X68000版『あすか120% BURNING Fest.』は、1994年4月にファミリーソフトから発売され、開発はフィルインカフェによる対戦格闘ゲームです。全編女性キャラクターによるクラブ代表同士の格闘大会「部対抗予算争奪メガファイトトーナメント」が舞台で、ストーリーモードやVS対戦モードなどを備え、格闘ゲームとしての操作体系・必殺技・ゲージシステムなどが特徴です。価格は定価7,800円(税別)で、MIDI対応音源にも対応していました。
開発背景や技術的な挑戦
『あすか120% BURNING Fest.』は、対戦格闘ジャンルがアーケードおよび家庭用ゲーム機で盛り上がっていた時代に、パーソナルコンピュータX68000上でリリースされた作品です。開発はフィルインカフェが担当し、グラフィックやサウンド周りで当時のパソコン環境を活かすことが求められました。
X68000版ではMIDIやRoland SC-55・ヤマハTG-100などの外部音源機器への対応があり、音楽品質の向上が図られています。また、操作はレバー8方向+2ボタン型を基本とし、動きや中断技(キャンセル)など、当時の格闘ゲームとしては先進的な要素も取り入れられています。
プレイ体験
プレイヤーはまずストーリーモードでキャラクターを選び、残る5人を順に倒していくことになります。各キャラクターには所属する部活動があり、それぞれの特徴的な技やモーションが存在します。
対戦操作は基本技(小攻撃・大攻撃)、特殊技、投げ技などを駆使します。特殊ゲージがあり、100%に達すると特殊技が使えるようになり、それを超えて120%になると「バーニング」状態となり、一定時間スーパー技が連発できるなどの有利な状態になります。
また、一部の攻撃を同時に繰り出したときに「クラッシュ」(攻撃がぶつかる)するシステムがあり、クラッシュ状態ではダメージが発生せず、そこから別の技や投げ、動きで切り返すことが可能という特徴があります。
初期の評価と現在の再評価
発売当時は、女性キャラクターだけを揃えたことや、キャラクターのビジュアル、サウンド面での派手さや大胆なコスチュームなどが注目を浴びました。対戦格闘ゲーム市場でのインパクトや話題性があったのです。
現在ではレトロゲームファンや格闘ゲームファンの間で、操作性やシステムの独自性、キャラクターデザインなどが再評価されています。特に「120%ゲージ」や「クラッシュ」、キャラクター間の個性などが、後のアニメ系格闘ゲームへの影響として言及されることもあります。
他ジャンル・文化への影響
この作品は「ギャル格闘ゲーム」(女性キャラクター中心の対戦格闘ゲーム)の初期の成功例とされ、以降の同種ジャンルに影響を与えました。アートスタイル、コスチューム、キャラクターの動きなど、アニメやマンガの影響を強く受けたデザインが特徴です。また、後続作品においてバランス調整やシステム拡張が行われ、それによってファンコミュニティでの競技性や対戦性が深められました。シリーズの人気が続いたことで、ドラマCDや小説などのメディアミックス展開も行われました。
リメイクでの進化
X68000版はシリーズの第1作目ですが、その後『あすか120% エクセレント BURNING Fest.』『マキシマ』『スペシャル』『リミテッド』などのバージョンがリリースされ、家庭用機や他ハードでの移植および改良が施されてきました。改善点としてはグラフィックの向上、音声や声優の起用、キャラクターの追加、必殺技やシステムの見直し、操作性の向上などがあります。新しいハードの性能を活かした演出強化も大きなポイントです。
特別な存在である理由
『あすか120% BURNING Fest.』が特別である理由はいくつかあります。全員が女性キャラクターで構成され、かつキャラクターごとに所属クラブと戦い方に特色がある点は当時では珍しいものでした。さらに特殊ゲージが100%から120%へと変化し、バーニング状態に突入することで超必殺技を連発できる仕組みは、戦略性と盛り上がりを両立していました。
また、クラッシュやキャンセルといった駆け引きを重視した要素を持っていたことは、単なる格闘ゲームの模倣ではなく独自性を際立たせるものでした。X68000というハードで高品質なサウンドやグラフィックを実現したこと、さらにその後のシリーズ展開で人気を確立したことからも、歴史的に重要な作品であるといえます。
まとめ
『あすか120% BURNING Fest.』(X68000版)は、1994年当時、女性キャラクター中心の構成、クラブ対抗という独自の設定、120%ゲージやクラッシュなどを盛り込んだシステム、音楽や演出へのこだわりといった要素を備えた作品です。格闘ゲームとしてのプレイ感覚、キャラクターの個性、ストーリーモードなどの要素が組み合わさり、長く愛される理由となっています。
©1994 ファミリーソフト