革新的な音楽表現とゲーム性で注目を集めました。特に、ボーカル入りBGMは他のゲームと一線を画す特徴として評価されました。時を経て、現代においてもレトロゲームファンの間で再評価が進み、2019年にはPlayStation 4やNintendo Switch向けに『アーケードアーカイブス サイコソルジャー』として配信され、新たな世代のプレイヤーにもその魅力が伝えられています。
他ジャンル・文化への影響
『サイコソルジャー』の主人公である麻宮アテナと椎拳崇は、その後のSNKの人気格闘ゲーム『ザ・キング・オブ・ファイターズ』シリーズにも登場し、多くのファンに親しまれています。特に麻宮アテナは、シリーズを通じてデザインの変更や新たな設定が加えられ、SNKの象徴的なキャラクターの一人として確立されています。
リメイクでの進化
現代にリメイクされる場合、グラフィックの高解像度化やサウンドのリマスターはもちろん、オンライン協力プレイの導入や、新たなステージ・キャラクターの追加が期待されます。また、オリジナル版の持つ独特の世界観やゲーム性を尊重しつつ、現代のゲームデザインに合わせた調整が求められるでしょう。
まとめ
『サイコソルジャー』は、1987年に登場した革新的なアクションシューティングゲームであり、ボーカル入りBGMや独自のゲームシステムで多くのプレイヤーを魅了しました。現代においても、その影響力は色褪せることなく、新たなプラットフォームでの再登場や関連作品でのキャラクター展開を通じて、多くのファンに愛され続けています。
攻略
プレーヤーは、「二人の光の戦士」に選ばれたサイコソルジャー、麻宮アテナと椎拳崇として、世界を闇から救うための旅に出ます。ステージは全6面構成で、各ステージの最後にはボスが待ち構えています。ボスを撃破すると、次のエリアへと進んでいきます。
操作方法
操作は8方向レバーでキャラクターを動かし、ボタン1でサイコ・ビームを、ボタン2でサイコ・ボールを発射します。ボスを撃破した後は、再びスクロールが始まり、パワーアップアイテムを補給する中間地点を経て次のエリアへと進んでいきます。
ストーリー設定
このゲームのストーリーは、数千年の封印から目覚めた異種生物・屍愚魔の魔の手により闇に包み込まれた世界に、麻宮アテナと椎拳崇という二人の戦士が現れます。太古の予言に詠われた「二人の光の戦士」に選ばれた二人は、屍愚魔を滅ぼし世界に光を取り戻すため、超能力「サイコパワー」を武器に果てしない戦いに旅立ちます。
ゲームシステム
全6面構成、残機制、即死性、1周エンドという形式を採用しています。敵や敵弾、障害物に接触すると1ミスとなり、すべての残機を失うとゲームオーバーです。ミス後は一定時間の待機状態となり、その場で復帰しゲームが継続されます。このゲームでは、ゲームオーバー後のコンテニュー表示中にクレジットを投入することでコンテニューが可能です。
基本攻撃
基本攻撃として「サイコ・ビーム」が存在します。これは、通常状態での攻撃方法で、Aボタンで発射できます。3段階まで強化することが可能ですが、ヒビの入っていない壁を破壊するには最大3回当てる必要があります。なお、移動しながらの射撃はできません。
パワールーム
パワールームはアイテムボックスに相当するオブジェクトで、これを通過することでキャラクターの攻撃力を強化することができます。破壊可能な壁の中に隠されていたり、壁が存在しない特定の地点に自動的に出現したりします。パワールームには「エレクトロ・ルーム」「エナジー・ルーム」「サイコ・ルーム」「マイナス・ルーム」の4種類が存在し、それぞれ主攻撃の威力強化、サイコエネルギーの増加、サイコボールの補給、サイコエネルギーの減少といった効果があります。
ルーム名 | 概要 |
---|---|
エレクトロ・ルーム | 主攻撃であるサイコ・ビームの威力を強化する。ビームは緑→青→赤の順に威力が上昇し、赤に到達すると利用できなくなる。 |
