アーケード版『レイストーム』3DCGとロックオンで魅せる縦シューティングの革新

アーケード版『レイストーム』は、1996年8月にタイトーから発売されたアーケード専用の縦スクロールシューティングゲームです。開発はタイトーが担当し、FX-1B(PlayStation互換)に基づくFXシステム基板を使用して、ポリゴン描画による3DCG表現を導入しています。制作スタッフにはプロデューサー兼ディレクターの阿部幸雄氏らが参加し、音楽はZUNTATAの河本圭代氏、効果音は中西宗弘氏が担当しています。ロックオンレーザーやスペシャルアタックなどの新システムも導入されており、従来のシューティングとは一線を画す演出が特徴です。

開発背景や技術的な挑戦

『レイストーム』では、開発にあたりタイトーがPS互換のFXシステム(FX-1B)をアーケード基板として採用したことで、これまでの2Dドットでは困難だったポリゴンによる3DCG表現が実現しました。これにより、背景や敵キャラクターに立体的でスピーディな描写が可能となり、従来のシューティングとは異なる視覚体験をプレイヤーに提供しました。さらに、『レイフォース』のスタッフが中心となって制作され、ロックオンレーザーといった基本システムの進化や新たな演出の追加といった技術的挑戦が反映されています。

プレイ体験

プレイヤーは上下左右の8方向レバーと2ボタン(メインショット、ロックオンレーザー)を使用して自機を操作します。ボタン同時押しでスペシャルアタック(画面全体攻撃)を発動でき、ロックオンレーザーは最大でR-GRAY1が8体、R-GRAY2が16体の敵にロック可能です。ロックオンによるスコア倍率システムも搭載され、得点と攻撃の戦略性が深くなっています。R-GRAY1は広範囲のショット、R-GRAY2は連続的な追尾レーザーという特性の違いがあり、好みに応じた選択が可能です。

初期の評価と現在の再評価

本作はアーケード稼働直後から人気を博し、特にそのグラフィックと音響演出(ZUNTATAによるBGMなど)は高く評価されました。一方で、ゲームプレイ自体についてはやや単調という指摘もありましたが、現在においては同ジャンルにおけるカルト的名作として、シューティングファンに根強い支持を受けています。

他ジャンル・文化への影響

『レイストーム』はカルト的な人気から、同人ゲームサークルなどにも影響を与えており、多くの創作活動にインスピレーションを提供してきました。特に、同ジャンル内でのスコアアタック文化やロックオンレーザーの戦略性は、後続作品やファン制作のゲームにも受け継がれています。

リメイクでの進化

アーケード版そのもののリメイクではなく、後に家庭用ハード向けに移植された際に「Extra Mode」といった追加モードやアレンジが用意されましたが、アーケード版に特化したリメイク作品は確認できません。ただ、グラフィックや演出の進化を踏まえたPS移植版への高い移植度は評価されています。

特別な存在である理由

『レイストーム』が特別視される理由は、まずその美しくスピード感溢れる3DCG描写とZUNTATAによる演出にあります。続いて、ロックオンレーザーとスペシャルアタックという戦略的なシステム設計により、深みのあるプレイ体験を提供した点も大きいです。さらに、カルト的なファンベースと同人シーンへの影響も相まって、シューティングフリークの間で長く語り継がれている作品だからです。

まとめ

アーケード版『レイストーム』は、1996年8月にタイトーよりFX-1B基板で発売されたポリゴン表現の縦スクロールシューティングです。制作にはレイシリーズの核心スタッフが携わり、3DCG演出やロックオンレーザーによる戦略的システムで特色を出しました。発表当初から人気を博し、現在に至るまでファンの間で特別な存在として支持されています。戦術性とビジュアルが両立した名作として、多くのプレイヤーに愛され続けています。

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