アーケード版『アフターバーナー2』は、1987年にセガからリリースされた体感型シューティングゲームです。開発はセガAM2研(後のセガ・AM2)が手掛け、ディレクターには鈴木裕氏などが関わっています。プレイヤーはF-14トムキャットを操縦し、高速で迫る敵機をミサイルやバルカンで撃墜していきます。当時のアーケード筐体での没入感あふれる体験は、ゲームセンターに大きな衝撃を与えました。本作はアーケード以外にも、メガドライブ、PCエンジン、セガサターン、スーパー32X、ファミリーコンピュータ、マークIII/マスターシステム、X68000、FM-TOWNS、ニンテンドー3DSなど多数の家庭用機やコンピュータへ移植されています。
開発背景や技術的な挑戦
1980年代半ばのセガは、『ハングオン』や『アウトラン』などの体感型ゲームでアーケード市場を牽引していました。『アフターバーナー2』はその集大成とも言える作品であり、技術と演出の両面で限界に挑戦したゲームです。開発を担当したセガAM2研は、アーケード用専用ハード「Xボード」の性能を最大限に活用し、高速スクロールや多彩なスプライト回転・拡大縮小などを実現しました。
また、筐体にも大きな工夫がなされており、「ダブルクレイドル」タイプの大型筐体では、プレイヤーの操作に応じて前後左右に筐体が大きく傾く仕組みとなっています。これにより、視覚と身体の両方で戦闘機コックピットにいるような錯覚を与える演出が実現しました。さらに、前作にはなかったスロットルレバーを導入し、速度をプレイヤーが自在にコントロールできるようにしたことで、敵の攻撃をかわすタイミングや正確な射撃を狙う戦略性が増しています。
プレイ体験
プレイヤーは操縦桿を握り、スロットルレバーを操作してF-14を操縦します。敵機をロックオンしミサイルを発射する瞬間の爽快感や、「ファイヤー!」というボイスによる演出が非常に印象的です。操作と演出の一体感が高く、ただ撃つだけでなく飛行速度を調整することで敵の追撃を振り切ったり、正確性を求めてゆっくり進んだりと、多様なプレイができます。
ステージ構成は全23ステージとされる説もあり(ただし移植版によってステージ数や構成が異なることがあります)、急旋回や背後からの追撃、複数敵による連続攻撃、補給シーンなど変化に富んでいます。筐体の揺れや傾きも強く、それが身体に伝わることで視覚だけでなく体感としての緊張が持続します。BGMはハードロック調で、激しいギターやドラムが使われておりゲームの迫力を後押ししています。
対応プラットフォームと移植状況
『アフターバーナー2』はアーケードでのリリース後、多くの家庭用ゲーム機とコンピュータに移植されています。主な移植先は以下の通りです。メガドライブ、PCエンジン、セガサターン、スーパー32X、ファミリーコンピュータ、マークIII/マスターシステム、X68000、FM-TOWNS、ニンテンドー3DS。これらの移植版では、アーケードの体感筐体の演出をそのまま再現できないものの、画面レイアウト、音楽、操作感などに工夫をこらし、可能な限りオリジナルの雰囲気を伝えようという試みが多く見られます。特に3DS版では、立体視表示、画面レイアウトの複数選択、タッチ操作などが追加されています。
初期の評価と現在の再評価
リリース当初、『アフターバーナー2』は圧倒的な演出力と体感型筐体の革新性で大きな注目を集めました。ゲームセンターでは長蛇の列ができ、プレイヤーたちは新たな空戦体験を求めて筐体に挑みました。その革新的な試みは雑誌などでも大きく取り上げられ、アーケードの象徴的な存在となりました。
現在ではレトロゲームの再評価の流れの中で、本作は体感型ゲームの金字塔とされています。高速3Dスクロールや筐体の動き、音響演出の強さなどが改めて評価されており、移植・復刻版における忠実度の高さ(特に3DS版など)はファンからも好評です。
他ジャンル・文化への影響
『アフターバーナー2』はその体感筐体・演出・操作性によって、体感型ゲームというジャンルの代表例となり、アーケード文化に影響を与えました。体感筐体の存在は、ゲームセンターでの「体験」の価値をより強く印象づけるものとなりました。
また、BGMのハードロック調など音楽面でも影響が大きく、後のゲーム音楽作家や制作チームにとって刺激となった作品です。速度感と迫力ある演出は、3Dシューティングや飛行機アクションなど幅広いジャンルでの表現を押し広げるきっかけとなっています。
リメイクでの進化
家庭用や携帯機への移植・リメイク版では、オリジナルのアーケード演出を可能な限り再現しつつ、新たな機能を加える試みがなされています。特にニンテンドー3DS版「3D アフターバーナー2」は、立体視対応、画面レイアウトの切り替え、追加モードなどが導入されており、当時の筐体体験を思い出させる工夫がされています。
特別な存在である理由
『アフターバーナー2』が特別であるのは、ただのシューティングゲーム以上の「体験」を提供した点にあります。ダブルクレイドル筐体による身体的な没入感、スロットルレバーを用いた戦略的操作、高速スクロールと視覚・音響演出が三位一体となった構造が、ゲームという枠を超えてエンターテイメントとしての域に達しています。
また、多くの移植版が存在することで、時代・ハードを超えてその魅力が広がってきたことも特筆に値します。オリジナルのアーケードを知る世代だけでなく、新しい世代にも刺激と感動を与えてきた作品です。
まとめ
『アフターバーナー2』は1987年リリースのアーケードゲームにして、体感型シューティングの金字塔です。対応プラットフォームの多さもその普及性と影響力を物語ります。アーケードの迫力、家庭用機・携帯機での再現・改良、サウンド・操作性・演出の融合など、あらゆる面で当時を代表する一作であり、今も色あせず楽しめるゲームと言えます。
©1987 SEGA