エナジー・ルーム | サイコエネルギーを4ゲージ追加。MAX状態の時は利用できない。 |
サイコ・ルーム | サイコボールを補給。所持数最大や変身中など一部状態では利用不可。 |
マイナス・ルーム | サイコエネルギーを8ポイント減少させる。通過するたびにエネルギーを失う。 |
アイテム
ゲーム内には様々なアイテムが存在し、その中で主要なものは「サイコ・ボール」「サイコ・ソード」「クリア・ポイント」「フル・ポイント」「タケノコ」「UFO」「風船」「トランプ」「タマゴ」「チェンジ・アイテム」「ターゲットポイント」「敵の進化・退化」「ガイコツ」「スペシャル・アイテム」などがあります。これらのアイテムはゲーム内で特定の操作や状況下で利用でき、ステージ進行やスコアアップ、特殊能力の使用、変身などに活用することができます。
アイテム | 効果 |
---|---|
サイコ・ボール | 必殺技発動に使用。4個セットで旋回し、敵弾を防ぐ効果もある。 |
サイコ・ソード | 近接攻撃。壁や敵弾を破壊し、約64回使用可能。 |
クリア・ポイント | 画面上の敵を一掃し、パワーアップアイテムに変化させる。 |
フル・ポイント | サイコエネルギーがMAXになる。 |
タケノコ | 破壊するとアイテムが出現。通過で一時的に操作不能になる。 |
UFO | 得点アイテム。取得高さでスコア変化。 |
風船 | 得点アイテム。高得点取得でトランプが出現しやすくなる。 |
トランプ | 1UPアイテム。 |
タマゴ | スペシャルアイテムか敵が出現。 |
チェンジ・アイテム | 1Pと2Pの装備を入れ替える。2人プレイ専用。 |
ターゲットポイント | 取得者に攻撃集中。2人プレイ専用。 |
敵の進化・退化 | 敵の進化または退化を促す。 |
ガイコツ | 装備・サイコエネルギーを全て失う。 |
スペシャル・アイテム | 変身可能。攻撃方法や耐久性が変化し、無敵化などの効果がある。 |
必殺技
必殺技はサイコ・ボールを1つ消費して発動し、サイコ・エネルギーの量により5種類の技「天地炸裂弾」「反復爆裂弾」「縦横無尽玉」「爆進直列弾」「飛翔撃滅弾」が使用可能になります。さらに、サイコ・エネルギーが最大かつサイコ・ボールが12個以上所持している場合、「究極奥義弾」を使用することができます。
必殺技 | エネルギー | 効果 |
---|---|---|
天地炸裂弾 | 0-4 | 着弾点で上下に分裂する。 |
反復爆裂弾 | 5-8 | 前後に跳ね返る。 |
縦横無尽玉 | 9-12 | 45度に跳ね返る。 |
爆進直列弾 | 13-16 | 一直線に貫通。 |
飛翔撃滅弾 | 17-20(MAX) | 2つに分裂し、蛇行して貫通。 |
究極奥義弾 | MAX+12以上 | 渦状に広範囲を攻撃。全サイコ・ボールを消費。 |
プレイアブルキャラクター
『サイコソルジャー』のプレーヤーキャラクターとして選べるのは、麻宮アテナと椎拳崇の2人です。性能差はなく、彼らの間には主な違いはスペシャルアイテムを取った際の変身形態だけです。
麻宮アテナ
麻宮アテナは、1P側のキャラクターであり、16歳の女子高生です。彼女はごく普通の女子高生として過ごしながらも、生まれつき超能力を持つ特異な存在です。彼女の超能力はまだ不完全な状態で、その能力を最大限に引き出すためには歌を歌うことが必要です。アクションゲーム『アテナ』の主人公であるアテナ姫の子孫で、超能力は先祖代々受け継いできたものです。スペシャルアイテムを取った際には火の鳥に変身します。
椎拳崇
椎拳崇は、2P側のキャラクターで、麻宮アテナのパートナーである中国人です。彼は中国拳法の達人で、その超能力は厳しい修行によって後天的に身につけたものです。アテナからは「とっても頼れる助っ人」と評されており、彼女を「アテナはん」と呼ぶことで親しみを表現しています。スペシャルアイテムを取った際には、龍に変身します。
