アーケード版『P-47』に見る明快爽快な戦空の美学

アーケード版『P-47』は、横スクロールシューティングゲームで、1988年にNMKが開発、ジャレコがアーケード向けに発売しました。プレイヤーは第二次世界大戦中のP‑47サンダーボルト戦闘機を操り、8ステージにわたって敵の戦車、戦艦、航空機を撃破します。パワーアップアイテムや2人同時プレイなどが特徴です。

開発背景や技術的な挑戦

本作はMega System 1基板を使用し、同社の他タイトルと比べて滑らかなスクロールと豊富な敵キャラクター表現が特徴です。また作曲を担当したSizlla Okamura氏は、戦争を直視するのではなく“自由を祝う”明るいBGMを意図しており、MSX用音源チップを活用して音楽を制作したといいます。

プレイ体験

ゲームは8ステージ構成で、序盤から地上ユニットと空中ユニットが混在し、状況に応じた操作が求められます。パワーアップで火力が増す際に操作感が変わり、アイコン取得のタイミングの駆け引きが爽快です。特に後半のボス戦では弾幕を回避しつつ攻撃する緊張感があり、プレイヤーに強烈な印象を残します。

初期の評価と現在の再評価

リリース当時、アーケード誌では人気ランキング・売上で上位に挙がり、プレイヤーから「中毒性が高い」と評価されました。一方で「Nemesis系の焼き増し」との声もありました。現代ではレトロシューティング愛好家の間で再評価されており「Arcade Archives」シリーズで再配信されるなど、当時の魅力が見直されています。

他ジャンル・文化への影響

本作の弾幕回避と攻撃タイミングの緻密さは、後の弾幕シューティングへの橋渡し的な役割を担いました。1995年の続編『P‑47 Aces』では4機体選択制や“ハイパー”システムなどが導入され、これは『DoDonPachi』などのハイパーシステムの先駆けとされています。

リメイクでの進化

もし現代にリメイクされるなら、3D演出を交えた演出強化やオンラインリーダーボード、協力・対戦モードなどが望まれます。また、BGMリマスターやコンボシステムの導入、クラウドセーブやアシスト要素搭載で、新旧プレイヤー双方に楽しめるタイトルになれるでしょう。

筆者視点の独自結論

『P‑47』は、シンプルながらも奥深いパワーアップ&ボス戦の構成が心地よく、特に家庭用では味わえない“業務用アーケード”の緊張感と連続性を持つ刺激的な作品です。昔のシューティングを語る際には、欠かせない1本だと感じます。

まとめ

1988年に生まれたアーケード版『P‑47』は、滑らかなスクロール、美麗なボスステージ、自由をテーマに据えた明るいBGMが調和したシューティングの名作です。続編『Aces』やMark IIで進化を続け、現在でもレトロゲーマーから高く評価されています。近年のリメイク環境でも可能性を持つ一本と言えるでしょう。

© 1988 Jaleco Ltd.