アーケード版『ウルフファング』は、1991年にデータイーストから稼働が開始されたアクションシューティングゲームです。開発はデータイーストが担当し、ジャンルとしてはラン&ガンおよびプラットフォーマー要素を含む横スクロールアクションです。
開発背景や技術的な挑戦
本作は、同社の1989年の作品『空牙』の続編として位置づけられており、前作からの世界観は踏襲しつつ、ゲームシステムとしては『チェルノブ』をベースに作られています。開発当初の仮タイトルは『狼牙』でしたが、商標の関係で『ウルフファング』としてリリースされた経緯があります。
アーケード基板にはMC68000を搭載し、8方向レバーと3ボタンという操作系で、独自に自機のカスタマイズや高度な演出を実現しています。
プレイ体験
プレイヤーは装甲機兵と呼ばれる人型ロボットを操作し、「SELECT-MODE」でプリセットの機体から選ぶか、「CONSTRUCTION-MODE」でパーツ(BODY・ARM・LEG)を各4種ずつ自由に組み合わせて自機を作成できます。これにより64通りの機体が存在し、それぞれコードネームが与えられます。
操作はショット・ジャンプ・サブウェポンの3ボタンに加え、ショット保持による移動方向固定やレバー上下での動作変化、ジャンプ中の滞空時間制御、近接攻撃への自動切替など、多彩なアクションが可能です。
サブウェポンはチャージ式で、ゲージの段階により威力が変化し、ホーミングミサイルやエレクトリッガーなど複数の種類が選べます。猟兵(オプション)を搭載することもでき、効果的な支援射撃が期待できます。
初期の評価と現在の再評価
稼働当時は、その複雑ながらも奥深い操作やシステムがやや高い敷居となり評価が分かれましたが、ゲーム誌の「第6回ゲーメスト大賞」では総合2位に輝き、ベストアクション賞5位、ベスト演出賞3位、ベストVGM賞7位を受賞しています。
現在では演出の精密さや世界観の構築、BGMの完成度などから、2Dアーケードロボットゲームの高い完成度を持つ作品として根強い人気を博しています。
隠し要素や裏技
コイン投入後にショットとサブウェポンを同時に押しながらスタートボタンを押すことで、全12ステージを通しで遊べる「ROHGA(狼牙)モード」に突入可能です。このモードではルート分岐がなく、一気に全ステージを進行します。
また、一部ボスは放置することで耐久値が徐々に下がり撃破できる仕様になっており、永久パターンが成立するケースもあります。これにより一部店舗では高得点集計が打ち切られるケースがありました。
他ジャンル・文化への影響
ロボットアニメ的な演出や細部にわたるこだわり、美しいグラフィックは後続のメカ系アクションゲームにも影響を与えており、プレイヤーにとって「愛機」を見つける楽しさも本作ならではの魅力となっています。
リメイクでの進化
アーケード版自体にリメイクはありませんが、後のコンシューマ移植(PlayStation 1996年、セガサターン 1997年など)では新モードやBGM、オープニングムービーなどが追加され、“プラスモード”など新規要素も導入されました。ただし、アーケード版とは演出や操作感が異なる部分もあり、移植版に対する評価は賛否が分かれています。
特別な存在である理由
複雑ながらも緻密に構築された操作体系、豊富なカスタマイズ性、多様なルート構成、美しく濃密な演出と音楽。それらが、一度ハマれば深く没入させる中毒性の高い体験を提供します。そして、プレイヤーが自分だけの「愛機」を見つけ、その機体で戦う楽しさが特別な存在にしている要因です。
まとめ
アーケード版『ウルフファング』は、1991年に稼働を開始したデータイースト製のアクションシューティングゲームで、装甲機兵のカスタマイズと高度な操作体系、多彩な演出と音楽を融合させた完成度の高い作品です。プレイヤーごとに異なる攻略法や愛機が生まれる設計は、深い没入感をもたらします。初期の評価は難易度の高さゆえに賛否ありましたが、現在ではその密度と遊びごたえが再評価され、アーケードロボットゲームの金字塔として位置づけられています。
©1991 データイースト