アーケード版『エレベーターアクション』エレベーターを駆使する異色のスパイアクション

エレベーターアクション

アーケードゲーム版『エレベーターアクション』は、1983年にタイトーから発売されたアクションゲームです。プレイヤーはスパイとなり、ビルの最上階から潜入し、各フロアにある赤い扉から機密書類を奪い、地下で待つ脱出用車両を目指します。エレベーターを操作してフロアを移動しながら、敵のガードマンを銃で倒し、時には蛍光灯を撃ち落として一時的に暗闇を作り、敵をかく乱するという、独特なゲーム性が特徴です。シンプルながらも戦略性の高いゲームプレイは、多くのプレイヤーを魅了しました。

開発背景や技術的な挑戦

本作が開発された1980年代前半は、アーケードゲーム市場が活況を呈しており、各社が斬新なアイデアを競い合っていました。タイトーは、『エレベーターアクション』で、それまでのアクションゲームにはなかった「縦の動き」と「エレベーター」というギミックを組み合わせることに挑戦しました。エレベーターの昇降に合わせてキャラクターを制御し、敵を配置するプログラムは、当時の技術的な制約の中で、非常に高度なものでした。また、ジャンプやしゃがみ、そしてジャンプキックといった多彩なアクションを実装し、プレイヤーがスパイになりきれるような演出も工夫されました。

プレイ体験

本作のプレイ体験は、常に緊張感に満ちたものでした。プレイヤーは、エレベーターを操作してフロアを移動しますが、エレベーターが目的のフロアになかったり、敵に待ち伏せされたりするため、常に状況を判断しながら行動する必要があります。敵のガードマンは、プレイヤーの行動を予測して待ち構えているため、正面から突撃するだけでは簡単に倒されてしまいます。そのため、敵をやり過ごしたり、エレベーターで敵を押しつぶしたり、天井の蛍光灯を撃って敵をかく乱したりと、様々なアクションを駆使して攻略する楽しさがありました。ゲームが進むにつれて敵の数や攻撃パターンが増え、難易度が上がっていくため、プレイヤーは何度も挑戦し、自分なりの攻略法を見つけ出すことになります。

初期の評価と現在の再評価

アーケード版『エレベーターアクション』は、そのユニークなゲーム性とスパイという設定が人気を博し、多くのゲームセンターで稼働しました。エレベーターを操作して敵を倒すという斬新なアイデアは、当時のプレイヤーに強いインパクトを与えました。しかし、難易度が高く、クリアまでたどり着くのは困難でした。現在の再評価では、そのシンプルながらも奥深いゲームデザインが再認識されています。特に、エレベーターという身近な乗り物を「殺戮兵器」として活用するという発想は、多くのゲームファンに衝撃を与え、今なお語り草となっています。また、ファミコン版など家庭用ゲーム機への移植版も多数存在し、多くのプレイヤーに愛されています。

隠し要素や裏技

本作には、厳密な意味での隠し要素や裏技は少ないものの、プレイヤーの間で独自のテクニックや攻略法が確立されていました。例えば、敵の銃弾をかわしながらジャンプキックで敵を倒す、通称「ジャンプキック」や、エレベーターを上手く使って敵をまとめて倒す方法などです。また、天井の蛍光灯を撃ち落とすと一定時間暗くなり、その間の敵を倒すと得点が2倍になるという要素も、高得点を狙うプレイヤーには欠かせないテクニックでした。これらの攻略法は、当時のゲームセンターやゲーム雑誌を通じてプレイヤー間で共有され、より深くゲームを楽しむための要素となっていました。

リメイクでの進化

『エレベーターアクション』は、その人気から、いくつかのリメイクや続編が制作されました。特に1995年に発売された続編『エレベーターアクションリターンズ』は、グラフィックやアクションが大幅に進化し、プレイヤーが3人のキャラクターから選んでプレイできるようになりました。また、破壊できるオブジェクトが増え、より派手で爽快感のあるゲームプレイが楽しめるようになりました。これらのリメイク版では、オリジナルの持つ緊張感と戦略性はそのままに、現代的な要素が加えられ、新しい世代のプレイヤーにも受け入れられています。最近では、アーケード版を忠実に再現した「アーケードアーカイブス」シリーズとして、家庭用ゲーム機でも気軽に遊べるようになっています。

特別な存在である理由

『エレベーターアクション』が特別な存在である理由は、そのユニークなゲーム性にあります。エレベーターという、通常は移動手段に過ぎないものを、戦略の鍵となるギミックとして昇華させたことは、非常に画期的な試みでした。プレイヤーは、単に敵を倒すだけでなく、エレベーターや蛍光灯といった様々な要素を考慮しながら、複雑なビルのフロアを攻略するという、新しいアクションゲームの楽しみ方を体験できました。この斬新なアイデアと、シンプルながらも奥深いゲームバランスが、本作を単なるアクションゲームではない、特別な存在にしています。時代を超えて愛される、まさにアーケードゲームの傑作と言えるでしょう。

まとめ

アーケード版『エレベーターアクション』は、エレベーターを駆使してビルの潜入・脱出を目指す、独創的なゲームでした。当時の技術的な挑戦と、斬新なアイデアが見事に融合し、多くのプレイヤーを夢中にさせました。エレベーターによる攻防や、蛍光灯を撃ち落とすといったユニークなアクションは、今なお多くの人々の記憶に残っています。本作は、後のゲームにも大きな影響を与え、アーケードゲームの歴史を語る上で欠かせない作品の一つとなっています。シンプルなルールの中に隠された奥深い戦略性は、今プレイしても新鮮な驚きを与えてくれるでしょう。本作は、まさに時代を超えた名作なのです。

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