アーケード版『サンダーストーム』東映動画と挑んだ映像革新

アーケード版『サンダーストーム』は、1984年5月にデータイーストが開発・発売した、レーザーディスクを用いたインタラクティブムービー形式のシューティングゲームです。東映動画制作の映像と、岸本良久氏によるゲームデザイン、熊谷慎太郎氏らのプログラミングにより構成され、音楽はロックバンドTAOが手がけました。プレイヤーは戦闘ヘリコプターLX-3のパイロットとなり、機関銃とミサイルを使って世界各地を舞台に展開する敵の脅威と戦います。

開発背景や技術的な挑戦

アーケード版『サンダーストーム』は、データイーストにとって『幻魔大戦』に次ぐ、オリジナル作品によるレーザーディスクゲーム第2弾として開発されました。映像部分は東映動画が制作し、セル画を5万枚以上使用し、制作期間1年、スタッフ総勢500名以上、制作費1億円という大規模なプロジェクトでした。当時としては革新的な映像表現と、リアルタイムでプレイヤー操作に反応する仕組みとの融合が技術的にも大きな挑戦でした。

プレイ体験

プレイヤーはLX-3戦闘ヘリのパイロットとして、ジョイスティックと2つのボタン(機関銃・ミサイル)で画面上の敵に照準を合わせて攻撃します。飛行機やヘリ、戦車、船など、敵の種類によって有効な攻撃手段が異なり、画面のマーカーや矢印に合わせて操作を行うことで映像が分岐し、進行します。操作に失敗するとアニメーションでヘリが撃墜され、ミスとなります。

初期の評価と現在の再評価

発売直後の1984年5月から8月にかけて、『サンダーストーム』は日本のアーケードランキングで4カ月連続1位を獲得し、極めて高い興行成績を上げました。その後、家庭用機の移植は行われず、アーケードとして独自の立ち位置を保ちつつ、後年には再評価も進んでおり、レーザーディスク技術を使ったインタラクティブな表現の先駆けとして注目されています。

他ジャンル・文化への影響

本作のゲームデザインには、その後のデータイースト作品、例えば『ダブルドラゴン』などにも繋がっていく要素が含まれており、レーザーディスクを活用した映像とインタラクティブなゲームを組み合わせた手法は、日本のアーケードゲーム文化において独自の地位を築きました。また、映像制作にアニメ制作会社を起用した手法は、後のフルモーションビデオゲームにも影響を与えました。

リメイクでの進化

本作アーケード版の移植作品は確認されておらず、家庭用機でのリメイクは行われていません。したがって、リメイクによって進化した要素については該当なしとさせていただきます。

特別な存在である理由

『サンダーストーム』は、データイーストによるオリジナルレーザーディスクゲームとして、東映動画との連携による高品質なアニメ映像とインタラクティブ性を融合させた点で、アーケードゲーム史において特別な存在です。制作規模の大きさ、技術的挑戦、アーケードでの成功、そして後のゲーム文化への影響という多角的な観点から重要な作品として位置づけられます。

まとめ

アーケード版『サンダーストーム』は、1984年に登場したデータイーストによるレーザーディスクゲームであり、映像とゲーム操作を融合したインタラクティブムービーという新たな形式を切り開いた野心作です。東映動画による高品質なアニメーション、岸本良久氏らによる精緻なゲーム設計、そしてアーケード市場での成功により、1980年代のゲーム表現の可能性を大きく広げた作品です。

©1984 データイースト