アーケードゲーム『スクランブル』は、1981年にコナミ工業が開発・発売した横スクロールシューティングゲームです。プレイヤーは宇宙船を操作し、前方に発射するショットと、放物線を描いて落ちるミサイルを駆使して敵を撃破しながら進行します。燃料の概念が導入されており、地上に配置された燃料タンクを破壊することで補給が可能です。燃料が尽きると墜落してミスとなるため、戦略的なプレイが求められます。全6エリアで構成され、強制スクロールによる緊張感と、空中と地上の敵を同時に対処するゲーム性が特徴です。
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開発背景や技術的な挑戦
『スクランブル』は、コナミがアーケード市場での存在感を高めるために開発した初の横スクロールシューティングゲームです。従来のシューティングゲームは固定画面が主流でしたが、本作では縦画面でありながら横方向にスクロールするという新たな試みがなされました。これにより、プレイヤーは進行方向を意識しながらプレイする必要があり、ゲーム性に新たな深みが加わりました。また、燃料の概念を導入することで、単なる敵の撃破だけでなく、リソース管理の要素も加わり、戦略的なプレイが求められるようになりました。
プレイ体験
プレイヤーは、ショットとミサイルの2種類の武器を使い分けながら、複雑な地形や多彩な敵を突破していきます。特に印象的なのは、燃料の管理です。燃料が減少していく中で、地上の燃料タンクを確実に破壊して補給しなければならず、これがプレイに緊張感を与えます。ステージが進むごとに敵の配置や地形が複雑になり、特に第5エリアの要塞地帯では、狭い通路や急激な地形の変化がプレイヤーを苦しめます。ゲームオーバーになった際のリスタートも最初からとなるため、集中力と記憶力が試されるゲームです。
評価の変遷
全体の評価を数値化すると、ポジティブな意見がおよそ75パーセント、ネガティブな意見が25パーセントほどの割合となっています。
好意的な意見が集まる理由の一つは、前方へのショットと下方へのミサイルを使い分けることで生まれる独自の戦略性です。これにより、単なる敵の撃破ではなく、地形の特性を読み取りながら進行するという、当時としては画期的なプレイ体験が提供されました。また、地上の燃料タンクを破壊することで燃料を補給するシステムも特徴的で、補給のタイミングを見極めながら進むという緊張感がプレイヤーを引き込みました。もう一つの注目点は、縦長の画面を用いた横スクロール形式です。この画面構成によって前方の視野が広く保たれ、先を読みながら敵や障害物を回避する操作が求められました。この視点の使い方は、当時の他のアーケードゲームには見られない新鮮な要素でした。
一方で、プレイ時間の短さを指摘する声もあります。上達したプレイヤーであれば一周をおよそ3分で終えてしまうため、長く遊びたいと感じる人にとってはやや物足りない印象を受けるかもしれません。また、ショットの当たり判定が小さく、高速で移動する敵に対しては命中が難しいという意見もあります。これらは、操作精度が高くないと快適に楽しめないという面に繋がっています。さらに、下方へ放つミサイルの軌道が放物線を描く仕様であるため、狙いを定めるにはある程度の慣れが必要になります。この操作感についても、もう少し直感的に使えるようにしてほしいという声が見られます。これらの課題に対し、プレイヤーからはステージ構成の拡充や、ショットやミサイルの操作性改善を求める意見が寄せられています。
スクランブルは、シューティングゲームの基礎を築いたタイトルのひとつとして、今なお多くの人に影響を与え続けています。ゲームの歴史を振り返る上で欠かせない存在であり、レトロゲームの魅力を体験したい方や、ゲームデザインに関心のある方には特におすすめです。
他ジャンル・文化への影響
『スクランブル』は、後のシューティングゲームに多大な影響を与えました。特に、コナミの代表作である『グラディウス』は、『スクランブル』のゲームシステムをベースに開発されました。『スクランブル』で導入された強制スクロールや複雑な地形、リソース管理といった要素は、その後の多くのシューティングゲームに受け継がれています。また、ゲームデザインの面でも、プレイヤーに戦略的な選択を迫る要素を取り入れるなど、ゲーム業界全体に影響を与えました。
リメイクでの進化
現代に『スクランブル』がリメイクされる場合、グラフィックの高解像度化やサウンドのリマスターはもちろんのこと、オンラインランキングやセーブ機能の追加など、現代のプレイヤーに合わせた機能の実装が期待されます。また、ステージの追加や新たな武器の導入など、オリジナルのゲーム性を尊重しつつ、さらなる進化を遂げることで、新旧のファンに楽しんでもらえる作品となるでしょう。
まとめ
『スクランブル』は、1981年に登場した横スクロールシューティングゲームの先駆けとして、ゲーム業界に大きな影響を与えました。シンプルながらも戦略性の高いゲームシステムや、緊張感を生む燃料管理など、当時としては革新的な要素が盛り込まれています。現在でも、そのゲーム性は色褪せることなく、多くのプレイヤーに愛されています。リメイクや復刻版の登場により、今後もその魅力が再発見されることでしょう。
攻略
プレイヤーは、ジェット機型の宇宙船「スペース・ファイター」を操縦し、敵の迎撃システムを突破して最終的に敵基地を破壊することを目指します。自機は前方ショットと投下式ミサイルの2種類の武器を装備しており、空中の敵や地上の施設を攻撃できます。操作は8方向レバーと2つのボタンで行い、ショットボタンで前方攻撃、ミサイルボタンで地上攻撃を行います。
ゲームは強制横スクロールで進行し、全6つのエリアで構成されています。各エリアは異なる地形や敵の配置が特徴で、プレイヤーは地形や敵の攻撃を回避しながら進みます。例えば、エリア1では山岳地帯を飛行し、地上から発射されるミサイルを避ける必要があります。エリア2では洞窟内を進み、波状に飛行する敵機に注意しながら進みます。エリア3では破壊不可能な火球が飛来し、回避が求められます。エリア4では高層ビル群の上空を飛行し、ビルから発射されるミサイルを避けます。エリア5では要塞内の狭い通路を通過し、精密な操作が要求されます。エリア6では敵基地の中枢に到達し、基地を破壊することで1周クリアとなります。
燃料システムも特徴的で、画面下部に表示される燃料ゲージは時間とともに減少していきます。燃料が尽きると自機は墜落してミスとなるため、地上に設置された「FUEL」と書かれた燃料タンクを破壊して燃料を補給する必要があります。
ゲームをクリアすると、次の周回が始まり、燃料の減少速度が速くなるなど難易度が上昇します。これにより、プレイヤーはより高いスコアを目指して繰り返しプレイすることが求められます。
ストーリー
本作には明確なストーリーや設定は存在しませんが、ゲーム内容やビジュアルを通じて、独自の世界観が表現されています。
舞台は、荒廃した惑星上の敵地とされており、プレイヤーはスペースファイターを操り、6つの異なる地形で構成されたエリアを進行していきます。最終的には敵基地の破壊が目的です。各エリアはシームレスに繋がっており、進行に伴って地形や色彩が変化することで、短時間ながらも多様な環境を体験できる構成になっています。
ゲームシステム
ゲーム画面

