アーケード版『ブラックドラゴン』は、1987年(8月稼働開始)にカプコンから発売された横スクロールアクションゲームです。カプコン第3企画室が開発し、プロデューサーは岡本吉起氏、プログラマーは赤堀雅行氏、音楽は河本圭代氏、美術には倉本幸代氏らが関わっています。特徴としては、『魔界村』譲りの硬派なファンタジー演出に加え、ステージ中のショップやゼニー、鍵、宝箱などのRPG的要素を併せ持ち、カプコン作品で初めて「ゼニー」という通貨が登場した点が挙げられます。
開発背景や技術的な挑戦
当時のアーケードゲームとしては珍しいRPG要素を導入した意欲作です。攻撃とジャンプの2ボタン操作に、フレイル(近接武器)とダガー(飛び道具)の使い分け、ショップやアイテム収集といった要素を統合し、難易度も高く、技術的にもプレイヤーの操作と戦略を要求する設計となっています。硬派なアクション性と冒険感の両立を目指した挑戦的な作品と言えます。多数のスタッフが役割を分担し、美術や音楽面でも世界観を支えています。
プレイ体験
プレイヤーは「ブラックタイガー」を操作し、画面表示されたアーマーとバイタリティを駆使して進行します。アーマーがダメージを防ぎ、破損するとバイタリティにダメージが適用されます。ショップでの武器や防具の強化、鍵で宝箱を開けるギャンブル性、老人の救出によるヒントやショップ開放など、探索とリスク管理のバランスが楽しいプレイ体験を提供します。隠し部屋やアイテムも多く、全8ステージの進行には緻密な操作と戦略が求められます。
初期の評価と現在の再評価
初期のメディア評価については資料が限られており、詳細なスコアなどは確認できませんでした。しかし、その硬派なアクション性やRPG要素の融合は、後のカプコン作品にも影響を与えています。近年ではレトロゲームとして根強い人気があり、コレクションタイトルとしても収録され続けています。
隠し要素や裏技
壺や壁を破壊することで隠しアイテムや隠し部屋が出現します。老人を救出することでショップやヒントが得られたり、本作の特徴的な要素として、スコアがアーマーやバイタリティの最大値を増やす“経験値”的な扱いにもなっています。
他ジャンル・文化への影響
本作で登場した「ゼニー」は、その後のカプコン作品でも通貨として多く使われるようになりました。さらに、硬派なファンタジーアクションのスタイルは後の作品に影響を与えたとされます。例えば、西洋風の剣と魔法世界を舞台にしたシリーズでの基礎的デザインとして位置付けられることもあります。
リメイクでの進化
純粋なリメイクは現時点で確認されませんが、バーチャルコンソールアーケードや各種レトロゲーム収録タイトル(例:Capcom Arcade 2nd Stadiumなど)でアーケード版が配信され、現代プラットフォームで再プレイ可能になっています。
特別な存在である理由
アーケードゲームにRPG的要素を融合させた先駆的な作品である点、カプコン作品における「ゼニー通貨」の原点である点、そして難易度と探索性を兼ね備えた硬派なデザインが、クラシックアクション愛好者の間で特別視される理由です。
まとめ
アーケード版『ブラックドラゴン』は、1987年にカプコンがリリースした、硬派なファンタジーアクションとRPG要素を巧みに融合させた意欲作です。多彩なアイテムやショップ、スコアを通じた育成概念が導入され、アクションゲームの幅を広げました。現在ではレトロゲームコンテンツとして再評価され、今も愛され続けている名作です。
©1987 カプコン