アーケードゲーム版『デザートブレイカー』は、1992年にセガから稼働が開始された、任意スクロール型のアクションシューティングゲームです。開発もセガが手掛けており、砂漠を舞台に個性的なキャラクターを操作して戦う作品となっています。360度へのショットに加え、多彩なアイテムや近接攻撃、さらには搭乗可能なロボットなど、当時のシューティングゲームとしてはアクション要素が非常に多岐にわたり、自由度の高いプレイフィールが特徴です。また、発動中に無敵となるダッシュなどのユニークなシステムも搭載されており、稼働当時の設置店舗は少なかったものの、その濃密なゲーム性から一部のプレイヤーにはカルト的な人気を博しました。なお、この作品は長らくアーケードでのみプレイ可能でしたが、後に2022年に発売された家庭用ゲーム機のアストロシティミニ Vにて初めて移植が実現しました。
開発背景や技術的な挑戦
『デザートブレイカー』が開発された1990年代初頭は、アーケードゲームの表現力が飛躍的に向上していた時期です。セガはこの作品で、当時の技術水準を活かしつつ、従来のシューティングゲームの枠にとどまらない、アクション性の高いゲームシステムを構築することを目指しました。技術的な挑戦としては、多方向へのスクロールと、敵味方入り乱れる多数のオブジェクトをスムーズに描画するための処理能力の確保が挙げられます。特に、背景の砂漠や基地の緻密な描画、そしてプレイヤーが乗り込むことができるロボットなどの巨大なスプライトの表現は、当時のハードウェアの性能を限界まで引き出した結果と言えます。また、FM音源による独特のBGMは、ゲームの世界観を深く印象づけ、聴覚からもプレイヤーに刺激を与えることに成功しています。この時期のセガらしい、野心的な試みが詰め込まれたタイトルであると言えるでしょう。
プレイ体験
プレイヤーは、個性豊かな3人のキャラクターの中から1人を選び、敵の待ち受ける広大なステージへと挑みます。『デザートブレイカー』のプレイ体験は、単なる弾を撃ち込むシューティングというよりも、状況に応じたアクションの選択が求められるアクションゲームに近いものです。基本となる360度ショットに加え、敵に密着して繰り出す近接攻撃は、弾幕を避けながらも積極的に敵陣に切り込む戦略を可能にします。さらに、特定のアイテムで呼び出せる搭乗型ロボットは、高い耐久力と強力な攻撃力で戦況を一変させます。特に注目すべきは、短いながらも無敵時間を持ち、緊急回避や素早い位置取りに使えるダッシュシステムです。これにより、プレイヤーは敵の攻撃パターンを読むだけでなく、自らの立ち位置や攻撃手段を瞬時に判断し、アクションの多様性を最大限に活かした立ち回りが要求されます。このアクションの多さが、何度でも遊びたくなる深い中毒性を生み出していました。
初期の評価と現在の再評価
『デザートブレイカー』は、稼働開始当初、その設置店舗の少なさから、多くのプレイヤーの目に触れる機会が限られていました。そのため、初期の評価は、その高いゲーム性にもかかわらず、限られたプレイヤー間での熱狂的な支持に留まっていた側面があります。しかし、実際にプレイした層からは、その多岐にわたるアクション要素、ユニークな世界観、そして難易度の高さから来る達成感が評価されていました。現在の再評価の動きは、主にレトロゲームの復刻や移植が活発になる中で起こっています。長年の時を経て、このタイトルが持つ、従来のシューティングにはない自由度の高いアクション性や、奇抜なボスキャラクターのデザインなどが再認識され、知る人ぞ知る名作、セガの隠れた異色作として改めて注目を集めています。稀少性の高さも相まって、アストロシティミニ Vでの移植は多くのレトロゲームファンから歓迎されました。
他ジャンル・文化への影響
『デザートブレイカー』は、その独自のゲームシステムから、後続のゲーム開発に間接的な影響を与えた可能性があります。特に、全方位へのショットと近接攻撃を組み合わせたアクション要素、そして緊急回避のための無敵ダッシュのアイデアは、後のアクションシューティングゲームや、見下ろし型のアクションRPGなどに通じる要素を持っています。また、終末的ながらもコミカルな要素も含む独特な世界観や、デザイン性の高い搭乗メカニックは、後のゲームデザインやサブカルチャーにおけるメカ表現にインスピレーションを与えたかもしれません。ただし、カルト的な人気であったため、具体的な作品名への直接的な影響を特定するのは難しいものの、その多角的アクションシューティングというコンセプトは、当時のゲームデザインにおける1つの可能性を示したと言えます。
リメイクでの進化
『デザートブレイカー』は、発売から実に30年の時を経て、アストロシティミニ Vという形で初めて家庭用ゲーム機に移植されました。この移植版は、オリジナルのゲーム内容を忠実に再現しつつ、現代のプレイヤー向けに様々な便利機能が追加されており、実質的なリマスターに近い価値を持っています。例えば、ゲームを途中でセーブできる機能や、何度でもコンティニューできる機能、そしてゲームプレイを巻き戻せる機能などは、当時の高い難易度に挑戦するプレイヤーにとって大きな助けとなります。また、移植版によっては、連射機能などのカスタマイズオプションが搭載されることもあり、オリジナルの持つ魅力を損なうことなく、快適なプレイ環境を提供することで、新たなプレイヤー層へのアピールにも成功しています。
特別な存在である理由
『デザートブレイカー』が特別な存在である理由は、その稀少性と革新性に集約されます。稼働店舗が極端に少なく、当時プレイできたプレイヤーが限られていたため、長らく幻のゲームとして語り継がれてきました。そして何より、当時のシューティングゲームの常識を打ち破る、多角的かつアクション要素の強いゲームプレイは、その革新性の高さを物語っています。単なる弾避けゲームに終わらず、戦略的な位置取り、近接戦闘、そして搭乗メカといった多様な選択肢をプレイヤーに与えたことは、ゲームデザインの可能性を広げました。この体験したくてもなかなかできなかったという稀少な背景と、そのゲーム性がもたらす濃密な体験が結びつき、多くのファンにとって特別な位置づけを持つタイトルとなっています。
まとめ
アーケードゲーム『デザートブレイカー』は、1992年にセガが世に送り出した、非常にユニークなアクションシューティングゲームです。多方向ショット、近接攻撃、無敵ダッシュ、搭乗ロボットといった要素が複雑に絡み合い、高い戦略性とアクション性を両立させていました。当時の環境から稀少性が高かったものの、そのゲーム性の高さはコアなプレイヤーから支持を受け、長年の時を経て、アストロシティミニ Vでの移植によって再評価されています。レトロゲームの移植を通じて、現代のプレイヤーもこの隠れた名作に触れる機会を得ており、その野心的なゲームデザインとユニークな世界観は、今なお色褪せない魅力を持っています。当時のセガが持っていた、新しい面白さを追求する情熱が結実した、貴重な作品であると強く感じます。
©1992 SEGA