アーケード版『サイバーリップ』分岐と協力で進化したラン&ガン戦記

アーケード版『サイバーリップ』(Cyber‑Lip)は、1990年11月にSNKより稼働開始され、翌1991年7月にNeo Geo AES向けにも発売されました。ジャンルはラン&ガンアクションで、開発・販売ともにSNKが手がけた、2人協力プレイ対応のシューティング作品です。

開発背景や技術的な挑戦

アーケード初期のシューティング制作として、複数ルート選択可能なステージ構造や限られた弾薬管理など、プレイヤーに戦略を要求する工夫がなされています。また、MVS基板(MC68000+Z80、YM2610、4096色)の性能を活かし、大型ボスや背景の多重スクロール描写を豊かに表現しました。

プレイ体験

プレイヤーは射撃ボタンで通常武器、爆弾ボタンで強力な武器を使用し、ステージ途中に出るエレベーターで上か下を選択して分岐ルートに進みます。ボス戦では弱点部への集中攻撃が有効で、武器の切替・回数管理など緊張感のある戦いが展開されます。2人協力プレイは、連携次第で攻略難度が大きく変わり、高い戦略性を楽しめます。

評価と再評価

稼働当時、日本でGame Machine誌にて4位、北米でもRePlay誌で12月に新作トップ、翌1月に6位にランクインするなど、商業的成功を収めました。しかし批評では「コントロールの硬さ」や「音楽・演出の平凡さ」が指摘され、“Contra系”タイトルと比べると見劣りするとする評価もありました。近年では「多ルート」「協力プレイ」「エンディング演出」が再評価され、ファンの関心が再び高まりつつあります。

他ジャンル・文化への影響

“Contra系”ラン&ガンに戦略的分岐要素を加えた本作は、その後のSNK製シューティングに影響を与えました。また、メタルスラッグ開発メンバーらの初期経験にもなり、後年の名作へと繋がる端緒となりました。

リメイクでの進化

現代リメイクでは、操作レスポンスの向上、BGM・音声再収録、オンライン協力プレイ搭載、分岐ルートの固定化と新ルート追加などが望まれます。さらに武器の種類を増やし、爆薬類の演出を強化すると、戦略性もより深まるでしょう。

まとめ

『サイバーリップ』は商業的成功と批評の両面で賛否両論だったものの、分岐と協力プレイによる戦略性が光る作品です。派手さでは他タイトルに及ばないものの、エンディングの演出や再プレイ性は現代にも通じる魅力があります。

© SNK CORPORATION 1990