『イルミナ!』は、1990年12月にカクテル・ソフトから発売された18禁のファンタジーRPGです。メーカーはカクテル・ソフト(ブランド名:Cocktail Soft)、開発元も同社です。特徴としては、美少女キャラクターが登場し、パーティーメンバー選択やストーリー分岐、遭遇率を歩き方で変えるフィールドシステムなどがあり、ただの図像中心の作品ではなくゲーム設計に工夫があります。発売年月は1990年12月です。価格はパッケージ版で7,480円(税込)でした。対応機種はPC-98、PC-88、X68000、MSX2/MSX2+/TurboRです。
開発背景や技術的な挑戦
カクテル・ソフトは当時、美少女要素を含むゲームジャンルでキャラクター性とストーリー性を重視しており、『イルミナ!』はそれをRPGの形で表現した作品です。複数の日本国内パソコン機種への移植対応が大きな技術的挑戦でした。特に、PC-8801mk2SR以降、PC-98Vシリーズ以降、X68000、MSX2/2+/TurboRといった異なる仕様のハードで動作させるため、各機種のディスク形式、グラフィック解像度、カラーや音響機能の違いを吸収する設計が必要でした。ディスクのメディア形式(5インチや3.5インチフロッピー)も機種に応じて変えることで互換性を確保しています。
プレイ体験
ゲームはプレイヤーが記憶喪失状態で川に流れ着く場面から始まり、助けてくれた少女と共に自身の過去とクリスタルのペンダントの秘密を追う旅に出ます。ヒロインは3人(リュウナ、リムファ、クレア)で、どのヒロインをパートナーにするかによってセリフや展開が一部変化します。戦闘はコマンド制で、命中率が低めという特徴があり、遭遇率も歩き方(慎重/普通/大胆など)によって変化します。経験値の取得方法も多様で、戦闘だけでなく教会での献金による経験値変換や経験値と金の交換といった要素があります。
初期の評価と現在の再評価
発売当初は美少女要素を持つRPGとして注目されましたが、成人指定ゲームであるため一般メディアでの扱いは限られていました。絵柄やキャラクター性、ストーリー設定については肯定的に評価されましたが、戦闘バランス(特に命中率の低さ)は批判の対象になることもありました。近年では、レトロゲームや美少女RPGの歴史を振り返る文脈で、カクテル・ソフトの初期代表作のひとつとして再評価されています。
他ジャンル・文化への影響
『イルミナ!』は美少女要素を持つRPGとして、初期にキャラクター重視のシステムを取り入れた作品でした。複数機種での展開やパートナー選択による分岐要素は、その後の美少女RPGに影響を与えたと考えられます。また、成人向けゲームブランドとしてのカクテル・ソフトの地位を確立するきっかけのひとつとなり、日本のPCゲーム文化において重要な位置を占めています。
リメイクでの進化
『イルミナ!』の公式リメイク版は現在まで存在が確認されていません。ただし、PC-88、PC-98、X68000、MSX2系といった複数機種に移植されており、それぞれの機能や制約を活かす形で調整が行われました。音響や画面表現は機種ごとに差があり、それを踏まえた移植作業が進められていたと考えられます。
特別な存在である理由
『イルミナ!』が特別な存在である理由は、美少女要素とRPG要素を組み合わせた早期の作品である点に加え、複数の日本製PC機種に対応した幅広い展開を見せたことにあります。単に成人向けの要素に依存するのではなく、ストーリーやシステムに工夫を凝らし、プレイヤーを引き込む魅力を持つ点で独自性を示しました。そのため、美少女RPGの歴史を語るうえで欠かせない存在とされています。
まとめ
『イルミナ!』は1990年12月にカクテル・ソフトから発売された美少女要素を伴うファンタジーRPGで、PC-8801mk2SR以降、PC-9801Vシリーズ以降、X68000、MSX2/MSX2+/TurboRといった複数のパソコン機種に対応していました。遭遇率を歩き方で変えるシステムや、キャラクター選択による展開の変化、経験値変換などのユニークな要素を持ち、単なる美少女ゲーム以上の遊びを提供しています。レトロPCゲームや美少女RPGの歴史に関心があるプレイヤーにとって、今なお重要なタイトルといえます。
©1990 カクテル・ソフト