アーケードゲーム版『スクランブルフォーメーション』は、1986年6月にタイトーから発売された縦スクロールシューティングゲームです。プレイヤーは、空中空母から発進する戦闘機「F-1002」を操作し、敵軍の攻撃を退けながら、最終ボスを撃破することが目的です。本作最大の特徴は、自機を前衛、中衛、後衛の3つにフォーメーション変更できるシステムです。フォーメーションによって攻撃方法が変化し、状況に応じて使い分ける戦略性が求められる、当時としては非常に斬新なゲームでした。
開発背景や技術的な挑戦
本作の開発は、当時のシューティングゲーム市場におけるマンネリ化を打破すべく、新しいゲームシステムを模索する中で始まりました。自機がフォーメーションを組むというアイデアは、従来の単機での戦いとは異なる、新しいプレイ体験を生み出すための大きな挑戦でした。3つのフォーメーションそれぞれに異なる攻撃方法を持たせるだけでなく、それらをスムーズに切り替えられるようにするプログラムは、当時の技術的な制約の中で実現するのは困難なものでした。また、巨大な戦艦や空中空母といった、スケールの大きな敵キャラクターを表現するため、スプライトの多重表示や、滑らかなスクロール技術も駆使されました。
プレイ体験
本作のプレイ体験は、フォーメーション変更を駆使する戦略性に満ちたものでした。プレイヤーは、状況に応じて3つのフォーメーションを使い分ける必要があります。前衛フォーメーションは、強力なショットを集中して放つため、ボスや硬い敵に対して有効です。中衛フォーメーションは、バランスの取れた攻撃が可能で、汎用性が高いです。後衛フォーメーションは、攻撃範囲が広く、画面全体に広がる敵を掃討するのに適しています。また、パワーアップアイテムを取得することで、各フォーメーションの攻撃力が向上し、より強力な敵に立ち向かえます。しかし、アイテムは敵が落とすため、無理に取得しようとすると危険な状況に陥ることもあり、プレイヤーは常にリスクとリターンを考慮しながらプレイする必要がありました。
初期の評価と現在の再評価
アーケード版『スクランブルフォーメーション』は、その斬新なフォーメーションシステムが当時のシューティングファンに高く評価されました。特に、単なる敵を避けて撃つだけでなく、フォーメーションを切り替えることで戦略性が深まる点が好評でした。一方で、フォーメーション変更のタイミングが難しく、操作に慣れるまでに時間がかかるという声もありました。現在の再評価では、そのユニークなゲームデザインが再認識されています。特に、単調になりがちな縦スクロールシューティングに、新しい戦略性を持ち込んだ功績は大きく、当時のタイトーの挑戦的な姿勢を象徴する作品として評価されています。
他ジャンル・文化への影響
『スクランブルフォーメーション』は、自機が変形・合体して攻撃方法が変わるというユニークなシステムが、後のシューティングゲームに影響を与えました。特に、複数のオプションや自機を使い分けて戦うゲームの先駆けの一つと言えます。また、空中空母から発艦するというオープニングデモの演出は、多くのプレイヤーに強い印象を残し、ゲームの世界観を盛り上げる重要な要素として評価されました。本作のBGMは、当時のタイトーのサウンドクリエイターによるもので、ゲームの疾走感を高める重要な要素として、今もなお多くの人々に愛されています。
リメイクでの進化
アーケード版『スクランブルフォーメーション』は、ファミコン版などにも移植されました。近年では、タイトーのレトロゲームコレクションに収録される形で、現代の家庭用ゲーム機でも楽しめるようになっています。これらの移植版では、オリジナルの持つユニークなゲームシステムを忠実に再現しつつ、グラフィックやサウンドが向上し、より快適にプレイできるようになりました。また、オンラインランキング機能が追加され、当時のように全国のプレイヤーとスコアを競い合うことができるようになりました。
特別な存在である理由
『スクランブルフォーメーション』が特別な存在である理由は、その斬新なフォーメーションシステムにあります。単に敵を倒し、弾を避けるだけでなく、3つのフォーメーションを使い分け、戦略的に敵を攻略するという新しいゲームの楽しみ方を提示しました。このシステムは、シューティングゲームの可能性を広げ、多くのクリエイターに影響を与えました。本作は、アーケードゲームの多様性が頂点に達していた時代を象徴する作品であり、今もなお多くの人々に愛され、語り継がれています。
まとめ
アーケード版『スクランブルフォーメーション』は、自機のフォーメーションを切り替えるという画期的なシステムを搭載した、斬新なシューティングゲームです。前衛、中衛、後衛の3つのフォーメーションを使い分けることで、プレイヤーは様々な状況に対応し、戦略的にゲームを進めることができました。このユニークなゲームシステムと、タイトーらしい作り込まれたゲームバランスは、当時の多くのプレイヤーを熱狂させました。本作は、シューティングゲームの歴史において、新しい可能性を切り開いた重要な作品であり、今もなお多くのゲームファンに愛され続けています。
攻略
プレイヤーはバイプレーンを操作し、赤い小型機を捕獲してフォーメーションを組みます。3種類のフォーメーションから選ぶことができ、それぞれ空中および地上の敵を効果的に攻撃します。ゲームは東京の主要地区を舞台に展開され、特定のポイントで巨大な母艦に直面します。
ストーリー設定
