アーケードゲーム版『ボンジャックツイン』は、1993年12月にテクモから販売され、NMKが開発を手がけたジャンプアクションゲームです。元祖『ボンジャック』のゲーム性を踏襲しつつ、タイトルが示す通り、2人同時プレイを可能にした続編として登場しました。プレイヤーは主人公のジャックまたは妹のプリマを操作し、ステージ内の爆弾を全て回収することが目的となります。ドットイート系のシンプルなルールながら、独自のジャンプ操作や、火の玉に変わる特殊な爆弾の存在、さらに2人で協力または競い合う要素が加わり、オリジナルの楽しさを拡張した作品となっています。
開発背景や技術的な挑戦
『ボンジャックツイン』が開発された1993年という時期は、アーケードゲーム市場において対戦格闘ゲームが隆盛を極めていた時代です。そのような中で、NMKは、シンプルなアクションゲームとして根強いファンを持つ『ボンジャック』シリーズの新作を、新たな要素を加えて投入しました。最大の挑戦は、やはりツインの名を冠する2人同時プレイの実現でしょう。オリジナルのゲームは基本的に1人用であったため、画面内での2人のプレイヤーの動き、敵の配置と挙動、そしてスコアやアイテムの配分といったマルチプレイヤーならではの調整が求められました。また、当時の技術でスムーズな動作と、前作以上に鮮やかなドット絵の表現、そして軽快なBGMを実現することも重要な課題でした。特に、2人同時プレイにおけるゲームバランスの調整は、プレイヤー同士の協力や妨害といった駆け引きを意図的に生み出すために、綿密に行われたと推測されます。
プレイ体験
本作のプレイ体験は、初代『ボンジャック』の爽快なジャンプアクションと、2人同時プレイによる新たな戦略性が核となっています。プレイヤーは、独特の慣性を持つジャンプ操作を駆使して、画面内を縦横無尽に飛び回り、配置された20個の爆弾を回収していきます。爆弾を回収する順番は自由ですが、最初の爆弾を取った後に、特定の順番(連鎖)で回収することでスコアボーナスが得られる要素があり、高得点を狙う上での戦略的な面白さがあります。ステージ内に1つだけある火の玉の爆弾を取ると、他の爆弾が全て火の玉に変わり、これらをまとめて取ると大量得点が得られるため、この火の玉をどのタイミングで取るかが重要な判断となります。2人同時プレイでは、1人が敵を引きつけ、もう1人が爆弾回収に専念するといった分担プレイが可能となり、協力して高得点を目指す楽しさがあります。一方で、爆弾ボーナスやアイテムの取り合いといった競争要素も存在し、ハイスコア争いを熱く盛り上げます。操作のシンプルさと、奥深いスコアリングシステムが融合した、中毒性の高いアクションが魅力です。
初期の評価と現在の再評価
『ボンジャックツイン』の初期の評価は、オリジナル版のファンからは概ね好意的に受け入れられたと考えられます。特に、2人同時プレイという新要素は、当時のアーケードの賑わいと相まって新鮮な遊びを提供しました。初代のシンプルながら奥深いゲーム性を保ちつつ、新しい刺激が加わったことは評価点です。しかし、時代が対戦格闘ゲームの全盛期であったため、他のゲームジャンルと比較すると、その注目度は限定的であった側面もあります。現在の再評価においては、レトロゲームブームの中で、良質なアクションゲームとして改めて注目されています。特に、2人プレイに対応した名作として、友達や家族と一緒に遊ぶ楽しみを再発見するプレイヤーも多いです。また、NMK特有の緻密なドット絵や、耳に残るキャッチーなBGMなど、当時のアーケードゲームの雰囲気を色濃く残している点も、現在のプレイヤーからの評価を高める要因となっています。移植作品が少ないため、アーケード版ならではの体験価値が高いことも、再評価のポイントです。
他ジャンル・文化への影響
『ボンジャックツイン』は、そのルーツである『ボンジャック』シリーズ全体として、後のアクションゲームやドットイート系ゲームに影響を与えています。特に、爆弾を順番に取るとボーナスというスコアリングシステムは、単に敵を倒したりアイテムを取ったりするだけでなく、アイテム回収に戦略性を持たせるという点で、独自のゲームデザインとして評価されます。このシステムは、後の多くの面クリア型アクションゲームにおけるルート構築やスコアアタックの概念に、間接的ながら影響を与えたと考えられます。また、2人同時プレイで協力と競争が共存するスタイルは、その後のアーケードにおける対戦要素のない協力プレイのモデルの1つとなりました。ゲーム以外の文化への直接的な影響は大きくありませんが、レトロゲームとしての再評価を通じて、その軽快なアクション性や中毒性の高いゲームサイクルが、現代のインディーゲーム開発者などにインスピレーションを与えている可能性はあります。
リメイクでの進化
『ボンジャックツイン』自体は、現在のところ大規模なリメイク作品は発売されていません。しかし、シリーズの原点である『ボンジャック』は、ファミコン版『マイティボンジャック』やその他のプラットフォームへの移植版が存在しており、それぞれのバージョンで独自の進化を遂げています。特に『マイティボンジャック』は、アクション要素に加えてアドベンチャー要素や隠し部屋といったRPG的な要素が導入され、ゲーム性が大きく変化しました。もし『ボンジャックツイン』が現代にリメイクされるとすれば、オリジナルの2人同時プレイを活かしつつ、オンライン協力プレイや対戦モードの追加、高解像度化された美麗なドット絵、そして新たなステージやギミックの導入などが期待されます。特に、オンラインでのハイスコアランキング機能は、本作の持つスコアアタックの面白さをさらに引き立てるでしょう。リメイクはされていませんが、その基本となるゲームデザインの質の高さから、現代の技術で蘇ることを望むプレイヤーの声は根強く存在しています。
特別な存在である理由
『ボンジャックツイン』が特別な存在である理由は、初代『ボンジャック』の完成されたゲーム性を2人プレイで拡張した点にあります。シンプルなルールでありながら、爆弾の回収順序によるボーナスシステム、火の玉による逆転要素、そして独特の慣性を持つジャンプ操作は、プレイヤーに簡単には極められない奥深さを提供します。その上で、2人同時プレイという要素は、協力と競争のジレンマを生み出し、プレイヤー間のコミュニケーションを促進しました。アーケード全盛期において、友人や見知らぬ人と協力して大金を獲得したり、あるいは熾烈なスコア争いを繰り広げたりした経験は、当時のプレイヤーにとって忘れがたい思い出となっています。また、開発元のNMKが手がけた作品特有のアーケードらしい硬派な難易度と確かな作り込みも、本作が単なる続編に留まらない、アクションゲームとして高い評価を得ている所以です。
まとめ
アーケードゲーム『ボンジャックツイン』は、元祖『ボンジャック』の持つ中毒性の高いジャンプアクションと戦略的なスコアリングシステムを基盤に、2人同時プレイという大きな進化を遂げた傑作です。爆弾の連鎖ボーナスや火の玉を利用した大量得点の爽快感は、今なお色褪せることがありません。協力プレイによる攻略の楽しさと、ハイスコアを巡る競争の熱狂が、当時のゲームセンターで多くのプレイヤーを魅了しました。技術的な挑戦としては、2人プレイ時のバランス調整やスムーズな動作の実現があり、NMKの確かな開発力が光ります。移植作品は少ないものの、そのシンプルかつ奥深いゲーム性は、レトロゲームファンから特別な愛着を持って語り継がれており、アクションゲームの歴史において重要な位置を占める作品と言えます。
©1993 テクモ

