アーケード版『セクションZ』は、1985年12月にカプコンが稼働させたアーケード向け縦横両スクロールシューティングゲームです。開発はカプコン第2企画室、発売もカプコンで、プレイヤーは宇宙飛行士としてAからZまでのセクションを攻略し、最終地点セクションZでバランゴール帝国の人工生命体エルブレインを倒すのが目的となります。ジャンルはシューティングゲームで、縦横両スクロールという特徴的な構成を持つ点が大きな魅力です。ゲーム操作は8方向レバーと2ボタンによるショットおよび攻撃方向切り替えというシンプルながら戦略性の高いシステムとなっています。
開発背景や技術的な挑戦
カプコン第2企画室が手がけた本作は、Zilog Z80をCPUに用いたアーケード基板で稼働しています。サウンドにはZ80とYM2203を組み合わせ、一部の基板ではOki MSM5205も採用されました。これらの構成は、高度なスクロール処理や多彩な音響表現を両立させるための挑戦であったといえます。
プレイ体験
プレイヤーは宇宙レンジャーとなり、AからZまでの26のセクションを縦横に切り替わるステージを進みます。各ステージの最後にはボスが待ち受け、最終セクションZではエルブレインとの決戦が待っています。操作は8方向レバーと2ボタンで、移動と攻撃の方向を切り替えながら進むため、正確な判断と反射神経が求められます。ドーム型コンテナを破壊するとスピード、火力、得点の各パワーアップが入手でき、戦略性が増します。
初期の評価と現在の再評価
稼働当時はアーケード雑誌の人気ランキングにも入るなど、一定の評価を得ました。近年では、同時期の他作品と比較して独特な操作感や探索的な構造が再び注目され、個性的なシューティングとして語られることが増えています。
他ジャンル・文化への影響
縦横両スクロールの切り替えを採用したステージ構成は、後のシューティングゲームや探索型アクションにおけるレベルデザインの参考例となりました。また、本作で登場したキャラクターや演出が、後のカプコン作品に影響を与えたといわれています。
リメイクでの進化
本作は複数のコンピレーションソフトに収録され、家庭用ゲーム機向けに移植されました。これにより、現代の環境でも当時のプレイ感覚を味わえるようになり、新しい世代のプレイヤーにも楽しまれています。
特別な存在である理由
『セクションZ』は縦横両スクロールと非直線的なステージ進行を組み合わせた、当時としては珍しいシューティングです。単なる撃ち合いではなく、探索的要素を持ち込んだことで特異な存在感を放っています。
まとめ
アーケード版『セクションZ』は、縦横スクロールの融合と戦略的操作性を備えた独自のゲームデザインで、多くのプレイヤーに印象を残した作品です。その構造や演出は今もなお評価され、レトロゲームの中でも特別な位置を占めています。
©1985 Capcom