アーケード版『スーパーバーガータイム』は、1990年にデータイーストからリリースされたアクションゲームです。プレイヤーはシェフのピーター・ペッパーを操作し、巨大なハンバーガーの具材の上を歩いて落下させ、それらを下の皿に積み重ねてハンバーガーを完成させるのが目的です。1982年のヒット作『バーガータイム』の正統な続編として、前作の基本的なパズル要素のあるゲームジャンルを継承しつつも、グラフィックの刷新、ジャンプアクションの追加、多様なアイテムの導入、ボスキャラクターの登場など、アクション要素が大幅に強化されたことが大きな特徴です。また、2人同時プレイにも対応し、協力プレイの楽しさが加わりました。
開発背景や技術的な挑戦
『スーパーバーガータイム』の開発は、前作の成功を踏まえつつ、当時のアーケードゲームのトレンドに合わせてより進化したゲーム体験を提供することを目指しました。技術的な挑戦として、前作よりも色彩豊かで詳細なドット絵、メルヘンチックでコミカルなキャラクターデザインが導入されました。この表現力の向上は、ハードウェアの進化を活かしたもので、主人公のピーター・ペッパーをはじめ、敵キャラクターであるピクルス、ウィンナー、目玉焼きなども、より愛らしく、しかしどこかユーモラスな「悪役」として描かれています。また、具材の落下や敵の挙動を、よりスムーズかつダイナミックに表現するためのプログラミング技術も投入されました。前作ではコショウによる一時的な足止めが唯一の攻撃手段でしたが、本作ではジャンプアクションとフライパンなどの多種多様なアイテムを追加することで、プレイヤーの戦略の幅を広げ、ゲームの難易度と面白さを両立させることに注力しました。
プレイ体験
プレイヤーは、はしごや階段を使って上下に移動しながら、ステージに配置されたハンバーガーの具材全てを踏んで落とすことを目指します。具材の上を歩くとそれが一段落下するという基本システムは前作と同様ですが、ジャンプ操作が加わったことで、具材の上を飛び越えたり、敵の攻撃を避けたりするアクション性が増しています。敵キャラクターは執拗にプレイヤーを追いかけ、具材の落下に巻き込むか、コショウやアイテムで対処しなければなりません。特に、具材を落下させる際に敵を巻き込むと高得点が得られるため、リスクを冒してでも敵を誘導し、一網打尽にするという爽快感と戦略性がこのゲームの醍醐味です。さらに、ステージの最後にはワールドのテーマに合わせたボスキャラクターが登場し、純粋なパズルアクションに加えて、手ごわいボス戦という新たな挑戦がプレイヤーを待ち受けています。
初期の評価と現在の再評価
本作は稼働当初、前作のファンやアクションゲームのプレイヤーから、グラフィックの進化とゲーム性の深まりが高く評価されました。特に、2人同時プレイが可能になった点は、ゲームセンターでの協調的な楽しさを提供し、好評を博しました。しかし、難易度が高めに設定されていたため、一部のプレイヤーからは前作のシンプルで純粋なパズル要素を懐かしむ声もありました。現在では、レトロゲームの復刻や移植の機会を通じて、本作独自の魅力が再評価されています。単なる前作の焼き直しではなく、アクションパズルゲームとして独自の進化を遂げた作品であり、データイーストの持つポップで奇抜なセンスが光る名作として、多くのプレイヤーに記憶されています。特に、その後のアクションパズルゲームにおけるギミックやアイテム設計に与えた影響は少なくありません。
他ジャンル・文化への影響
『スーパーバーガータイム』は、ハンバーガーの具材を巡ってシェフと食べ物が戦うという、極めてユニークな設定と世界観を持っています。このユニークなモチーフと、具材を落下させて敵を倒すという独自のゲームシステムは、後のアクションパズルゲームの設計に影響を与えました。食べ物をテーマにしたコミカルなゲームの先駆的な作品の一つとして、ゲーム文化における「ユニークなテーマ設定の許容度」を広げたとも言えます。また、データイーストのゲームに共通する、強烈な個性と高い難易度のバランスは、同社のファン層を形成する一因となりました。本作は、アクションゲームの要素を大胆に取り入れた続編の成功例として、ゲームシリーズの進化のあり方を示す一例となっています。
リメイクでの進化
オリジナル版の稼働後、シリーズはさまざまなプラットフォームでリメイクや移植が行われています。特に、近年におけるリメイク作品では、『スーパーバーガータイム』で導入されたアクション要素の強化と、多彩なギミックが現代の技術で再現されています。例えば、HDグラフィックによるキャラクターとステージの表現力の向上、操作性の改善、そしてオリジナルの雰囲気を尊重しつつも、新たなステージや敵、アイテムを追加するといった進化が見られます。これらのリメイクは、オリジナルの持つ高いゲーム性を再確認させるとともに、現代のプレイヤーにも受け入れられやすい形で、シリーズの魅力を再び広める役割を果たしています。
特別な存在である理由
『スーパーバーガータイム』が特別な存在である理由は、大ヒット作の続編というプレッシャーの中で、単なる焼き直しに終わらず、ゲームシステムを大胆に進化させたことにあります。具材を落とすというパズル要素の核はそのままに、ジャンプやアイテムといったアクション要素を巧みに融合させたことで、より深く、戦略的なゲームプレイが実現されました。可愛らしくもどこかおかしい敵キャラクターたちとの攻防は、独特のユーモアに溢れています。この独創的なゲームシステムと、データイーストらしいコミカルで個性的な世界観の融合が、本作をアクションパズルゲームの歴史において、特別な輝きを放つタイトルとして確立させているのです。
まとめ
アーケード版『スーパーバーガータイム』は、データイーストが1990年に送り出した、アクションとパズルが高次元で融合した名作です。前作のシンプルさを発展させ、ジャンプや多彩なアイテム、そしてボス戦といった要素を加えることで、ゲームとしての奥深さと楽しさを大きく向上させました。プレイヤーはシェフとなり、難易度の高いステージで具材を落としてハンバーガーを完成させるという、ユニークな挑戦を強いられます。そのコミカルな外見とは裏腹に、戦略的な思考と高い反射神経を要求されるゲーム性は、今なお多くのプレイヤーを魅了し続けています。データイーストの独創性が光る、シリーズの進化を示す重要なタイトルです。
©1990 データイースト

