メガドライブ/X68000版版『アークス・オデッセイ』は、1991年6月にウルフ・チームが開発・発売したアクションRPGです。メーカーはウルフ・チーム、ジャンルはファンタジー・アクションRPGで、クォータービュー(斜め見下ろし視点)を採用しており、複数キャラクターから選んで進む形式や協力プレイが特徴です。本作はメガドライブ版が1991年6月14日発売、X68000版が1991年6月29日発売という正式なリリース日があります。プレイヤーは最大2人での協力プレイが可能であり、敵の撃破・アイテム収集・ギミックや謎解きなどを含みます。移植版としてスーパーファミコン版も存在します。
開発背景や技術的な挑戦
ウルフ・チームは、日本テレネットのゲーム開発部門を前身としており、PCゲーム中心で活動していた頃からファンタジー系RPGやアクションゲームを手がけてきました。『アークス・オデッセイ』はその中で、家庭用ゲーム機(特にメガドライブ)へ本格的に参入したタイトルの1つです。技術的には、クォータービューの視点を採用し、マップの奥行き・障害物・視線遮蔽物の表現などで立体感を持たせることが試みられており、当時のメガドライブ/X68000の性能を活かす工夫が見られます。また協力プレイ(2人プレイ)を可能とすることで、アクションRPGとしての遊びの幅を広げようとした意図もあります。
プレイ体験
ゲームはプレイヤーが4人のキャラクター、すなわち戦士、魔術師、聖職者、エルフから1人を選び、ステージを順に進んでいきます。キャラクターごとに武器・魔法・攻撃距離・性能などに違いがあり、それを踏まえて誰を使うか、どう使うかが戦略に影響します。ステージにはサブクエスト的要素や謎解き要素、敵を倒しつつ通路や扉を開けるギミックがあります。操作はアクション性が高く、攻撃・防御・アイテム使用・魔法のタイミングなどの反応が重視されており、敵配置やマップ構造によって難易度が変わる作りになっています。視点が斜め見下ろしであるため、距離感・見通し・障害物を避ける操作などが他の見下ろしゲームとは異なる独特の手触りがあります。
初期の評価と現在の再評価
発売当初、メガドライブ版/X68000版はファンタジー冒険の雰囲気・ビジュアル・音楽などで一定の評価を得ていました。クォータービュー視点やキャラクター差別化、協力プレイなどアクションとRPGの融合が魅力として挙げられます。一方で、成長要素(レベルアップなど)は薄めであること、同様のマップ構成や敵の繰り返しなどで単調に感じる部分、操作感や敵の強さのバランスなどが指摘されていました。現在ではレトロゲームのジャンルにおいて、特にメガドライブ/X68000時代の作品として、古き良きアクションRPGの代表例としてファンから再評価されています。
他ジャンル・文化への影響
『アークス・オデッセイ』は、アクションRPGとクォータービュー視点を家庭用機で融合したタイトルとして、後の類似ジャンルのゲームに少なからず影響を与えました。また、ウルフ・チームがこのジャンルでの制作力を示した作品であり、BGMや演出、キャラクターデザインなどでファンタジー作品の基準の1つとなったともいわれます。レトロゲーム愛好家やコレクターの間では、メガドライブ/X68000時代のウルフ・チームの作風を語る代表作の1つとしてしばしば挙げられます。
リメイクでの進化
現時点で『アークス・オデッセイ』そのものの全面リメイクや完全なリマスター版は確認されていません。ただし、移植版であるスーパーファミコン版『アークス・スピリッツ』によって、操作性や描画がハードに合わせて調整されており、家庭用機での受け入れられ方を広げた点で進化が見られます。
特別な存在である理由
この作品は複数の理由で特別な存在です。まず、ウルフ・チームにとってPCゲーム中心から家庭用ゲーム機へ参入した初期のアクションRPGであったこと。次に、クォータービュー視点とアクション性、協力プレイを組み合わせたことで、ただ攻撃するだけではない戦略的な要素を含んでいたこと。さらに、キャラクターごとの違いでプレイスタイルに変化があり、繰り返し遊べる要素を持っていたこと。そして、レトロゲームとしての保存価値やコレクターズアイテムとしての希少性があり、今でも語り継がれている点が大きいです。
まとめ
『アークス・オデッセイ』は、メガドライブ版が1991年6月14日、X68000版が1991年6月29日に発売されたウルフ・チームのアクションRPGで、クォータービュー視点やキャラクター差別化、協力プレイなどの要素で意欲的な作品でした。アクションと謎解き・ギミックを含む舞台構成やキャラクター操作の工夫が求められるため、単なるアクション以上の深みがあります。現在ではレトロゲームとしての価値が再認識されており、当時のファンのみならず新しい世代にも紹介に値するタイトルです。
©1991 ウルフ・チーム