AC版『ワンダーボーイIII』アクションと射撃が融合した名作

ワンダーボーイIII

アーケード版『ワンダーボーイIII モンスターレア』は、1988年11月にセガから発売された横スクロール型のアクションシューティングゲームです。開発はシリーズでお馴染みのウエストンが担当しました。本作は「ワンダーボーイ」シリーズの第3作目にあたりますが、前作までの純粋なアクション要素に加え、ステージ後半で強制スクロールのシューティングパートへと移行する独特のゲーム構成を採用しています。パステルカラーの鮮やかなグラフィックと、軽快な音楽、そして2人同時プレイが可能な点が大きな特徴です。

開発背景や技術的な挑戦

本作の開発において最大の挑戦となったのは、アクションゲームとシューティングゲームという、当時人気のあった二つのジャンルを一つのステージの中で違和感なく融合させることでした。セガのSYSTEM 16基板を使用し、多重スクロールや巨大なボスの滑らかな動きを実現しながら、プレイヤーキャラクターが武器をパワーアップさせていく成長要素も盛り込まれています。ウエストンの開発チームは、コミカルなキャラクターデザインとは裏腹に、非常に精密な当たり判定や敵のアルゴリズムを構築し、アーケードゲームとして適切な難易度と回転率を両立させることに成功しました。また、1Pと2Pで異なる性能のキャラクター(レオとプリシラ)を配置し、協力プレイ時の楽しさを追求した点も技術的・設計的な工夫が見られます。

プレイ体験

プレイヤーは、まず前半のアクションパートを攻略します。ここでは常に体力が減少していくバイタリティ制が採用されており、ステージ上に配置されたフルーツを回収して体力を回復しながら進むという、シリーズ伝統の緊張感あふれるプレイが楽しめます。ステージ中盤からは飛行アイテムを獲得し、シューティングパートへと突入します。ここでは多彩なショットのパワーアップアイテムを駆使して、画面狭しと襲いかかる敵軍団を撃破していきます。最後に待ち構える巨大なボスとの戦闘は非常にダイナミックで、アクションパートで培った反射神経と、シューティングパートでの戦略的な武器選択が試される、密度の高いプレイ体験を提供しています。

初期の評価と現在の再評価

発売当初は、その可愛らしい見た目とは裏腹に、手応えのある難易度とジャンルが切り替わる斬新なシステムがプレイヤーの間で高く評価されました。特に2人同時プレイの盛り上がりは凄まじく、友人同士で体力を融通し合いながら進む協力プレイは、当時のゲームセンターの定番光景となりました。現在では、アクションとシューティングを融合させたハイブリッドゲームの先駆けとして再評価されており、その完成度の高いゲームバランスは今なお色褪せることがありません。レトロゲームファンの間では、ウエストン作品特有の温かみのある世界観と、アーケードらしいハードな遊び応えが同居した名作として語り継がれています。

他ジャンル・文化への影響

『ワンダーボーイIII モンスターレア』が示した「一つのゲーム内でのジャンルミックス」というアイデアは、その後のアクションゲームの進化に大きな影響を与えました。特定のパートで操作体系がガラリと変わる演出は、プレイヤーを飽きさせないための手法として、多くの後続作品に採用されました。また、ウエストンが提唱した「バイタリティが常に減り続ける」という時間制限システムは、ゲームのテンポを維持する優れたデザインとして認識されました。本作のポップなファンタジー世界観は、日本のアーケードゲームにおける「誰にでも親しみやすい外見」と「コアなゲーム性」の共存を体現する文化的なアイコンとなりました。

リメイクでの進化

本作はその人気から、PCエンジンなどの家庭用機に移植されましたが、近年ではセガエイジスシリーズやコンピレーションタイトルとして、アーケード版を完全再現した形で現行機でもプレイ可能になっています。リメイクや再販版では、アーケードの解像度を活かしたまま、どこでもセーブ機能やボタン割り当ての変更など、現代のプレイヤーに合わせた快適なプレイ環境が提供されています。しかし、根本的なゲーム性やあの独特の浮遊感のあるアクションは、当時のアーケード版そのままの魅力を保っており、世代を超えて新しいファンを獲得し続けています。

特別な存在である理由

『モンスターレア』が特別な存在である理由は、シリーズの中でも異彩を放つ「明るいお祭り感」にあります。シリーズ他作品が探索型アクションへと進化していく中で、本作はあくまでアーケードらしい「一期一会の興奮」を追求しました。耳に残る陽気なBGM、個性的で憎めない敵キャラクター、そして何よりも「友達と一緒に遊べる」という楽しさが、当時の少年たちの心に強く残っています。セガとウエストンの黄金コンビが生み出した、アクションシューティングというジャンルの頂点の一つとして、今もなお輝きを失っていません。

まとめ

アーケード版『ワンダーボーイIII モンスターレア』は、ウエストンが贈るファンタジーアクションの傑作です。アクションとシューティングを一つのパッケージに詰め込み、それを高い完成度でまとめ上げた手腕は見事というほかありません。SYSTEM 16が紡ぎ出す鮮やかなグラフィックと、プレイヤーを常にワクワクさせるゲーム展開は、アーケードゲームの黄金時代を象徴するものです。初心者から上級者まで、あるいは1人でも2人でも、遊ぶたびに新しい発見と達成感を与えてくれる本作は、ビデオゲームの歴史に刻まれるべき不朽の名作です。

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