アーケード版『デスブレイド』プロレス技で戦う異色ファンタジー

アーケード版『デスブレイド』は、1991年7月にデータイーストから稼働された対戦格闘ゲームです。日本国外では『Mutant Fighter』のタイトルで知られています。本作は、データイーストが1989年に発売した『ファイティングファンタジー』の続編にあたり、ファンタジー世界を舞台に、ミノタウロスやウェアウルフといったモンスターを含む個性的なキャラクターたちが王の座をかけて戦います。従来の格闘ゲームとは異なり、斜め上視点によるプロレスゲームのようなシステムと、重厚なサウンドや英語の音声合成が特徴です。

開発背景や技術的な挑戦

本作が開発された1991年は、対戦格闘ゲームの黎明期にあたります。データイーストは、前作『ファイティングファンタジー』の格闘アクションを継承しつつも、よりユニークなゲーム体験を提供するために、本作でプロレスの要素を強く打ち出しました。斜め上視点の採用は、キャラクターが組み合った際の攻防をダイナミックに見せるための工夫です。また、パンチやキックといった攻撃だけではほとんどダメージを与えられず、相手と組み合ってから投げ技でダメージを与えるというシステムは、当時の格闘ゲームとしては非常に珍しいものでした。ゲーマデリックによる重厚なサウンドや、英語の音声合成は、ファンタジー世界の闘技場の雰囲気を高める上で重要な役割を果たしました。

プレイ体験

『デスブレイド』のプレイ体験は、従来の格闘ゲームとは全く異なるものです。プレイヤーは、相手に近づいて組み合うことが勝利への鍵となります。組み合った後は、タイミングよくレバーと攻撃ボタンを入力することで、多様なプロレス技を繰り出すことができます。中には、まるでキン肉ドライバーのようなド派手な超必殺技もあり、決まった時の爽快感は格別でした。キャラクターは人間だけでなく、ゴーレムやドラゴン、ミノタウロスといったモンスターもおり、それぞれ異なる戦い方や特徴を持っていました。例えば、アマゾネスはスピードと投げ技のバランスが良く、初心者にも扱いやすいキャラクターでした。一方で、ゴーレムやドラゴンは動きが遅いものの、高い攻撃力と防御力を誇り、上級者向けのキャラクターでした。

初期の評価と現在の再評価

本作は、稼働当時にその斬新なシステムで一部のプレイヤーに熱狂的に支持されました。しかし、従来の格闘ゲームに慣れたプレイヤーにとっては、パンチやキックでダメージを与えにくいシステムや、独特の操作感が受け入れられず、人気は限定的でした。それでも、その独特な世界観や、丁寧に作られたキャラクター、そして重厚なサウンドは高く評価されました。現在では、レトロゲームとしての再評価が進んでおり、その唯一無二のゲームシステムは、現代のゲームにはない魅力として再認識されています。特に、プロレスゲームのような格闘というジャンルは、今でも特定のファンから根強い人気を誇っています。

他ジャンル・文化への影響

『デスブレイド』は、直接的な影響を後続のゲームに与えたわけではありませんが、その挑戦的なゲームデザインは、ゲーム開発者たちにジャンルの可能性を示唆しました。特に、プロレス的な投げ技を主軸とした格闘ゲームというアイデアは、その後のゲーム開発にインスピレーションを与えた可能性があります。また、ファンタジー世界と格闘ゲームを融合させた世界観は、後の様々なメディア作品に影響を与えたと考えられます。本作の成功は限定的でしたが、その挑戦的な精神は、データイーストのゲーム開発における重要な一ページを飾っています。

リメイクでの進化

本作は、スーパーファミコンやFMタウンズなど、いくつかの家庭用ゲーム機に移植されました。これらの移植版は、アーケード版の雰囲気を忠実に再現しつつ、家庭用ならではのモードが追加されるなど、進化を遂げています。しかし、大規模なリメイク版は確認できませんでした。これは、当時のゲームの性質上、忠実な移植が優先されたためと考えられます。しかし、その独特なゲーム性は、今もなお多くのファンに愛され続けています。

特別な存在である理由

『デスブレイド』が特別な存在である理由は、そのユニークなゲームデザインにあります。プロレスのような組み技と投げ技を主軸とした格闘システムは、当時のゲーム市場において唯一無二のものでした。また、ファンタジー世界を舞台にした独特の世界観や、キャラクターデザインも魅力の一つです。その独特な操作感と、挑戦的なゲーム性は、今もなお多くのファンに愛され、格闘ゲームの歴史における異色作として、特別な地位を確立しています。

まとめ

アーケード版『デスブレイド』は、1991年にデータイーストから発売された対戦格闘ゲームであり、その革新的なゲームデザインと、独特な世界観で、当時のゲーム市場に新風を吹き込んだ作品です。プロレス的な組み技をメインとした斬新なシステムは、多くのプレイヤーに驚きを与えました。その独特なゲームシステムと、重厚なサウンドは高く評価されており、格闘ゲームの歴史を語る上で欠かせない作品となっています。本作は、データイーストの挑戦的な姿勢を象徴する、異色の名作の一つです。

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