敵キャラクター
ゲームには進化・退化する敵キャラクターと独特のステージボスが存在します。昆虫、モグラ、魚、トカゲ型の敵キャラクターが各々進化し、特徴的な攻撃を行います。ステージボスはビルや岩壁に巣食う形で登場し、最終ボスは全敵の創造主で強力な攻撃と高い体力を持ちます。
通常の敵
敵 | 特徴 |
---|---|
メゾ・ゼール | 昆虫のような姿の幼生体。丸まって突進してくる。 |
メギド・ゼール | 進化体。体が一回り大きくなる。 |
ルメギド・ゼール | 最終形態。飛行して弾を放つ。 |
モグ・ゴルゴ | 地中移動のモグラ型。障害物無視で移動。 |
ガル・ゴルゴ | 岩の猿型。頭部を投げて攻撃。 |
バルガ・ゴルゴ | サイ型で電撃を放ち突進する。 |
ギド・ラゴス | 魚型の第1形態。進化でミド・ラゴス。 |
ミド・ラゴス | 半漁人で段上から攻撃。 |
アル・ドラゴ | トカゲ型の第1形態。 |
ダフ・ドラゴ | 進化形態で弾を放つ。 |
ゲルド・ドラゴ | 最終形態。飛行して弾を放つ。 |
ドロド・コーガ | マグマから出現し体当たり。 |
ゼブ・シグマ | 破壊時に破片が飛散。 |
グラ・シグマ | 漂いながら接近してくる。 |
ビビ・シグマ | 張り付いて攻撃してくる。 |
ウゾウ・ムゾウ | 編隊で飛来する小型敵。 |
ダフ君 | ゾンビ。変身中に倒すと変化することがある。 |
モーム | タマゴから出現。進化してメゾ・ゼールになる。 |
ボスキャラクター
通常のステージボスは、プレーヤーが進むステージの最後に現れる強力な敵キャラクターです。ステージボスを倒すことでステージをクリアすることができますが、第3面まではボス本体の撃破だけでなく、背後の壁を破壊することでもクリア可能です。
キャラクター | 特徴 |
---|---|
ゼール・ゼブブ | 第1面のボス。ビルの窓から飛び出してくる。10匹倒すとクリア。 |
ドラ・ゴーン | 第2面のボス。龍の姿をしており、首を伸ばして攻撃。 |
ゴルゴ・メカベ | 第3面のボス。巨大な眼球を放り投げて攻撃。稀にアイテムに変化。 |
ラゴス・アゴン | 第4面のボス。魚型。弾と体当たりで攻撃。3体登場。 |
マ・グローン | 第5面のボス。巨大な青い顔を守りながら移動・攻撃。 |
シグ・ド・ダビデ | 最終ボス。長い首と高い体力でプレイヤーを追い詰める。 |
エンディング
最終ボスを倒すとエンディングが表示されます。エンディング時のメッセージは次の通りです。
YOU DID IT!
CONGRATULATIONS!
IT WAS THE HARD AND
PAINFUL FIGHT.
HOWEVER, THE ENEMIES
CAUSED THE DARKNESS TO
THE WORLD WERE DEFEATED
BY THE BRAVE WARRIORS,
AND THE WORLD GOT BACK
THE LIGHT NOW.
LISTEN CAREFULLY!
YOU WILL HEAR ATHENA
SINGING FOR THE VICTORY
THIS FIGHT WILL BE
CLEARLY REMAINED IN
EVERYONE’S HEART FOR
EVER AND EVER.
GOODBY, ATHENA.
SEE YOU AGAIN!
WE, ALL OF STAFFS,
RESPECT YOUR SPIRIT
AND SKILL TO HAVE
CONQUERED THIS HARD
ADVENTURE, THANK YOU!
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