アーケード版『ミューテイションネイション』は、1992年3月にSNKより稼働開始され、開発もSNK内製で行われました。ジャンルは横スクロール型ビート&エムアップで、プレイヤーはリッキーとジョニーという若者を操作し、ミュータントの溢れる都市を救うストーリーが展開します。
開発背景や技術的な挑戦
元々は“Dream Over”という仮タイトルで開発されていた本作はアーケード黎明期の中断プロジェクトでしたが、最終的に1992年に完成しました。MVS基板のMC68000+Z80+YM2610(4096色)をフル活用し、スプライト表現の豊かさや多段階の特殊攻撃演出が特徴です。
プレイ体験
操作キャラはリッキーとジョニー。Aボタン連打でパンチ連携、ジャンプ攻撃、投げ技で敵を制圧します。ステージは全6面構成で、ボス戦では複数の雑魚が湧く密集戦闘が多く、戦略とテンポが求められます。
最大の特徴は“エレメンタルスフィア”と呼ばれる特殊攻撃システム。4色の元素スフィアを拾いBボタンでチャージして強力な全画面攻撃を放ちます。スフィアなしでも体力を消費して連続攻撃を繰り出せるため、戦況に応じ判断が求められます。
評価と再評価
稼働当時は一定の人気を博しました。グラフィックやエレメント攻撃の演出が称賛される一方で、操作の硬さや敵配置は賛否が分かれました。近年では再配信を通じて、シンプルながら戦略性のあるシステムや美麗な演出が再評価されつつあります。
他ジャンル・文化への影響
アーケードにおいて『ロボアーミー』と並ぶ戦略性重視のビート&エムアップとして位置づけられ、システム的には後のメタルスラッグシリーズ開発陣にも影響を与えたとされます。スフィアシステムはアクションと戦略の融合の一端を担った試みでした。
リメイクでの進化
現代リメイクにおいては、操作レスポンスの改善、スフィア対応チャージシステムの高速化、協力プレイ対応の強化、オンラインランキング導入、そしてHDグラフィック化が期待されます。新スフィアやボスの追加、新たな演出も魅力的な候補でしょう。
まとめ
『ミューテイションネイション』はアーケード黎明期に登場した意欲作で、スフィアを用いた戦略性と重厚な演出は当時としては斬新でした。クセのある操作ながらもプレイヤーの腕と判断が反映される構造は、多くのコアファンを引き付け、今も再評価される価値ある作品です。
© SNK CORPORATION 1992