アーケード版『サイバータンク』幻の2画面戦車シミュレーターの挑戦

アーケードゲーム『サイバータンク』は、1988年にCoreland Technology(開発・制作)およびビスコ(発売)からリリース予定だった、対戦型シューティング・タンクシミュレーターです。2人同時プレイ対応で、1Pが運転、2Pが砲撃担当という分業スタイルが特徴です。

開発背景や技術的な挑戦

『サイバータンク』はCorelandがT-8008 T-Type基板を使用し、左右にCRTを配置する2モニター方式を採用しました。これは、運転と射撃の視点を分けるための工夫とされます。1988年夏にロケテストが実施されましたが、商業展開には至らず、稼働は非常に限定的だったようです。

プレイ体験

当時のプレイ動画では、残り距離や画面の描画に荒さはあるものの、3rdパーソン視点で戦場を進むリアルさは高く評価されています。ドライバーとガンナーが役割分担するスタイルは緊張感があり、非常に協力性の高いプレイ体験を提供していたと推測されます。

評価の変化

初期には「ロケテスト失敗作」「市場投入ならず」と見なされていましたが、レトロゲーム界隈ではプロトタイプ・希少性と“幻の名作”として再評価が進んでいます。現在では実機が1台確認されているのみで、収集価値が高まっています。

他ジャンル・文化への影響

本作は大型筐体と2画面構成といった技術面で後の協力プレイシューティングに影響を与えた可能性があります。ただし、商業展開がされなかったため、一般ユーザーへの浸透は限定的です。

まとめ

『サイバータンク』は、稼働数が極めて少なかったプロトタイプながら、2人協力+シミュレーター形式という斬新な構成で、当時としては先進的な試みでした。商業的成功には至らなかったものの、現在ではコアなゲームファンやレトロマニアの間で“幻の名作”として神話化しています。

© 1988 Coreland Technology, Inc.