AC版『WWFレッスルフェスト』実名レスラーが乱舞するプロレス最高傑作

アーケード版『WWF レッスルフェスト』は、1991年にテクノスジャパンから発売されたプロレスアクションゲームです。前作『WWFスーパースターズ』の爆発的なヒットを受けて制作された続編であり、当時のWWF(現在のWWE)に参戦していたトップレスラーたちが実名で多数登場します。プレイヤーはハルク・ホーガンやアルティメット・ウォリアー、ビッグ・ボスマンといった個性豊かなスターから好きなキャラクターを選択し、タッグチームによる王座戦や、多人数が同時に入り乱れて戦う「ロイヤルランブル」などの多彩なモードで頂点を目指します。

開発背景や技術的な挑戦

前作での成功を背景に、さらなるリアリティと迫力を追求するために開発されました。技術的な大きな挑戦は、キャラクターサイズの拡大とアニメーションパターンの大幅な増加です。レスラー一人ひとりの体格差や筋肉の動き、そして入場シーンでのマイクパフォーマンスに至るまで、当時の最新基板を駆使して細部まで描き込まれました。また、最大4人同時プレイを実現するための処理の最適化も行われ、画面上に多くのレスラーが登場してもスピード感を損なわない工夫がなされています。実写と見紛うばかりの緻密なドット絵は、当時のアーケード業界において最高峰のクオリティを誇りました。

プレイ体験

プレイヤーは、レバーと2つのボタンの組み合わせで、打撃技や投げ技、さらにはコーナーポストからの飛び降り攻撃などを繰り出します。本作では「掴み」の攻防がより洗練され、相手を掴んだ瞬間のボタン連打による競り合いが、対戦の熱狂をさらに加速させました。また、体力が減少した際に発動できる強力なフィニッシュ・ホールド(必殺技)の演出は非常に派手で、決めた時の爽快感は格別です。タッグマッチでは、連携攻撃や場外での乱闘、凶器の使用といったプロレスならではのギミックが満載で、プレイヤー同士の協力と対戦の駆け引きを存分に楽しむことができます。

初期の評価と現在の再評価

稼働当初から、実名レスラーの豪華なラインナップと圧倒的なグラフィック、そして直感的な操作性が評価され、世界中で記録的な大ヒットを収めました。単なる格闘ゲームではなく、プロレスの「興行」としての楽しさを完璧にパッケージ化した点が多くのファンを魅了しました。現在では、1990年代を代表するプロレスゲームの最高傑作として語り継がれています。その完成度の高いシステムと、デフォルメされつつも実物のレスラーの個性を捉えたビジュアルスタイルは、現代のプロレスゲームファンからも熱烈な再評価を受けています。

他ジャンル・文化への影響

本作が確立した「実名スポーツライセンスの活用」と「多人数乱闘システム」は、その後の多くのスポーツゲームや対戦アクションゲームの指針となりました。特に入場シーンや勝利演出を重要視するエンターテインメント志向のゲームデザインは、後の3Dプロレスゲームにおける演出手法の基礎となっています。また、テクノスジャパンが得意としたベルトスクロールアクションの技術が対戦形式のスポーツゲームへと見事に昇華された本作は、ビデオゲームが現実のプロレス興行の魅力をいかに伝えるかという点において、一つの完成形を示しました。

リメイクでの進化

『WWF レッスルフェスト』は、その絶大な人気から、後年にスマートフォン向けなどでリメイク版が制作されるなど、時代を超えて愛され続けています。リメイク版では、当時のドット絵の雰囲気を尊重しつつ高解像度化が行われたり、現代の有名レスラーをゲストとして追加したりといった進化が見られました。また、オリジナルのアーケード版は、レトロゲームイベントや復刻プロジェクトにおいても常に中心的な存在であり、当時の熱い闘いを現代の環境で再現するための試みが続けられています。

特別な存在である理由

本作が特別な存在である理由は、プロレスというジャンルが持つ情熱とドラマを、アーケードゲームという限られた枠組みの中で120パーセント表現し切った点にあります。リング上の攻防だけでなく、観客の歓声や実況風のボイスが一体となって生み出す臨場感は、他の追随を許しませんでした。多くのプレイヤーにとって、本作はテレビの中のヒーローになりきることができる夢のようなステージであり、その記憶は強烈なインパクトとともに心に刻まれています。

まとめ

『WWF レッスルフェスト』は、1991年のアーケードシーンを象徴する、プロレスエンターテインメントの極致と言える作品です。テクノスジャパンの技術力と情熱が結実した本作は、誰でもすぐに楽しめる操作性と、奥深い駆け引きを両立させていました。実名レスラーたちの躍動感あふれる姿は、今なお多くのファンの心を掴んで離しません。プロレスを愛する者、そしてアクションゲームを愛する者にとって、本作は永遠に輝き続ける不滅のクラシックです。

©1991 TECHNOS JAPAN