アーケード版『アンダーファイアー』は、1994年2月にタイトーから発売されたアーケード向けガンシューティングゲームです。プレイヤーは警察官となり、凶悪な犯罪組織を相手に激しい銃撃戦を繰り広げます。本作は実写取り込みのようなリアルなグラフィックと、派手な破壊演出を最大の特徴としています。専用の筐体には、射撃時に反動を体感できるサブマシンガン型のコントローラーが搭載されており、直感的な操作で多数の敵をなぎ倒す爽快感が追求されています。1990年代前半のアーケードシーンにおいて、画面内のオブジェクトが細かく破壊される描写や、映画のようなカメラワークを取り入れた演出は、当時のプレイヤーに強い印象を与えました。
開発背景や技術的な挑戦
本作が開発された1994年頃は、アーケードゲームの表現手法が2Dドット絵から3Dポリゴンへと移行する過渡期にありました。そのような状況下でタイトーが採用したのは、スプライト技術を極限まで活用し、実写のような質感を持たせる手法でした。背景やキャラクターには密度感のある画像が使用されており、奥行きのある空間を擬似的に再現するために、レイヤーを多用したスクロール技術が投入されています。特に技術的な挑戦として挙げられるのは、大量の破片やエフェクトが画面内を舞う際の処理速度の維持です。当時の基板性能を引き出すため、プログラムレベルでの最適化が行われました。プレイヤーが放つ弾丸によって窓ガラスが割れ、壁が崩れ、車両が爆発する様子を遅延なしで表示させることは、没入感を高めるための最優先事項として開発されました。また、光線銃ではなく、トリガーを引くと振動するメカニカルなフィードバックを搭載したことも、ハードウェア面での大きなこだわりでした。
プレイ体験
プレイヤーは2人同時プレイが可能な環境で、画面外から次々と現れる敵キャラクターを射撃していきます。基本的なルールはシンプルであり、敵が撃ってくる弾丸を受ける前に倒すことが求められます。本作のプレイ体験を決定づけているのは、フルオートで連射可能なサブマシンガンの爽快感です。弾数制限を気にせずトリガーを引き続けることができる場面が多く、圧倒的な火力で敵を制圧する感覚が楽しめます。ステージ構成は都市部のアスファルトから室内、さらには走行中の列車の上など、アクション映画のクライマックスシーンを詰め合わせたようなバリエーションを誇ります。敵の配置は緻密に計算されており、遮蔽物から突然顔を出す敵や、高所から狙撃してくる敵など、常に周囲に気を配る緊張感があります。また、画面内の特定のオブジェクトを撃つことでボーナスアイテムが出現したり、敵を一掃できる爆発物を利用したりといった、攻略の幅も用意されています。ダメージを受けるとライフが減り、全てなくなるとゲームオーバーとなりますが、道中の回復アイテムや難易度曲線によって、初心者から上級者までが熱中できる設計となっています。
初期の評価と現在の再評価
リリース直後の評価としては、その圧倒的なビジュアルの密度と破壊表現が高く評価されました。特に、当時のゲームセンターにおいて実写に近いグラフィックは目を引きやすく、多くのプレイヤーがその迫力に圧倒されました。一方で、一部のプレイヤーからは、同時期に登場し始めていた完全な3Dポリゴンゲームと比較して、スプライトベースの表現に古さを感じるという声もありました。しかし、現在における再評価では、2D技術の到達点の1つとして非常に高い価値が見出されています。ポリゴンでは表現しきれなかった当時の実写特有の質感や、職人技とも言えるスプライトの多重スクロールは、現代のゲームにはない独特の味としてレトロゲームファンから愛されています。また、シンプルながらも骨太なゲームバランスは、今遊んでも色あせない面白さを提供しており、タイトーの職人気質が詰まった隠れた名作として語り継がれています。
他ジャンル・文化への影響
本作が後世のゲームや文化に与えた影響は、その破壊の美学にあります。周囲の環境がプレイヤーの行動によってリアルタイムに変化していく描写は、後のシューティングゲームにおける環境破壊要素の先駆けとなりました。また、警察官が主人公のガンアクションという設定は、映画のスタイルをゲームに落とし込む際の手本となり、物語性を持たせたガンシューティングの普及に寄与しました。音楽面においても、タイトーのサウンドチームによる疾走感あふれるBGMは、当時のゲームミュージックシーンで注目を集めました。本作で培われた演出技法は、他のシューティングゲームだけでなく、アーケードゲーム全体の演出レベルを底上げする一助となりました。
リメイクでの進化
本作はアーケード版としての完成度が高かったものの、家庭用への移植機会は極めて限られていました。しかし、後年になってタイトーの名作を収録したコンピレーションタイトルなどで、家庭で遊べる機会が作られました。リメイクや移植に際しては、ハードウェアの進化により、アーケード版当時の処理落ちが解消され、よりスムーズな描画でプレイ可能となっています。また、コントローラーでの操作に合わせて照準の移動速度が調整されるなど、家庭用ならではの最適化も施されました。アーケード版の持つ荒々しいエネルギーはそのままに、現代のディスプレイで鮮明に再現されるグラフィックは、当時のプレイヤーには懐かしく、新規プレイヤーには新鮮な体験を与えています。特に、専用筐体を持たない環境でも、その爽快感を損なわないように工夫された操作体系は、移植スタッフの原作に対する敬意の表れと言えます。
特別な存在である理由
本作が多くのゲームファンにとって特別な存在であり続ける理由は、1990年代のアーケードゲームが持っていた熱量を体現しているからです。実写と見紛うようなスプライトグラフィック、体に響くフィードバック、そして容赦のない敵の攻撃。それら全てが、プレイヤーを一瞬で戦場へと引き込む力を持っていました。3Dゲームが主流になる直前の、2D技術が最も輝いていた時代の記憶として、本作は欠かせないピースとなっています。また、単に敵を撃つだけでなく、街を壊し、物を壊すという楽しさをエンターテインメントとして昇華させた点も、多くの人の記憶に刻まれている要因です。洗練された現代のゲームにはない、ある種の泥臭さと力強さが、本作を唯一無二の存在にしています。
まとめ
アーケード版『アンダーファイアー』は、1994年という時代の節目に誕生し、スプライト技術の極致を見せた傑作ガンシューティングです。タイトーが得意とするハードな世界観と、圧倒的な破壊演出、そして専用筐体による没入感は、当時のゲームセンターに集ったプレイヤーたちに忘れがたい衝撃を与えました。技術が進化し、リアルな3Dグラフィックが当たり前となった現代においても、本作が持つ独特の質感とストレートな爽快感は失われていません。警察官として悪を討つという普遍的なテーマを、最高の演出で体験させてくれる本作は、ビデオゲームの歴史において重要な価値を持っています。今なお、特定の店舗やコレクションを通じて本作に触れる機会があるならば、ぜひそのトリガーを引き、激動の銃撃戦の中に身を投じてみることをお勧めします。そこには、純粋なエンターテインメントとしてのビデオゲームの原点があるはずです。
©1994 TAITO CORP.