アーケード版ファンタジーは1982年にSNK当時の新日本企画から発売されたアクションアドベンチャーゲームです プレイヤーは主人公を操作し海賊にシェリーという名の人物がさらわれた事件をきっかけに彼女を追って様々な試練を乗り越えていくことになります 操作は8方向レバーのみを使用しボタン操作は不要というユニークな点が特徴的でした 地上ステージでは主人公が横に歩くと自動的に剣を振って攻撃しますが空中戦では攻撃手段がないなどステージによって異なるルールが適用されることが当時のアクションゲームとしては斬新でした 全8面で構成され海賊船ジャングル海上など多様なステージがプレイヤーを待ち受けていました。
開発背景や技術的な挑戦
ファンタジーが開発された1982年頃はシンプルな操作性のゲームが主流であった中本作はレバー操作のみで攻撃が自動で行われるという独特のシステムを採用しました これはプレイヤーが複雑なボタン操作に煩わされることなくゲーム世界の冒険に集中できるようにするための技術的な挑戦であったと考えられます またステージ構成が地上戦と空中戦で明確に分かれておりそれぞれで異なるゲームプレイを要求する点も当時の開発者の意欲を示しています 例えば空中ステージでは気球で3000キロ進むという一見無茶な設定が登場しますがこれはゲーム的な演出として超高速で進むという設定で処理されておりプレイヤーの驚きを誘うものでした。さらにステージ4ではカンガルーという他作品を彷彿とさせるような面構成が見られるなど当時のSNKが様々なゲームデザインを取り入れようとしていた開発姿勢がうかがえます。
プレイ体験
プレイヤーはレバー操作のみで主人公を動かしさらわれたシェリーを追って各面を攻略していきます 地上ステージでは主人公が歩くだけで自動的に剣による攻撃が行われるためプレイヤーは敵や障害物を避けることに集中できます。ステージ2では捕らえられたシェリーを救出しますがすぐに鳥にさらわれてしまうという展開になりプレイヤーの感情を揺さぶります。ステージ4の猿が落とすリンゴやリスの凶暴化など敵の攻撃に当たるとミスになるというシビアな判定も当時のアーケードゲーム特有の緊張感あるプレイ体験を提供していました。終盤には火あぶりになりそうなシェリーを救い出すなどアドベンチャー要素の強いドラマチックな展開がプレイヤーのモチベーションを維持させます。
初期の評価と現在の再評価
ファンタジーはその操作のシンプルさとファンタジー世界を舞台にしたアドベンチャー的な要素が当時のプレイヤーに新鮮に受け止められました 特に操作ボタンがないにもかかわらず地上戦では自動攻撃が可能というシステムはゲームをしながらジュースが飲めるという冗談めいた評価とともにそのユニークさが話題となりました。しかしリンゴに当たっただけでもミスになるなど一部の判定の厳しさは当時のプレイヤーにとって難易度が高く感じられた面もありました 現在ではその独特なゲームシステムや執念深い海賊によって何度もシェリーがさらわれるというユーモラスで繰り返しの多いストーリー展開がレトロゲーム愛好家の間で再評価されています。SNKの幅広いジャンルへの挑戦を示す貴重なタイトルとしてその歴史的な価値が注目されています
隠し要素や裏技
当時のアーケードゲームにはゲームを有利に進めるための隠された要素が存在することが多かったですがファンタジーに関してもプレイヤー間で攻略情報が共有されていました 例えば全てのヘリを倒すと門が開きシェリーと再会できるステージ8の攻略法や。エンディング後すぐにまた海賊が襲ってきてシェリーがさらわれるという2周目の構成自体が当時のプレイヤーにとっての隠されたやり込み要素の一つでした。ステージ8では下の砲台から発射される弾をヘリコプターにぶつけて倒すという敵の同士討ちを狙うという特殊な攻略法が必須でありこれを発見することも一種の裏技的な要素と言えました。これらの要素はプレイヤーの探求心と攻略意欲を刺激しゲームセンターでの挑戦を長引かせる要因となっていました
他ジャンル・文化への影響
ファンタジーは後のゲームデザインにおけるさらわれたヒロインを救出するという王道のテーマをファンタジーとアドベンチャーの要素を交えながら表現した作品の一つです 特にステージ構成や敵キャラクターのユニークさそして救出してもすぐにまたさらわれるというコミカルな展開は後のアクションゲームやアドベンチャーゲームのストーリーテリングに間接的な影響を与えた可能性があります 主人公の剣による自動攻撃やレバーのみの操作というシンプルさはカジュアルなプレイヤー層へのアピールを意識したものであり後の家庭用ゲームの簡易的な操作性にも通じる思想が見られます レトロゲーム文化においてはその個性的なゲームシステムや主人公の行動に対しておい主人公何やってんだよと突っ込みたくなるようなストーリー展開が親しまれる理由の一つとなっています。
リメイクでの進化
ファンタジーの大規模なリメイクは現在確認されていませんがもしリメイクされるならばそのゲーム性を現代の技術でどのように進化させるかという点が焦点となるでしょう 例えば当時の8方向レバーのみの操作を活かしつつ攻撃手段がない空中戦に現代的な回避アクションや制限付きの飛び道具といった新たな要素を追加することでより戦略的なゲームプレイが実現可能です またシェリーを追うというアドベンチャー要素を深掘りし各ステージに隠された謎解き要素や主人公とシェリーのキャラクター描写を豊かにするストーリーテリングを強化することも考えられます 原作の持つユーモラスなまたさらわれた展開をボイスやアニメーションで表現することでさらに魅力的なリメイク作品となる可能性を秘めています
特別な存在である理由
ファンタジーが特別な存在であるのはSNKが1980年代初頭という時期に主流であったシューティングゲームとは一線を画したファンタジー世界を舞台にしたアクションアドベンチャーというジャンルに果敢に挑戦した意欲作である点です 操作ボタンを使わずレバーのみで地上戦の攻撃が自動で行われるという当時としては非常に珍しいシステムを採用した独創性もこの作品を特別なものにしています。また主人公が命がけで救出したシェリーがすぐにまた海賊にさらわれるというお決まりのパターンが難易度を上げて2周目へと突入させる構成は。プレイヤーの記憶に強く残りこのゲーム独自の魅力となっています 日本のアーケードゲームの多様性が芽吹き始めた時代のSNKの遊び心と挑戦の歴史を伝える貴重なタイトルです
まとめ
アーケード版ファンタジーは1982年にSNKから登場したレバー操作のみで遊べるユニークなアクションアドベンチャーゲームです シェリーを追って海賊や動物たちと戦うというファンタジー要素とユーモアが混在した世界観が特徴的でした。地上戦と空中戦で異なるゲームシステムを採用するなど当時の技術的な制約の中で最大限のアイデアを盛り込んだ意欲作として現在でもレトロゲームファンから愛され続けています シンプルな操作でありながらも攻略の奥深さや繰り返されるドラマチックな展開がプレイヤーの心を掴んだ日本のビデオゲーム史においてSNKの多様性を示す重要な作品です
©1982 SNK