AC版『ハイウェイレース』パラシュートでゴールする異色作

アーケード版『ハイウェイレース』は、1983年にタイトーから発売されたレーシングゲームです。開発もタイトー自身が行いました。このゲームは、単に速く走るだけでなく、コース上の障害物や他の車両を避けながら進むという要素が特徴です。そして最も印象的なのは、コースの終盤で対岸に向かって大ジャンプを敢行し、パラシュートを開いて無事に着地できればゴールという、当時のレースゲームとしては非常にユニークで大胆なクライマックスが用意されている点です。このアクション性の高さと、成功時の爽快感がプレイヤーを魅了しました。

開発背景や技術的な挑戦

『ハイウェイレース』が開発された1980年代前半は、アーケードゲームの表現力が急速に進化していた時期にあたります。本作も、その当時の技術的な挑戦を反映しています。特に、遠近感を伴う擬似3D表現、いわゆるスプライト拡大縮小技術を用いて、高速で移動する自動車からの視点を表現した点は注目に値します。これにより、プレイヤーはまるで本当に高速道路を運転しているかのような臨場感とスピード感を体験することができました。また、コース終盤の大ジャンプとパラシュート降下という演出も、当時のアーケードゲームとしては非常に画期的であり、システム基板の処理能力を駆使した挑戦的な試みであったと言えます。この大ジャンプのシーンは、単なるレースの終着点ではなく、ゲームプレイにおける最大の見せ場となっており、技術と演出が融合した結果です。

プレイ体験

プレイヤーは、高性能なレースカーを操作し、次々と現れる障害物や他の車をハンドルとアクセル、ブレーキを使って回避しながら、制限時間内にゴールを目指します。ゲームは四つの異なるコース(アジアン、アメリカン、アフリカン、ヨーロピアンなど)で構成されており、それぞれで異なる背景や難易度が提供されます。スピード感と反射神経が試されるゲームプレイであり、一瞬の判断ミスが事故につながりかねない緊張感があります。コース終盤のパラシュートジャンプは、単にタイミングを合わせるだけでなく、着地の成功率を上げるための微調整も必要とされ、最後の最後までプレイヤーを飽きさせません。このジャンプ成功時の達成感と、ゲーム全体の爽快なテンポが、繰り返しプレイを促す大きな魅力となっていました。

初期の評価と現在の再評価

『ハイウェイレース』は、発売当初、その斬新なゲームシステムと大迫力のジャンプシーンによって、アーケード市場で一定の評価を得ました。当時の一般的なレースゲームとは一線を画すアクション性の高さが評価のポイントでした。時間制限という要素が緊張感を高め、短い時間で濃密なゲーム体験を提供できたことも、アーケードゲームとして成功した理由の一つです。現在の再評価としては、レトロゲームブームの中で、アーケードゲームの歴史を語る上で欠かせない初期の擬似3Dレースゲームの一つとして再認識されています。特に、その後のレースゲームにも影響を与えたであろう大胆な演出や、シンプルながら奥深い操作性が、現代のプレイヤーからも新鮮な驚きをもって受け入れられています。

他ジャンル・文化への影響

本作の最も大きな影響は、レースゲームというジャンルの中に、アクション要素や大胆な演出を取り入れるという革新性を示した点です。コースを走破するだけでなく、最後に特殊なミニゲーム的な要素(パラシュート着地)を盛り込むという構造は、後のゲームデザインに少なからず影響を与えたと考えられます。また、当時の疑似3Dレースゲームの中でも、その独特なビジュアルと強烈な個性は、多くのプレイヤーの記憶に深く刻み込まれ、1980年代のアーケード文化を象徴する作品の一つとなりました。この強烈な個性は、後のタイトーのタイトルにも見られる、斬新なアイデアを形にする姿勢の萌芽とも言えるでしょう。

リメイクでの進化

『ハイウェイレース』は、2022年にアーケードアーカイブスとしてPlayStation 4やNintendo Switchといった現行のプラットフォームで復刻されています。これは厳密にはリメイクではなく、オリジナル版を忠実に再現した移植版ですが、この復刻により、当時のゲームが持つ独自の操作感や擬似3D表現を、現代のプレイヤーが手軽に体験できるようになりました。アーケードアーカイブス版では、当時の設定を細かく変更できる機能や、オンラインでのランキング機能などが追加されており、オリジナルの魅力を保ちつつ、現代的な遊び方を提供しています。これにより、オリジナル版の技術的な側面やゲームデザインの素晴らしさが、改めて評価される機会となっています。

特別な存在である理由

『ハイウェイレース』が特別な存在である理由は、その大胆なゲームデザインにあります。1983年という時期に、単なる周回レースやチェックポイント通過に留まらず、コース終盤に巨大なジャンプ台から車ごと飛び出し、パラシュートで着地するという、予測不能で爽快なクライマックスを導入した点は、非常に革新的でした。このサプライズ要素と、高いスピード感を両立させたことで、プレイヤーに強烈な印象を与えました。また、擬似3D表現を駆使した当時の技術の粋を示す作品としても、ゲーム史における重要な位置を占めています。タイトーの個性的なゲーム作りのルーツを感じさせる、記憶に残る一台です。

まとめ

アーケード版『ハイウェイレース』は、1983年にタイトーが送り出した、当時の技術を駆使した擬似3Dレーシングゲームでありながら、終盤のパラシュートジャンプという強烈なアクション要素で独自の地位を確立した作品です。障害物や他車を避けながらの緊張感あるドライブと、大ジャンプ成功時の開放感が組み合わさったプレイ体験は、現代の視点から見ても非常に新鮮です。その後のゲームに影響を与えたであろう革新的なアイデアと、シンプルながら奥深いゲーム性は、今なお多くのレトロゲームファンに愛され続けています。技術の進化とともに、当時のゲームデザイナーたちの情熱と創造性を感じさせてくれる名作の一つです。

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