AC版『ヘンリーエクスプローラーズ』3人同時プレイで挑む秘宝探索の旅

アーケード版『ヘンリーエクスプローラーズ』は、1995年にコナミから発売されたガンシューティングゲームです。本作はコナミのアーケード用3D基板であるGVシステムを用いて開発され、洞窟や海底神殿といった未知の遺跡を舞台に、伝説の秘宝を求めて探索を繰り広げる冒険活劇仕立ての内容となっています。プレイヤーは専用のガンコントローラーを手に取り、画面内から次々と襲いかかるスケルトンや巨大な蜘蛛、ガーゴイルといった怪物たちを撃退しながら、全6ステージの走破を目指します。最大3人までの同時プレイが可能であり、多人数での協力プレイによって迫りくる敵をなぎ倒す爽快感が大きな特徴となっています。当時のアーケード市場では実写映像を用いたゲームや、ポリゴンを駆使した初期の3Dゲームが台頭していましたが、本作はそれらとは異なる独特のビジュアルスタイルを持ち、プレイヤーに強烈なインパクトを与えました。海外ではクリプトキラーという名称で親しまれており、コナミのガンシューティングの歴史を語る上で欠かせない1作となっています。

開発背景や技術的な挑戦

本作の開発が行われた1990年代半ばは、アーケードゲームにおける描画技術が2Dから3Dへと急速にシフトしていく過渡期にありました。コナミは本作において、プレイステーション互換基板であるGVシステムを採用し、当時の最先端であったリアルタイム3D描写に近い視覚効果を実現しようと試みました。特に大きな挑戦となったのは、広大な3D空間を1人称視点で進みながら、大量の敵キャラクターを同時に表示させるという点です。当時の技術制限の中で、スピード感を損なわずに敵の動きや攻撃を管理するために、背景をポリゴンで描写し、キャラクターや演出の一部にはスプライト技術を併用するという手法が取られました。これにより、プレイヤーはまるで迷宮の中を実際に歩いているかのような没入感を得ることができました。また、3人同時プレイという当時のガンシューティングとしては珍しいマルチプレイ環境を実現するために、各プレイヤーの照準位置を正確かつ遅延なく反映させるための技術的な最適化が行われています。冒険心をくすぐる映画のようなカメラワークや、迫力ある巨大ボスの演出などは、当時の開発スタッフが試行錯誤を繰り返して作り上げた技術の結晶といえます。

プレイ体験

プレイヤーが本作をプレイする際にまず驚かされるのは、圧倒的な物量で攻めてくる敵の数です。通常のガンシューティングゲームに比べて敵の出現頻度が高く、常にトリガーを引き続けるような激しいアクションが求められます。ステージは多岐にわたり、古代エジプトを思わせる遺跡、不気味な海中世界、溶岩が流れる火山地帯など、バラエティに富んでいます。道中には分岐点が存在し、プレイヤーがどのルートを選択するかによって攻略の難易度や遭遇するボスが変化するため、1度のプレイでは全てを体験できないほどのボリュームがあります。武器のパワーアップ要素も重要で、初期装備のショットガンの他にも、ガトリングガンやグレネードランチャーといった強力な武器を入手することで、画面を埋め尽くす敵を一掃する楽しさを味わえます。敵を倒すだけでなく、背景にある壺や宝箱を破壊することでスコアアイテムや隠しアイテムを入手できる探索要素も、冒険というテーマに合致しており、プレイヤーのモチベーションを高めています。3人プレイ時にはお互いの視界をカバーし合う戦術性も生まれ、アーケードならではの賑やかな協力体験が可能となっています。

初期の評価と現在の再評価

稼働当時の初期の評価としては、そのホラー要素を交えたファンタジーな世界観と、シンプルな操作性で誰でも楽しめる点が支持されました。当時のアーケードシーンではリアル志向の作品が注目されていましたが、本作はそれらとは対照的な、怪物たちをなぎ倒すB級ホラー映画のような雰囲気が独自のファン層を獲得することに成功しました。グラフィック面では一部でポリゴンと2Dの混在に違和感を持つ声もありましたが、それがかえって本作独特の不気味さや迫力を演出していると好意的に受け止めるプレイヤーも多く存在しました。近年では、レトロゲームとしての再評価が進んでいます。特に、現代の高度に洗練されたゲームとは一線を画す、荒削りながらもパワー溢れる演出や、1990年代特有のケレン味のある世界観が懐かしさとともに新鮮な魅力として捉えられています。また、3人同時プレイが可能なガンシューティングというジャンル自体が現在では希少であるため、協力プレイの楽しさを純粋に追求した稀有なタイトルとして、アーケードゲーム愛好家の間で高く評価され続けています。