画面上部中央には「HIGH SCORE」の文字があり、その左右には現在のスコアとハイスコアが黄色の数字で表示されています。フォントは大きく、ゲームの進行中でも視認しやすいように設計されています。その下には「1ST」「2ND」「3RD」「4TH」「5TH」「BASE」という6つのエリアを示す進行インジケーターが配置されており、各ステージの進捗状況が一目で分かる構造です。
画面最下部には「FUEL」と書かれた燃料ゲージがあり、橙色と青色のバーによって残量が表示されています。その左側には、残機を表す宇宙船アイコンが並んでおり、現在の残りライフが視覚的に確認できます。
さらに注目すべきは、画面右下に表示されているチェッカーフラッグのアイコンです。これは本作における「周回数」を示しており、プレイヤーがすでにゲームを一度クリアし、再び最初のエリアからループプレイに入っていることを表します。難易度が上昇する2周目以降の挑戦状況を示すこのアイコンは、熟練プレイヤーの進行度を確認するための重要な指標となっています。
操作方法と武装
プレイヤーは、8方向レバーで自機「スペースファイター」を操作し、2つのボタンで攻撃を行います。前方へのショット、下方への爆弾投下で、空中および地上の敵を撃破できます。
- 方向レバー:自機の移動
- ボタン1:ショット(正面)
- ボタン2:ミサイル(地上)
燃料管理システム
自機には燃料ゲージがあり、時間の経過とともに減少します。燃料が尽きると墜落しミスとなるため、ステージ内に配置された「FUEL」と書かれた燃料タンクを破壊して補給する必要があります。
ステージ構成とスクロール
ゲームは6つのエリアで構成され、各エリアはシームレスに繋がっています。地形や敵の配置が異なり、プレイヤーは強制横スクロールの中で進行します。
難易度の周回システム
最終エリアで敵基地を破壊すると、ゲームは最初のエリアに戻り、燃料の減少速度が速くなるなど、難易度が上昇した状態で再開されます。周回数は画面右下に旗で表示されます。
得点

