『将棋の達人』は、日本将棋をネオジオポケットで手軽に対局できるテーブルゲームです。ADKが手掛け、1998年11月20日に発売されました。盤面と駒をモノクロ画面に収め、外出先でも1局を進められることが大きな特徴です。派手な演出や物語ではなく、駒の動かし方、相手との読み合い、王将を詰ませるまでの手順を中心に据えています。実物の盤や対局相手を用意しなくても、自分のペースで考えながら指せるため、将棋の練習用としても利用できます。
対局では、カーソルで動かしたい駒を選び、移動先を指定します。歩、香車、桂馬、銀、金、角、飛車、王将にはそれぞれ異なる動きがあり、取った駒を自分の持ち駒として盤上へ戻せる将棋の規則も再現されています。敵陣へ進んだ駒を成るかどうか、持ち駒をどこへ打つかといった判断が局面を左右します。目先の駒を取るだけでは自陣が崩れるため、相手の次の1手を予測し、王将を守りながら攻める必要があります。携帯機では盤面が小さいものの、駒の位置を順番に確認すれば、落ち着いて局面を把握できます。
本作の価値は、決められた物語をクリアすることより、対局のたびに異なる展開が生まれる点にあります。同じ戦法を試しても相手の応手によって形が変わり、敗れた局面を振り返りながら次の1局へ生かせます。将棋を初めて遊ぶ場合は、まず各駒の動きと王手への対応を覚え、駒損を避けることから始めると理解しやすくなります。経験者は、序盤の駒組みや終盤の詰みを携帯機上で考える楽しみがあります。後にカラー表示へ対応した『将棋の達人 カラー』も発売されました。本作はモノクロ専用ですが、思考に集中できる簡潔な画面と、場所を選ばず対局できる携帯性を備えた1本です。
