アーケード版『バルガス』 カプコン初の縦スクロールSTG誕生秘話

バルガス

アーケード版『バルガス』は、1984年5月にカプコンから稼働開始された縦スクロールシューティングゲームです。カプコン初のアーケードゲームとして登場し、ディレクター兼キャラクターデザインを藤原得郎氏が担当し、プログラムを有馬俊夫氏、音楽を森安也子氏が手掛けました。

開発背景や技術的な挑戦

本作は、カプコン初の業務用ゲームとして、コナミから移籍したスタッフを中心に開発されました。8方向レバーと2ボタン(ショット、キャノン砲)によるシンプルながらも思考を要する操作体系を採用し、スクロール中に左右にも画面移動できる広がりのある演出で、当時としては高度な自由感を演出しました。

プレイ体験

プレイヤーは自機を操作し、小型の敵を主砲で撃破、大型の敵や編隊にはキャノン砲を使用して一撃で倒すことが可能です。キャノン砲はストック制で、POWアイテムで補充できます。またS、D、Eアイテムの取得によって敵の速度や弾速、出現数を一時的に抑えることができる仕様も備えています。さらに“佐吉”という特殊アイテムも存在し、戦略的なスコア稼ぎが可能です。

初期の評価と現在の再評価

1984年6月には日本のアーケードで人気タイトルの一つに挙げられました。当時も概ね好意的な評価を受け、現在ではカプコンの原点としてシューティングジャンルにおける礎を築いた作品として、レトロゲームファンや業界関係者から高く評価されています。

他ジャンル・文化への影響

本作に登場したPOWアイコンやキャラクター“弥七”は、後の『1941』や『エグゼドエグゼス』などに継承され、カプコン作品の重要な要素となりました。

リメイクでの進化

直接的なリメイク版は存在しませんが、1998年にはPlayStationやセガサターン向け「Capcom Generation 3」、2005年には「Capcom Classics Collection」などのコンピレーション作品に収録され、2021年には「カプコンアーケードスタジアム」で復刻されて幅広いプラットフォームで遊ばれるようになりました。

特別な存在である理由

本作はカプコン初の業務用ビデオゲームという企業としての原点を象徴する作品です。簡素なゲーム性の中に、後のカプコン作品に受け継がれるデザイン哲学が凝縮されており、一作目から高い完成度を持っていた点が特筆されます。

まとめ

アーケード版『バルガス』は、1984年に登場したカプコン初のシューティングゲームとして、操作性、戦略性、視覚的演出によって高い完成度を実現しています。POWや佐吉などのユニークなシステムは、後のシリーズに繋がる基礎であり、現在でもカプコンの歴史を語る上で欠かせない作品です。

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