アーケード版『迷宮ハンターG』は、データイーストから1987年5月に発表されたアクションゲームです。元々は海外で人気のアニメ作品『ザ・リアルゴーストバスターズ』を題材としたゲームとして企画・開発されましたが、日本の版権上の都合からタイトルを変更して国内で稼働されました。ゲームジャンルとしては、クォータービュー<斜め見下ろし>の視点で展開するアクションシューティングゲームに分類されます。プレイヤーはゴーストバスターズをモチーフにしたキャラクターを操作し、奇怪な迷宮に潜む様々な敵やボスを倒していくことになります。最大3人までの同時プレイが可能で、協力してステージを攻略できる点が大きな特徴の1つです。なお、本作は海外では『The Real Ghost Busters』のタイトルで、ホームコンピューター向けにも、Amiga、Amstrad CPC、Atari ST、Commodore 64、ZX Spectrumといったプラットフォームで移植・発売されています。
開発背景や技術的な挑戦
『迷宮ハンターG』は、海外市場でのヒットを狙い、当時人気を博していたアニメ『ザ・リアルゴーストバスターズ』のゲーム化として開発されました。しかし、日本国内でのリリースにあたっては、複雑な版権問題をクリアする必要があり、結果的にオリジナルの世界観を持つ『迷宮ハンターG』としてタイトルを変更して発表されました。タイトルのGは、元の企画のゴーストバスターズの名残であると言われています。このため、国内版と海外版『The Real Ghost Busters』では、ゲーム内容に細かな違いが存在し、それが後年のコレクターズアイテムとしての価値を高める要因ともなっています。
技術面では、当時のアーケードゲームとしては標準的でしたが、データイーストの専用基板を使用し、HD6309やM6502といったCPU構成、そしてYM2203やYM3812といった音源チップを搭載していました。これにより、コミカルながらも賑やかなゲームBGMと効果音を実現しています。最大3人同時プレイへの対応も、当時の技術的な挑戦の1つと言えます。3人同時プレイを実現するために、JAMMA規格の未使用部分を3P目のI/Oに使用するなど、ハードウェア面での工夫が見られます。
プレイ体験
プレイヤーは、8方向レバーと2つのボタンを使用してキャラクターを操作します。基本的な操作は、レバーで移動、ボタンで通常攻撃と回転攻撃を行います。通常攻撃は前方に発射するビームで、回転攻撃はキャラクターの周囲にいる敵を攻撃できるため、状況に応じた使い分けが重要となります。さらに、2つのボタンを同時に押すことで、画面上の敵に大ダメージを与える強力なビームを発射できるのが特徴です。この同時押しによる攻撃は、ピンチを切り抜けるための重要な要素となっています。
ゲームはステージクリア型で、各章の最後に待ち構えるボスキャラクターを倒すことで次の章へと進みます。迷宮という名の通り、道中には様々な仕掛けや敵が配置されており、アイテムの取得によるパワーアップやボーナス点獲得要素もあります。最大3人での同時プレイは、協力して敵を一掃する爽快感を提供し、仲間との連携が攻略の鍵を握る、当時のアーケードゲームらしい賑やかで楽しいプレイ体験を生み出しました。家庭用への移植版<アーケードアーカイブスなど>でも、この多人数プレイの楽しさは再現されています。
初期の評価と現在の再評価
『迷宮ハンターG』は、発売当時のゲームセンターでは、データイーストのアクションゲームとして一定の評価を得ましたが、他の大ヒット作と比較すると、出回りが少なく、目立つ存在とは言い難い状況でした。ゲーム内容も、版権元の世界観を活かしつつも、やや単調なアクションシューティングとして受け止められることがありました。一方、海外で発売されたホームコンピューター版は、それぞれのプラットフォームの特性に合わせて移植されましたが、その評価はまちまちでした。
しかし、現在ではレトロゲーム愛好家の間で再評価が進んでいます。特に、海外版との違いや、最大3人同時プレイが可能な珍しいタイトルとして注目されています。データイーストというメーカーが持つ独自のセンスが光るグラフィックやサウンド、そして、版権問題に翻弄されながらも国内でリリースされた経緯など、ゲームの背景を含めたコレクターズアイテムとしての価値が高まっています。
他ジャンル・文化への影響
『迷宮ハンターG』は、アクションシューティングゲームとして、後続のゲームに直接的な大きな影響を与えたという明確な記録は見られません。しかし、海外アニメのゲーム化という企画の実現プロセス、すなわち版権の都合で国内版と海外版でタイトルや内容が変更されるという事例は、当時の日本のゲーム業界における版権ビジネスの難しさを象徴する出来事として、一部のゲーム史研究家や愛好家の間では注目されています。
また、データイースト独自のサウンドチームが手掛けたBGMは、後年発売された同社のサウンドトラックに収録されており、レトロゲーム音楽という文化においては一定の評価を得ています。コミカルな敵キャラクターのデザインや、最大3人での協力プレイといった要素は、後のアクションゲームにおける多人数プレイの可能性を間接的に示したと言えるかもしれません。
リメイクでの進化
『迷宮ハンターG』は、その版権が複雑である経緯や、比較的小規模なヒットに留まった経緯から、オリジナルの内容を大幅に変更した公式なリメイク版は存在しません。
特別な存在である理由
この作品が特別な存在である理由は、その複雑な出自と希少性、そして現代での復刻にあります。人気アニメのゲーム化という背景を持ちながら、版権上の制約から国内では『迷宮ハンターG』という独自のタイトルでリリースされました。この経緯が、オリジナルの『ゴーストバスターズ』ファンと、データイーストのゲームファン、双方の興味を引く要因となっています。
まとめ
アーケードゲーム『迷宮ハンターG』は、1987年にデータイーストが世に送り出したアクションシューティングゲームであり、海外アニメのゲーム化というユニークな背景を持つ作品です。複雑な版権事情から国内と海外でタイトルが異なるなど、その歴史も興味深いものがあります。最大3人同時プレイが可能な賑やかなゲーム性は、当時のゲームセンターにおいてプレイヤーたちに協力の楽しさを提供しました。
©1987 データイースト