アーケード版『フェアリーランドストーリー』魔女プトレミーと101ラウンドの冒険

アーケード版『フェアリーランドストーリー』は、1985年7月に日本でタイトーが開発・発売したプラットフォームゲームです。プレイヤーは魔女プトレミーを操作し、ステージ上の敵をすべて処理して次のラウンドへ進む形式です。敵を魔法でケーキ化し、それを落として他の敵を押しつぶすというユニークなギミックや、ステージ内の時間制限、101ラウンドと最終ボスの存在などが特徴です。アーケード以外でも、MSX、Sharp X68000、携帯電話(iモードなど)、そしてNintendo SwitchやPlayStation 4向けとしてアーケードアーカイブスシリーズでの再配信が行われています。

開発背景や技術的な挑戦

この作品はタイトーのデザイナーであるヒロシ・ツジノによる構想を元に作られました。魔女プトレミーが敵をケーキに変え、それを落として敵を倒すというアイデアを中心に据え、ステージ構成や敵の配置が緻密に設計されています。また、当時のハードウェアの制約の中で101ラウンドという長大な構成を実現し、アーケードゲームとしての到達目標を明確に持たせています。グラフィックはカートゥーン風味を帯びており、敵種の多様さやステージごとの演出が、プレイヤーを飽きさせない工夫となっています。

プレイ体験

プレイヤーはプトレミーを操作して左右移動やジャンプ、魔法攻撃を駆使して敵を処理します。魔法を当てた敵はケーキに変わり、そのケーキを落とすことでスクワッシュ(押し潰し)でき、他の敵を巻き込めば高得点となります。ステージごとに時間制限があり、長引くと太陽のような存在が現れてプレイを妨害する要素が発生します。これによりゲームのテンポが維持され、単なる反射神経だけでなく効率的な立ち回りが求められます。敵はオーク、ウィザード、クレリック、ゴーレム、ドラゴンなど多彩で、それぞれ異なる行動パターンを持ち、ステージ進行に応じて難易度が増していきます。

初期の評価と現在の再評価

発売当時の具体的なレビューは限られていますが、ユニークな仕組みやキャラクターデザインは好意的に受け入れられていました。後年、レトロゲームとして再評価され、アーケードアーカイブス版の登場により新世代のプレイヤーにも親しまれるようになりました。また、キャンセルされたファミコン版のプロトタイプが発見されたこともあり、保存や研究の観点からも注目されています。

他ジャンル・文化への影響

『フェアリーランドストーリー』はタイトーが展開したバブルボブルやニュージーランドストーリーといった後のコミカルアクション作品に強い影響を与えました。敵やアイテムの一部は他作品に登場することもあり、レトロゲーム文化においてもよく語られる存在です。日本のアーケード史において独自のポジションを持ち、収集家や研究者からも注目されています。

リメイクでの進化

完全なリメイクは存在しませんが、移植や再配信により進化した形で楽しめます。MSX版では新ステージや新たな敵が追加され、Sharp X68000版はオリジナルに忠実ながら家庭用機能を盛り込みました。携帯電話(iモードやEZweb)向けにも簡易版が移植され、2020年にはNintendo SwitchとPlayStation 4でアーケードアーカイブス版が登場し、オンラインランキング機能などが搭載されました。

特別な存在である理由

本作が特別視される理由は、敵をケーキに変えて押し潰すという独創的な仕組みによる戦略性です。複数の敵を巻き込んで倒すことで得られるスコアの高さは、プレイヤーにスコアアタックの動機を与えます。また、101ラウンドと最終ボスによる達成感も当時のアーケードゲームとしては画期的でした。さらに、後年の移植や未発表作品の発見によって、単なる過去のゲームではなく、歴史的に重要な存在として認識されています。

まとめ

アーケード版『フェアリーランドストーリー』は、1985年当時の技術の中でユニークなギミックと緻密な設計を実現した作品です。MSXやSharp X68000、携帯電話、Nintendo SwitchやPlayStation 4など、複数のプラットフォームで展開されたことで、その魅力は今なお継承されています。高難易度と独自の遊び方を備えた本作は、タイトーのアクションゲームの流れを形作り、日本のアーケード文化において欠かせない一作となっています。

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