アーケード版『Mr. Do’s Castle』は、1983年にユニバーサルからリリースされたアクション・プラットフォームゲームです。開発はユニバーサル、ジャンルはプラットフォームで、プレイヤーはMr. Doを操作し、城のフロアに散りばめられたチェリーやキーブロックをハンマーで叩いて得点を稼ぎます。ユニコーン型モンスターを罠に落とし、上からブロックを落として倒す独特のゲーム性が特徴です。日本では『Mr. Do! versus Unicorns』として知られています。
開発背景や技術的な挑戦
当初は「Knights vs. Unicorns」というタイトルで開発されていましたが、北米のユニバーサル社の判断により、既存の人気キャラクターMr. Doを採用して『Mr. Do’s Castle』として発売されました。その結果、ゲーム性は初代Mr. Do!よりも、同社の1980年作『Space Panic』に近いプラットフォーム+罠仕掛けの形式となりました。設計面では、階段の角度を変えるギミックや、タイム経過で強化されるモンスターAIなど、戦略性と緊張感のバランス調整が技術的挑戦だったと考えられます。
プレイ体験
私自身、数ステージをプレイして感じたのは、「穴に落とす→ブロックで挟み潰す」といった罠の応用が重要で、計画的な動きが求められる点です。スペースパンチ系のように焦ってもミスにつながるため、慎重な進行が基本。強化モンスターが青色になって分裂し始める中盤以降の緊張感は、けっして猫をかぶる穏やかさではなく、ハラハラするプレイ感覚を提供します。
初期評価と現在の再評価
1983年10月の日本の売上ランキングでは稼働新製品タイトルトップボックスで第2位にランクされ、当初は「Mr. Do!シリーズの異色作」として賛否が分かれましたが、現在はパズル性と戦略性を併せ持つ完成度の高さが再評価されており、攻略性の高さと独特のテンポ感が魅力として語られています。
他ジャンル・文化への影響
Mr. Do’s Castleは『Space Panic』型プラットフォームへの一つの到達点とされ、後続作やクローンタイトルに影響を与えました。トラップ仕掛けと階層構造を活かした戦術的プレイが後のゲーム設計における一例として挙げられています。
リメイクでの進化
もし現代にフルリメイクされるなら、ビジュアル面では美麗な3Dマップや奥行きを加え、罠やブロック崩し、AI強化タイミングなどを見やすくしたUI設計が有効でしょう。また、協力プレイやオンラインランキング対応、リプレイシェア機能など、探索と戦略性を活かす機能追加によって、新旧プレイヤー双方に訴求する作品になる可能性があります。
特別な存在である理由
初代Mr. Do!とはまったく異なるアプローチを採りつつ、Mr. Doならではの“罠”と“得点競争”という根幹はしっかり受け継がれています。「チェリー収集」か「ユニコーン殲滅」か、「罠構築の妙」と「ハンマーの即応力」が噛み合う戦略性が、本作を一過性のフォローアップに終わらせず、シリーズ屈指の独立した魅力を持つ傑作へと押し上げています。
まとめ
『Mr. Do’s Castle』は、初代との違いを恐れずに実験的なスペースパンチ系罠構築型に仕立て直し、戦略性と戦術立案を深めた異色かつ高完成度の一作です。プレイヤーを高めるパズル要素とスピード感が共存し、現在でも戦略を練る楽しさが色褪せません。リメイクによってさらなる進化の余地を残している点も含めて、パズル・アクション好きには見逃せない名作といえるでしょう。
© 1983 Universal Entertainment