19XX年、突如として東京に巨大な隕石が落下しました。その隕石の落下と同時に、謎の飛行物体が東京を襲い、首都としての機能を停止させてしまいました。この事態に日本中は大パニックに陥り、日本政府は国連にSOSを発信しました。国連はこの危機に対応するため、米国とソ連が極秘に共同開発していた最新鋭の戦闘機「バイプレーン」の実戦投入を決定しました。この戦闘機は日本で最後の調整を終えたばかりでした。あなたは、捕らわれている仲間たちを救出する任務を担います。彼らを助け出し、フォーメーションを組んで敵に立ち向かい、東京に平和を取り戻すことが目的です。国会議事堂の地下深くにある格納庫から、あなたは「バイプレーン」を操り、勇敢に飛び立ちました。これからの戦いで、あなたと仲間たちの勇気が東京の運命を左右することになります。
ゲームシステム
操作方法
8方向ジョイスティックと2つのボタンを使用します。プレイヤーは自機「バイプレーン」を操作し、敵機を撃墜しながら進むループゲームです。敵や敵弾に自機が当たるとミスとなり、自機がすべて無くなるとゲームオーバーになります。
フォーメーションシステム
このゲームでは、敵を倒すことで「ミニプレーン」と呼ばれる僚機を獲得し、自機の編隊に加えることができます。赤い空中敵を倒すとミニプレーンが登場し、これを取ると自機の列機として加わります。最大で4機まで編隊に加えることが可能です。また、赤い地上敵を破壊すると、自動的に仲間機が4機増えます。仲間機が2機以上になると、フォーメーションを変更できるようになります。チェンジボタンを押すことで、以下の3種類のフォーメーションを選択できます。
フォーメーション | 概要 |
---|---|
F1 | 対地空両用フォーメーション。自機を先頭に縦一列に並び、地上と空中の両方を攻撃します。しかし、攻撃幅は狭く、弾数も少ないです。 |
F2 | 対空用フォーメーション。自機を頂点とした三角形編隊を組み、対空中弾を広範囲に発射しますが、地上の敵には効果がありません。 |
F3 | 対地用フォーメーション。自機を中心に取り囲むような編隊を組み、対地ミサイルを連射できますが、空中の敵には効果がありません。 |
僚機が敵や敵弾に当たると、エネルギー体に変わり、円軌道を描きながら敵を破壊し、敵弾を相殺します。2つのボタンを同時に押すことで、僚機をミサイルのように発射し、より大きな軌道で敵を攻撃することもできます。この場合、当たらなかった僚機は編隊に戻ります。僚機は5機目以降もストックされ、失われた場合や自機がミスになった際には、ストックから補充されます。ただし、自機がミスになると、その時の僚機は失われます。ゲーム中には、雲上シーンで敵大型戦艦が出現します。この戦艦の中央部にある3箇所の赤いエンジンを対地攻撃で破壊することで倒すことができます。ただし、射程を正確に合わせなければ破壊できません。また、味方機が3機以上ある場合の対地用フォーメーションでは、一撃で倒すことも可能です。
ゲーム画面
トップダウンビューのシューティングゲームです。画面上部にはプレイヤーのスコアが左寄りに「PLAYER1」として表示されており、その右側には現在のハイスコアが「HI-SCORE」として表示されています。ゲームの状態を示す他の要素として、「残機」が画面の左下にあります。プレイの機会を表す「CREDIT」が画面の右下に「CREDIT」として表示されています。背景には、都市の上空を飛ぶ自機が描かれており、細かいビルのデザインや、大きなスタジアムのような構造物が特徴的です。色使いはグレースケールに近く、モノクロームのパレットが使われていて、レトロ感あふれる雰囲気を醸し出しています。このゲームのデザイン要素は、ミニマリスティックだが情報を的確に伝えるための工夫が見られ、プレイヤーが必要な情報を迅速に理解できるようになっています。特に注目すべきは、ゲームのUI(ユーザーインターフェース)がゲームプレイの視界を妨げないように、画面の周辺に配置されている点です。
ステージ構成
このゲームでは、プレイヤーは東京上空を飛行し、様々なランドマークを巡ります。ステージは国会議事堂から始まり、赤坂、後楽園球場、代々木、新宿を経て、再び国会議事堂に戻ります。その後、銀座、赤坂、新宿、代々木を経由し、最終的に遊園地(または代々木)に到達します。各ランドマーク間は雲海で区切られており、プレイヤーはこれらのエリアを通過しながら進んでいきます。背景マップは航空写真を基に作成されており、当時の東京の風景が再現されています。ただし、使用された航空写真は少し古いもので、1986年当時の東京の正確な風景とは異なる部分があります。例えば、実際にはビルが建っている場所がゲーム中では空き地として描かれていることがあります。また、新宿や銀座にはゲーム内で巨大なクレーターが形成されており、これが特徴的な景観を作り出しています。初期バージョンではマップの最終部に遊園地が存在していましたが、後期バージョンや移植版ではこの遊園地が削除されています。
敵大型戦闘機
進行中、敵の大型戦闘機と雲の上で戦闘になります。有効な武器は、地上攻撃で機体の中央にある赤いエンジン部分をすべて破壊すると機能が停止します。
得点
特定の地上の敵をまとめて倒すと高得点を獲得できます。
特定の敵の撃破数 | 得点 |
---|---|
4 | 8,000 |
7 | 16,000 |
©1986 TAITO CORPORATION