アーケード版『マッド・ギア』は、1989年にカプコンから発売された縦画面レースアクションゲームです。開発はカプコンが行い、旧式基板を用いています。ジャンルはレースアクションで、トップビューの車を操作し、チェックポイント間をジャンプや接触で進行するシンプルかつ爽快なゲーム性が特徴です。
開発背景や技術的な挑戦
本作は当初「ラリー2011・レッドストーム」というタイトルで開発されていましたが、未発売となり、それを手直しした形で『マッド・ギア』として1989年にリリースされました。旧式の基板を使用しながら、スムーズな動作とレース感を実現しています。
プレイ体験
プレイヤーは性能が異なる三種類の車から選び、燃料(制限時間)内にゴールを目指します。ジャンプや他車との接触を駆使する高い操作性と、ライバル「光の速さの“スネーク”」との競争構造が熱い展開を生み出します。クラッシュ時には燃料が減少し、燃料切れでゲームオーバーとなる緊張感も魅力です。
評価の変化
当時はシンプルさゆえにやや地味な印象もありましたが、近年ではその完成度の高さが再評価されています。「バーニンラバー」や「バギー・ポッパー」のフォロワーとして、純粋なレースアクションとしての魅力が見直されつつあります。
他ジャンル・文化への影響
『マッド・ギア』はコンパクトながら熱い演出と競争構造を持ち、カプコン作品中でもユニークな位置を占めます。また、同年登場の『ファイナルファイト』の敵組織名「マッドギア」は、本作に由来すると開発者が語っており、タイトルが文化的に影響を与えた可能性があります。
リメイクでの進化
もしリメイクされるならば、グラフィックスのHD化や現代的な操作感の強化、車種ごとのカスタマイズやオンラインランキング機能の追加などが考えられます。BGMは立石孝氏のメロディ重視の楽曲をアレンジ版で再構築することで、往年のファンと新規プレイヤー双方に響く作品になり得ます。
特殊な存在である理由
『マッド・ギア』は、シンプルながら対戦構造と演出が密に絡んだ稀有なレースアクションです。燃料制限やジャンプという要素がスリルと操作の妙を両立させ、強く印象に残る体験をプレイヤーに提供します。また、カプコンの歴史における影響の片鱗を感じる点も特別です。
まとめ
アーケード版『マッド・ギア』は、80年代後期の旧式ハードを活かしつつ、レースとアクションを融合した完成度の高い作品です。ライバルとの駆け引きや燃料管理という緊張感、シンプルな操作性に宿る熱さが今も色あせません。リメイクによって現代技術と相性の良い作品になり得る素地もあり、レトロゲームとして、またゲーム史の一部として改めて注目されるべき作品だと感じます。
©CAPCOM CO., LTD. 1989