アーケード版『ストリートファイターEXプラス』は、1997年3月3日に稼働を開始した対戦格闘ゲームです。販売はカプコン、開発はアリカが担当しました。本作は、カプコンの『ストリートファイター』シリーズで初めて3Dポリゴンを採用した『ストリートファイターEX』のバージョンアップ版にあたります。従来のシリーズが持つ2D格闘ゲームの操作感覚や必殺技コマンド入力を残しつつ、キャラクターやステージを3Dで表現することで、新たな奥行きと迫力あるバトルを実現しました。基本的なシステムは前作を踏襲しつつ、キャラクターの追加や、ゲームバランスの調整が施されており、より洗練されたプレイ体験をプレイヤーに提供しました。
開発背景や技術的な挑戦
『ストリートファイターEX』シリーズの開発は、元カプコンのスタッフが設立したアリカが担当しました。彼らは、当時隆盛を極めていた3D格闘ゲーム市場に、カプコンが持つ2D格闘ゲームのノウハウを融合させるという大きな挑戦を行いました。初代『EX』に続くバージョンアップ版である『EXプラス』では、特に3Dグラフィックの表現力向上と、キャラクターラインナップの拡充に力が注がれました。当時のアーケード基板であるカプコンのZN-1基板の性能を活かし、滑らかなポリゴン描画と、派手なエフェクトを持つ必殺技を両立させています。技術的な挑戦としては、3D空間でのキャラクターの動きを、従来の2D格闘ゲームの操作体系にいかに自然に落とし込むかという点がありました。その結果、3D格闘ゲームでありながらも、波動拳や昇龍拳といったお馴染みのコマンド入力で技が出せるという、独自のプレイフィールを生み出しています。
また、プレイヤーから寄せられたフィードバックに基づき、ゲームバランスの調整が行われ、より競技性の高い対戦環境を提供することを目指しました。
プレイ体験
プレイヤーは、リュウやケンといったお馴染みのキャラクターに加え、カイリ、ダルシムなど『EX』シリーズオリジナルのキャラクターを含む多彩なファイターの中から選択します。本作の大きな特徴は、スーパーコンボに加え、相手のガードを崩すガードブレイクや、スーパーコンボ中にさらにスーパーコンボを発動可能にするスーパーキャンセルといった独自のシステムです。これらのシステムにより、戦略性の高い攻防が展開されます。特にスーパーキャンセルは、コンボのバリエーションを大幅に増やし、プレイヤーのテクニックが光る連続技の追求を可能にしました。操作感は2D格闘ゲームに近く、シリーズのファンには馴染みやすいものでしたが、3Dならではの奥行きを使った駆け引きの要素も加わっています。キャラクターのモーションやヒット時のエフェクトは迫力があり、3D対戦格闘ゲームとしての魅力も兼ね備えていました。
初期の評価と現在の再評価
アーケード版『ストリートファイターEXプラス』は、前作『EX』に続くバージョンアップとして、概ね好意的に受け止められました。新たなキャラクターの追加とゲームバランスの改善は、既存のプレイヤーを飽きさせず、対戦ツールとしての寿命を延ばすことに成功しました。特に、スーパーキャンセルをはじめとする独自システムの深化は、テクニカルな要素を好むプレイヤーから高い評価を得ました。しかし、一部では、3Dグラフィックの表現が当時の他の3D格闘ゲームと比較して見劣りするという意見や、オリジナルキャラクターたちの世界観が『ストリートファイター』の伝統的な世界観と馴染みにくいという意見も見られました。現在では、本作は『ストリートファイター』シリーズの歴史において、3D化への挑戦という重要な位置を占める作品として再評価されています。アリカが作り上げた独創的なシステムと個性豊かなオリジナルキャラクターたちは、後の『FIGHTING EX LAYER』へと繋がる独自の魅力を放っており、根強いファン層を持っています。
他ジャンル・文化への影響
『ストリートファイターEXプラス』は、カプコンの『ストリートファイター』という巨大ブランドが3D格闘ゲームというジャンルに本格参入する過程における重要な作品であり、その影響は格闘ゲームジャンル全般に及びました。特に、開発を担当したアリカが独自に生み出したシステムであるスーパーキャンセルは、後の様々な格闘ゲームにおけるシステム設計に影響を与えた可能性があります。また、このシリーズで初登場したオリジナルキャラクターたち(カイリ、ほくと、スカロマニアなど)は、シリーズのファンアートや二次創作といった文化的な側面にも影響を与え、その後のアリカの独自タイトル『FIGHTING EX LAYER』へと繋がる独自のIPとして確立されました。既存の人気シリーズを3D化する際の手法や、2Dと3Dの要素を融合させるアプローチは、当時のビデオゲーム業界における技術的な挑戦の一例として、他のジャンルの開発者にも示唆を与えました。
リメイクでの進化
アーケード版『ストリートファイターEXプラス』の直接的なリメイク作品は存在しませんが、この作品の精神とキャラクターは、アリカが後に開発した『FIGHTING EX LAYER』に受け継がれています。もし本作が現代にリメイクされるとすれば、グラフィックは最新のレンダリング技術によって大幅に進化し、3Dモデルの細部やエフェクトは格段に美しくなるでしょう。操作性に関しても、現代の格闘ゲームの基準に合わせてより洗練され、入力ミスが少なく、快適なプレイ体験が実現されると期待されます。また、オンライン対戦機能の強化は必須であり、世界中のプレイヤーとの対戦を通じて、本作の持つ競技性がさらに高まる可能性があります。スーパーキャンセルやガードブレイクなどのシステムも、現代のプレイヤーの嗜好に合わせて調整され、より深く、バランスの取れたものに進化するでしょう。
特別な存在である理由
『ストリートファイターEXプラス』が特別な存在である理由は、カプコンとアリカの協力体制が生み出した3Dストリートファイターという独自の立ち位置と、そのシステムにあります。単にキャラクターを3D化しただけでなく、スーパーキャンセルやガードブレイクといったオリジナルのシステムを導入することで、従来のシリーズとは異なる、新たな駆け引きとテクニックの深さを提供しました。これは、当時の格闘ゲーム市場における3D化の波の中で、2D格闘ゲームの伝統を守りつつ、進化を目指した意欲的な試みとして評価されるべき点です。また、この作品で生み出されたアリカオリジナルのキャラクターたちは、その後のアリカの格闘ゲームを支える重要な要素となり、シリーズのファンにとっては単なるバージョンアップを超えた、独自の歴史を持つ作品として位置づけられています。
まとめ
アーケード版『ストリートファイターEXプラス』は、1997年にカプコンとアリカの協業によってリリースされた、3Dポリゴン格闘ゲームです。初代『EX』の基本構造を洗練させ、新たなキャラクターとスーパーキャンセルなどの独自のシステムを追加することで、対戦格闘ゲームとしての完成度を高めました。従来の『ストリートファイター』の操作感を残しつつも、3Dならではの表現力と、アリカ独自の戦略的な要素が融合した本作は、当時の格闘ゲームシーンにおいて独自の存在感を確立しました。シリーズの3D化への挑戦を象徴する作品であり、その個性的なシステムとキャラクターは、現在もコアなファンに愛され続けています。
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