アーケード版『カルテット』は、1986年にセガから発売された横スクロールアクションシューティングゲームです。最大の特徴は、タイトルが示す通り「4人同時プレイ」が可能であることです(専用筐体)。プレイヤーは4人の異なるキャラクターから一人を選び、ジェットパックで空を飛びながら、敵を倒して鍵を手に入れ、出口のドアを目指します。多人数プレイによる賑やかさと、スピード感あふれるアクション、そして何より当時のゲームシーンを席巻したファンキーでスタイリッシュなBGMが、多くのプレイヤーを熱狂させた伝説的なタイトルです。
開発背景や技術的な挑戦
本作の開発における最大の技術的挑戦は、4人ものプレイヤーが同時に画面上で動き回る際の処理速度の維持でした。当時の最新基板であるシステム16の性能をフルに活用し、大量の弾幕、敵キャラクター、そして4人の自機が重なっても処理落ちが発生しないよう、高度な最適化が行われました。また、キャラクターごとに異なる武装や性能を持たせつつ、4人が協力して攻略できるステージデザインを構築することも大きな課題でした。結果として、多人数プレイの混乱を「楽しさ」へと昇華させることに成功し、アーケードならではの体験を生み出しました。
プレイ体験
プレイヤーは、空中を自在に浮遊できるジェットパックを駆使して進みます。敵を倒すと出現するパワーアップアイテムを奪い合ったり、協力してボスを倒したりする多人数プレイ特有の駆け引きが楽しめます。各ステージの最後には鍵を持った敵が登場し、これを奪ってドアを開けることでクリアとなります。常に残機(パワー)が減少していくタイムリミット制が採用されているため、一瞬の油断も許されないスピーディーな展開が続き、4人で声を掛け合いながら遊ぶ楽しさは格別なものでした。
初期の評価と現在の再評価
稼働当初、その圧倒的なクールさと4人同時プレイという革新性は、アーケードシーンに大きな衝撃を与えました。特に、川口博史氏(Hiro師匠)によるBGMは「ゲーム音楽の歴史を変えた」とまで称賛され、音楽を聴くためにコインを投入するプレイヤーも続出しました。現在では、ベルトスクロールアクション以前の多人数協力アクションの完成形として、非常に高く再評価されています。協力プレイの楽しさと、個人のスキルが試されるバランスの良さは、今なお多くのゲームファンから称えられています。
他ジャンル・文化への影響
『カルテット』が確立した「4人同時協力アクション」というスタイルは、後の『ガントレット』などの洋ゲーや、後のセガの多人数アクションゲームに多大な影響を与えました。また、本作の洗練されたグラフィックと音楽の融合は、ビデオゲームを一つの「クールな遊び」として定義し直し、後のゲーム文化におけるサウンドトラックの重要性を世に知らしめるきっかけとなりました。ゲーム音楽というジャンルの発展において、本作の果たした功績は計り知れません。
リメイクでの進化
本作は、2人同時プレイ用に調整された『カルテット2』や、家庭用セガ・マークIII版など、様々な形で展開されました。近年の復刻版では、ついに4人同時プレイが可能なアーケードオリジナル版の完全移植が実現しています。ワイド画面への対応や、音質の向上により、当時の「最強のカルテット体験」が現代に蘇っています。また、キャラクターごとの詳細なデータ確認や練習モードが追加されたことで、より深くゲームを理解できるよう進化を遂げています。
特別な存在である理由
本作が特別な存在である理由は、その「一体感」にあります。4人で肩を並べて画面を見つめ、鍵を奪い合い、時に助け合うという体験は、ネット対戦が主流の現代でも得がたい貴重なものです。そして、一音聴いただけで当時のゲームセンターの空気感を呼び覚ます圧倒的な音楽の力。それらが一体となって、単なるゲーム以上の「青春の記憶」としてプレイヤーの心に刻まれているからこそ、本作は特別な一作なのです。
まとめ
アーケード版『カルテット』は、技術、音楽、そしてゲーム性が奇跡的な調和を見せた、セガ・アーケード史上屈指の名作です。4人で奏でる協力プレイのハーモニーは、ビデオゲームが持つ「人と繋がる楽しさ」を最大級に表現しています。クールな音楽に乗せて、ジェットパックで戦場を舞うあの興奮は、今もなお色褪せることがありません。もし4つのコントローラーを繋げる機会があれば、ぜひ仲間とともにこの伝説のドアを開けてみてください。
©1986 SEGA

