AC版『コスミックモンスター』異形エイリアンが彩る防衛型シューティング

アーケード版『コスミックモンスター』は、1979年にユニバーサルが開発・発売したシューティングゲームです。ジャンルとしてはスペースインベーダー系のシューティングで、2方向レバーと1ボタンによる操作、プレイヤーは左右に移動し、迫り来るエイリアン軍団を撃破します。特徴として、オリジナルとは異なるモンスターグラフィックや、UFOのユニークな処理が挙げられます。

開発背景や技術的な挑戦

当時のアーケード市場ではスペースインベーダーの成功を受け、多くのメーカーが類似作品を投入していました。ユニバーサルもその一角で、『コスミックモンスター』はスペースインベーダーの忠実なクローンながら、虫の触角を思わせるエイリアンデザインで独自性を演出しました。また、UFO登場時に防御バンカーに隠れるという独自要素も実装され、技術的に小改良が加えられています。

プレイ体験

実際にプレイすると、敵は左右に行進しながら爆弾を投下し、プレイヤーの防御バンカーを破壊しつつ進行してきます。UFOはランダムに現れ、撃ち逃すと即座に上部にエイリアンの新しい列を出現させる厄介な仕様です。この仕様によりゲーム中はUFO対応に神経を使い、緊張感あるプレイ体験となります。バンカーが崩される難所では防御を維持し続ける忍耐力が試されます。

初期の評価と現在の再評価

当初は「よくできたインベーダー風ゲーム」として受け止められましたが、特に高い評価を得るには至りませんでした。しかし近年では、独特のモンスターアートやUFOのギミックも含めて、単なる模倣以上の個性派タイトルとして再評価されつつあります。時代背景的にもクローン文化の中から生まれた個別性のある作品として、アーケード黎明期の“異端児”の魅力が見直されています。

他ジャンル・文化への影響

ユニバーサルの虫風味デザインは同社の他作品群にも波及しており、『コスミックモンスター』のビジュアルは後の虫系シューティングの系譜に影響を与えました。また、当時の「守りを重視するシューティング」スタイルの先鞭を付け、『ミサイルコマンド』のような後続ジャンルに通じる要素も見られます。

リメイクでの進化

近代的にリメイクするなら、UFO登場ギミックと防御要素を活かしたタワーディフェンス風仕様に昇華できそうです。カラフルな2D・3Dグラフィックで毒々しいモンスターを再設計し、オンラインランキングや協力モード、バンカーを強化・復活させるシステムを導入すれば、元作の緊張感を保ちつつ現代風の戦略性を持たせることができます。

筆者の視点から

筆者にとって『コスミックモンスター』は、ただのクローンではなく「スペースインベーダー文化への応答」のひとつであり、虫的デザインと戦略的UFO処理によって、独自の進化を遂げた異色作だと考えています。バンカー防衛の重圧とエイリアンの毒々しさが、プレイヤーに独特の没入感を与える点が特別な魅力です。

まとめ

『コスミックモンスター』は1979年のインベーダー風ゲームながら、虫を思わせるアート、UFO関連ギミック、防御バンカーの戦略的破壊といった要素が組み合わさり、単なる模倣に留まらない魅力を持っていました。当時は地味だったかもしれませんが、今見ると「異端の面白さ」が詰まった作品であり、アーケード黎明期の多様性を感じさせてくれます。リメイク次第では、戦略性と緊張感を兼ね備えた現代向けレトロ作品として再評価されうるポテンシャルがあります。

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