キャラクター | 獲得点 |
---|---|
ミサイル(待機中) | 50 PTS |
ミサイル(発射後) | 80 PTS |
UFO | 100 PTS |
FUEL | 150 PTS |
敵基地 | 800 PTS |
ロボット | MYSTERY(100-300PTS) |
ステージ
各ステージをクリアし最終地点に到達することが目的であり、各ステージの攻略ポイントを理解することでゲームクリアが容易になります。
ステージ1:山岳地帯

最初のステージは比較的難易度が低く、敵の出現頻度も少ないです。ここでは操作感覚をつかむことが重要です。自機の速度と弾の軌道を把握し、岩の配置に注意して爆弾を落として破壊しましょう。燃料タンクは逃さず破壊し、燃料補給をこまめに行うことが大切です。
ステージ2:洞窟エリア

ステージ2では狭い洞窟を進むことになります。上下移動が制限されるため、障害物との衝突を避けるよう慎重に操作してください。弾と爆弾の併用が重要で、地形に隠れた敵を爆弾で倒しながら進むと安全です。画面の中央付近をキープすると、障害物にぶつかりにくくなります。
ステージ3:隕石群エリア

隕石が多数飛来するステージです。前方だけに気を取られると、背後や上方から隕石にぶつかることもあるため、常に広い視野を持ちましょう。敵の出現パターンは一定のため、覚えることで対処が簡単になります。燃料タンクを見逃さないよう注意してください。
ステージ4:都市エリア

地上に設置された敵施設やミサイル発射装置が登場します。爆弾での攻撃が特に有効なステージです。敵のミサイル発射パターンを覚え、一定のリズムで上下移動を繰り返すことで避けやすくなります。ミサイルを発射する敵は優先的に倒しましょう。
ステージ5:要塞内

狭い通路をくぐり抜けるステージです。ここは特に操作精度が求められます。上下動を最小限に抑え、安定した高度を保つことがポイントです。また、要塞内に配置された燃料タンクは爆弾で素早く破壊しないと燃料切れを起こす恐れがあります。
ステージ6:最終基地


最終ステージでは、敵基地への爆撃を成功させる必要があります。「KONAMI」の表示が見えたら爆撃の準備。最後は、基地中央に正確に爆弾を落として破壊しましょう。焦らず冷静に狙うことが成功への鍵です。

敵の最終基地を撃破すると、「CONGRATULATIONS YOU COMPLETED YOUR DUTIES GOOD LUCK NEXT TIME AGAIN」というメッセージが表示されます。これは「おめでとうございます。任務を達成しました。また次回の幸運を祈ります」という意味です。プレイヤーが目標を達成したことを称賛し、次回の挑戦にも期待を込めた内容となっています。メッセージが表示された後は、ゲームが再び最初のエリアから再スタートとなり、前回よりも難易度がアップした状態で続けてプレイすることができます。
データ
このタイトルの移植は下表の通りです。
発売年 | プラットフォーム | 移植時のタイトル名 |
---|---|---|
1982年 | トミー(LSIゲーム) | スクランブル |
1999年 | PlayStation | コナミ80’sアーケードギャラリー |
2002年 | ゲームボーイアドバンス | コナミアーケードゲームコレクション |
2005年 | PlayStation 2 | オレたちゲーセン族 スクランブル |
2006年 | Xbox 360 | Scramble |
2007年 | ニンテンドーDS | コナミ アーケード コレクション |
2014年 | PlayStation 4 | アーケードアーカイブス スクランブル |
2019年 | Nintendo Switch | アーケードアーカイブス スクランブル |
2019年 | Nintendo Switch / PS4 / Xbox One / Steam | アーケードクラシックス アニバーサリーコレクション |
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