アーケード版『コズミックアドベンチャー』は、1981年にユニバーサルによって開発・発売された横スクロールシューティングゲームです。セミオートで強制スクロールする戦闘ステージを特徴とし、UFOや戦車、ミサイルなど多彩な敵を破壊しながら進む高難度のアーケード体験を提供しました。
開発背景や技術的な挑戦
当時、コナミの『スクランブル』や『スーパーコブラ』に続いて強制スクロール方式のシューティングが注目されていました。その波に乗り、『コズミックアドベンチャー』はユニバーサル版の“横スクロールシューティング第一世代”として誕生しました。ユニバーサルの8106基板を採用し、シームレスに移り変わる複数エリアの展開や、地上・空中を問わず登場する多様な敵キャラクター制御など、当時としては挑戦的な処理が盛り込まれました。
プレイ体験
プレイヤーはアベンジャーという宇宙戦闘機を操縦し、画面上部のレーダーを頼りに敵を撃破して進みます。3ステージ構成で、最初の都市エリアから海中洞窟へと繋がる緻密な地形デザインが緊張感を生み出します。一番印象的だったのは、地下エリアで後方スクロールに変わるシーン。地上戦のハードさから一転、洞窟内の狭隘な通路での敵迎撃は手に汗握る展開でした。被弾やクラッシュでミスになりやすく、一瞬の判断ミスが命取りになる緊張感がクセになります。
初期の評価と現在の再評価
アーケード稼働当初は「万人向けの大ヒット」には至りませんでしたが、家庭用ColecoVision移植版で高評価を獲得し再評価されました。移植版ではグラフィックやサウンド、操作性が好評で、アーケードでは難しすぎた部分が家庭用で調整され、より遊びやすくなった点がプレイヤーから支持されました。今では「初期シューティングの名作」としてレトロゲームファンに根強い人気があります。
他ジャンル・文化への影響
『コズミックアドベンチャー』は業界全体に横スクロールシューティングの可能性を示し、後の『ヴァンガード』や各種海外シューティングへの影響を与えました。特にステージごとに異なる地形とギミックを用意する構成は、その後のジャンル標準となる一端を担ったと言えます。
リメイクでの進化
もし現代にリメイクされるなら、フル3D化されたシームレスステージ、リアルタイムに変化する環境エフェクト、マルチプレイヤー協力モード追加などが考えられます。またステージ構成を増やし、ボス戦や分岐ルートを実装すれば、当時の緊張感と操作性の良さを保ちながらリプレイ性も高められるでしょう。
特別な存在である理由
本作は、横スクロールシューティング黎明期において技術的挑戦と緻密なレベルデザインを追求した点が評価に値します。家庭版で再評価され、今なおコアなファンを魅了し続けているのは、ゲーム性の絶妙なバランスと上達の実感をプレイヤーに与える設計のおかげです。
まとめ
『コズミックアドベンチャー』は、強制スクロールシューティングの先駆けとして、挑戦性と空間演出を両立した稀有な作品です。アーケードから家庭用に渡ったことでその魅力が広まり、今もなお多くのレトロシューター愛好者に支持されています。時代と共に再評価される古典として、その価値は今後も色あせません。
© 1981 ユニバーサル