アーケード版『ゴーストバスターズ』は、1987年にデータイーストから発表されたアクションシューティングゲームです。同名の人気アニメシリーズ『ザ・リアル・ゴーストバスターズ』を題材としており、国内では『迷宮ハンターG』というタイトルで稼働していました。Gはゴーストバスターズの頭文字から取られています。プレイヤーはゴーストバスターズのメンバーとなり、プロトンパックを駆使してゴーストを捕獲していく、ステージクリア型のゲームです。最大で3人同時プレイが可能なバージョンも存在し、当時のアーケードゲームとしては珍しい協力プレイに特化したシステムが特徴の一つでした。コミカルなゴーストや、映画でお馴染みのアイテムが登場するなど、世界観の再現に力を入れた作品となっています。
開発背景や技術的な挑戦
1980年代後半は、映画やアニメーションの人気コンテンツをゲーム化する流れが加速していた時期にあたります。データイーストは、当時北米で人気を博していたアニメ『ザ・リアル・ゴーストバスターズ』のライセンスを取得し、これをアーケードゲームとして展開しました。海外版のタイトルは『The Real Ghostbusters』です。技術的な挑戦としては、多人数同時プレイを実現した点が挙げられます。特に3人同時プレイ版は、限られた画面スペースの中で3人のプレイヤーキャラクターと多数の敵、そしてエフェクトを破綻なく表示させ、さらに協力してゴーストを捕獲するというゲーム性を成立させる必要がありました。これは、当時のハードウェアリソースを最大限に活用するための、高度なプログラミングとデザインが求められたことを示しています。国内版と海外版でタイトルが異なるだけでなく、ゲーム内容も微妙に異なるとされています。
プレイ体験
プレイヤーは、プロトンパックから放たれるビームを駆使してゴーストを弱らせ、トラップへ誘導して捕獲するという、映画やアニメのゴーストバスターズの活動を忠実に再現した体験ができます。ゲーム内では、特定のゴーストをビームで固定し、他のプレイヤーと協力してトラップに引きずり込むという協力アクションが非常に重要でした。この連携プレイが成功した時の爽快感は格別でした。しかし、その操作は一筋縄ではいかず、慣れないプレイヤーにとってはゴーストを固定するエイミングや、トラップの設置タイミングなどが難しく、高いスキルが要求される部分でもありました。操作は8方向レバーと2つのボタンで行い、2つのボタンを同時に押すことでビームを発射することができます。ステージ構成は縦横にスクロールするものが多く、単調にならずに様々な環境でのゴースト退治を楽しめるよう工夫されていました。
初期の評価と現在の再評価
アーケード版『ゴーストバスターズ』は、初期の評価ではその操作の難しさや、国内版と海外版でタイトルや内容に違いがあったことなどから、必ずしも爆発的なヒットとはなりませんでした。しかし、版権作品でありながら原作の雰囲気をよく再現しており、特に多人数でワイワイと遊べる協力プレイの要素は評価されました。現在の再評価としては、データイーストというメーカーの個性的なラインナップを語る上で欠かせないタイトルの一つとして挙げられます。また、当時の版権アーケードゲームとしては珍しく、原作のコアな要素をシステムに落とし込もうとした意欲作として、レトロゲームコミュニティ内での再評価が進んでいます。特に海外版の『The Real Ghostbusters』は、アニメファンからの注目度も高いです。
他ジャンル・文化への影響
本作は、映画・アニメのIPをゲーム化する際の一つのモデルケースとなりました。特に、協力プレイを前提としたアクションで、原作のゴースト捕獲というテーマをシステムとして成立させた点は、後の版権ゲームにも影響を与えた可能性があります。また、日本国内では『迷宮ハンターG』というタイトルで稼働していたため、『ゴーストバスターズ』のIPとは切り離されて認識されていた層も存在しますが、そのコミカルなドット絵や独特の操作性は、後のデータイーストのアクションゲームにもわずかながら影響を与えたかもしれません。文化的には、このゲームの存在が、1980年代のアーケードゲーム文化とアメリカのポップカルチャーが交差した具体的な事例として、現在も語り継がれています。
リメイクでの進化
アーケード版『ゴーストバスターズ』の直接的なリメイク作品に関する情報は、ウェブ上で確認することができませんでした。しかし、『ゴーストバスターズ』のフランチャイズとしては、後に『Ghostbusters The Video Game』として、映画の主要キャストを起用し、ストーリーも映画の脚本家が関わるなど、大幅に進化・現代化されたゲーム作品が発売されています。このリマスター版では、原作の雰囲気を尊重しつつ、現代の技術でゴースト退治のリアルなプレイ体験を提供します。このリマスター作品は、間接的にアーケード版が目指したゴーストバスターズになりきる体験をより洗練された形で実現していると言えるでしょう。
特別な存在である理由
このアーケード版『ゴーストバスターズ』が特別な存在である理由は、1980年代のIPゲームとしての意欲作であることに尽きます。ライセンスを取得したコンテンツの雰囲気を単に借りるだけでなく、協力してゴーストを捕獲するという核となる要素をゲームシステムに組み込んだ点は、非常に先進的でした。国内版と海外版でタイトルが異なるなど、少し複雑な経緯を持つ作品ですが、データイーストの持つユニークなセンスと、当時の多人数同時プレイというトレンドが融合した、歴史的にも興味深い作品です。現在でも、当時の熱心なプレイヤーやレトロゲームの愛好家にとっては、忘れがたい一作として記憶されています。
まとめ
データイーストが1987年に世に送り出したアーケード版『ゴーストバスターズ』は、人気アニメの題材を元に、独特な協力プレイを導入したアクションシューティングゲームです。ビームでゴーストを弱らせ、トラップで捕獲するという一連の流れは、プレイヤーに本物のゴーストバスターズとしての役割を体感させました。操作の難易度は高めであったものの、多人数での協力プレイは新鮮で、当時のアーケードシーンにおいて確かな存在感を放っていました。直接のリメイクはありませんが、後のフランチャイズ作品にも通じるゴーストバスターズ体験の原点として、今もなお語り継がれるべき作品です。
©1987 Data East