アーケード版『ごんべえのあいむそ〜り〜』政治風刺と迷路アクションの異色作

アーケードゲーム『ごんべえのあいむそ〜り〜』は、1985年に発売されたドットイートタイプのアクションゲームです。開発はコアランドテクノロジー(後のバンプレスト)、発売はセガ(バンプレスト名義)によって行われました。政治風刺とユーモアが融合した独特の世界観が特徴です。

開発背景や技術的な挑戦

本作は、当時の日本を揺るがしていたロッキード事件や田中金脈問題などの政治スキャンダルを題材に、政治風刺ゲームとして開発されました。主人公「ごんべえ」は田中角栄に酷似したキャラクターで、「I’m Sorry(I’m Sōri)」というタイトルは、総理と英語のかけ言葉になっています。開発元のコアランドは風刺的な内容を通じて、社会的な問題をゲームに落とし込む挑戦を行いました。

プレイ体験

1画面固定の迷路に配置された金塊を集め、国会議事堂(スタート地点)まで運ぶことが目的。操作はレバー+ジャンプ・攻撃ボタンというシンプル仕様です。パンチやハリセンで敵を倒しつつ、金塊をまとめて運ぶことで高得点が狙えます。マップは4種類で、ループしながら徐々にギミック(ベルトコンベア、浮き沈みする石など)や敵キャラが増えていきます。敵キャラはタモリ風、ジャイアント馬場風、マイケル・ジャクソン風、瀬古利彦風、マリリン・モンロー風など、ユーモラスかつ奇抜。捕まるとそれぞれ特徴的な演出があります。

評価:当時と現在

発売当時、本作は政治風刺を取り入れたユニークなアプローチで話題となり、賛否両論を呼びました。テーマに共感する層からは高評価を得ましたが、政治ネタに馴染みのないプレイヤーからは取っつきにくいとの意見もありました。現在では、その大胆な風刺や奇想天外なキャラクター表現がレトロゲームファンから再評価されており、風刺ゲームの先駆的存在として注目されています。

他ジャンル・文化への影響

本作は政治風刺ゲームとして当時は異色でしたが、後の政治・社会問題を扱う風刺的なゲーム作品への先駆けとなりました。ただし、家庭用移植や復刻が一切行われておらず、アーケード筐体でプレイするしか現状では手段がありません。

リメイクでの進化

現代にリメイクする場合、以下の進化が期待されます:

  • グラフィックの高精細化・リマスター化
  • オンラインランキングや対戦モードの導入
  • 現代の政治・社会情勢を反映した新規ステージやキャラクター
  • ギミック追加や難易度の調整機能

筆者視点の総評

『ごんべえのあいむそ〜り〜』は、ゲームを通じて当時の政治事情をコミカルに切り取った稀有な作品です。過激なパロディや風刺は、時代と紐づいた一過性の要素でもありますが、それゆえに鮮烈で記憶に残る体験になっています。家庭用移植がないまま現在に至ることは惜しい限りですが、ファンにとっては今なお伝説として語り継がれています。

まとめ

1985年のアーケードゲーム『ごんべえのあいむそ〜り〜』は、政治風刺+ドットイートという異色の組み合わせで当時の社会を鋭く風刺した作品です。キャラクターや効果音など細部にも仕掛けがあり、ループごとのギミック追加でじわじわ難しくなる設計も秀逸です。移植や復刻がない今となっては、アーケード基板を通じて当時の空気を味わうしかない唯一無二のゲームです。

© SEGA 1985