他ジャンル・文化への影響

ヘンリーエクスプローラーズが後のゲーム文化に与えた影響は決して小さくありません。特に冒険とトレジャーハントをテーマにしたガンシューティングという構成は、後に続く多くの同ジャンル作品における1つの雛形となりました。ファンタジー要素とシューティングを融合させた世界観は、後のアクションゲームや、ダークファンタジーをテーマにしたアーケードタイトルにも間接的な影響を与えたと言われています。また、コナミが培ってきたサウンド技術や演出手法は、本作を通じてより洗練され、後のホラー系ガンシューティングブームの下地を作った側面もあります。さらに、文化的な視点で見れば、1990年代の日本のアーケードゲームが持っていた、海外市場を強く意識した無国籍でエネルギッシュなデザイン感覚を象徴する作品の1つとして語り継がれています。本作で見られた、複数のプレイヤーが入り乱れて戦うマルチプレイの熱狂は、現在のオンライン協力型シューティングゲームが持つ本質的な楽しさの源流の1つであるとも言えるでしょう。

リメイクでの進化

本作はアーケード版の稼働からしばらくして、セガサターンやプレイステーションといった家庭用ゲーム機へ移植されました。家庭用への移植に際しては、ハードウェアの性能に合わせてグラフィックの調整が行われましたが、アーケード版の持つ独特の雰囲気は見事に再現されていました。特に家庭用では、ライトガンと呼ばれる光線銃型のコントローラーを使用することで、アーケードに近い感覚でプレイできることが大きなセールスポイントとなりました。また、家庭用独自の追加要素として、練習モードやギャラリーモード、さらには難易度設定の細分化が行われ、じっくりと攻略を楽しみたいプレイヤーのニーズに応えています。残念ながら現行の最新ハードにおける完全なリメイクやリマスター版は発売されていませんが、多くのファンが現代の技術での復活を待ち望んでいます。もし最新技術でリメイクされるならば、高解像度のテクスチャや現代的なライティング技術によって、あの不気味で魅力的な遺跡の数々がより鮮烈に描き出されることでしょう。アーケード版の持つ荒々しいエネルギーを保ちつつ、VRなどの新技術と融合させることで、本作のプレイ体験はさらなる次元へと進化する可能性を秘めています。

特別な存在である理由

本作が数あるガンシューティングゲームの中で今なお特別な存在として語られる理由は、その唯一無二の冒険感にあります。単に標的を撃つだけのゲームではなく、未知の領域へ踏み込み、そこに潜む未知の脅威を排除しながら進むという物語的な体験が、プレイヤーの心を強く掴みました。1990年代のコナミらしい、重厚で緊張感のあるBGMや、敵を倒した際の派手なエフェクト、そして何よりも財宝を手に入れるという分かりやすくも根源的な目的意識が、ゲーム全体に力強い推進力を与えています。また、3人プレイという特異な仕様が、ゲームセンターという公共の場において見知らぬプレイヤー同士の共闘や、友人同士の連帯感を生み出す装置として機能していたことも忘れてはなりません。本作は単なる娯楽機器を越えて、当時のプレイヤーたちの記憶に刻まれた冒険の舞台そのものだったのです。その後のゲーム業界がリアリティや複雑なシステムを追求していく中で、本作が提示した直感的な楽しさと圧倒的な迫力というシンプルかつ強力な魅力は、今なお色褪せることなく輝き続けています。

まとめ

ヘンリーエクスプローラーズは、1995年のアーケードシーンにおいて、独自の世界観と多人数プレイの楽しさを提供した傑作ガンシューティングです。コナミが持てる技術を注ぎ込み、3D空間でのダイナミックな冒険を表現した本作は、多くのプレイヤーに衝撃を与えました。遺跡、深海、火山といった舞台を巡り、凶悪なモンスターを次々と撃破していく爽快感は、今プレイしても全く古びることがありません。当時の技術的な制約を逆手に取ったかのような不気味なキャラクター造形や、分岐ルートによる高い再プレイ性は、開発陣の並々ならぬこだわりを感じさせます。現在、オリジナルの筐体で遊ぶ機会は減ってしまいましたが、本作が確立したファンタジーとアドベンチャー、そしてシューティングの融合というスタイルは、ゲームの歴史における貴重な1ページとして記録されるべきものです。プレイヤーに純粋な興奮と驚きを与え、仲間と共に未知なる秘宝を目指したあの熱い時間は、これからも多くのファンの心に残り続けることでしょう。ビデオゲームが持つ日常を忘れさせる力を体現した、正に特別な1作であると言えます。

©1995 KONAMI