PC-9801版『アルシャーク』は、1991年5月にライトスタッフが開発・発売したロールプレイングゲームです。ジャンルはSFをベースとしたスペースオペラRPGで、広い宇宙を舞台にしたストーリー、戦闘システム、移動手段など多彩な要素が特徴です。対応機種はPC-9801(VM/UV以降対応)をはじめ、X68000(1991年12月)、FM-TOWNS(1993年5月)、メガCD(1993年11月)、PCエンジンSUPER CD-ROM2(1994年8月)などにも移植されました。
開発背景や技術的な挑戦
ライトスタッフというのは、元々「グローディア」に所属していたスタッフの一部が独立して設立された会社です。『アルシャーク』はその会社のデビュー作にあたります。
技術的には、限られたハードウェア資源でSF大作を表現するため、マップ構造、戦闘システム、移動手段(徒歩だけでなく乗り物・宇宙船など)を組み込む必要がありました。特に宇宙戦もあり、通常のコマンドバトルだけでなくシューティング風の宇宙戦闘を挟むなど、複数ジャンルの要素を融合させています。
プレイ体験
プレイヤーは主人公のシオン・アスマーンとして、落下した隕石の謎を追うところから冒険が始まります。町での装備や仲間の準備、惑星間移動、宇宙港を使った宇宙船での移動など、スケールが大きく感じられる設計です。
戦闘は主にコマンド選択式ですが、特殊能力(ESP)や武器、装備による影響も大きく、装備には腕力や知性などステータスの制限があるものがあります。また、宇宙戦やメカ同士の戦いなど異なる戦闘形式も混ざっており、変化に富んでいます。
初期の評価と現在の再評価
発売当時は、SF設定と広大な世界観、複数ハードへの移植などで注目されましたが、時代の他の大作RPGと比べてグラフィックや操作性、テンポなどにおいて評価が割れるところもありました。敵の強さの急激な上がりや、移動手段や乗り物の入手が攻略に大きく影響する点など、難易度のバランスに対する批判もあります。
その後、レトロゲームとして見返される機会が増え、設定の深さ、SFの要素+宇宙移動など複合的なゲームデザインが評価され直しています。「グローディア系」のファンにとっては、エメラルドドラゴンなどと共通点を感じさせる作品として愛好されている存在です。
他ジャンル・文化への影響
『アルシャーク』は、SFとRPGを融合させた作品として、日本国内での宇宙ものRPGのひとつのモデルと見なされることがあります。特にグローディアとの繋がりや、当時のPC-98ユーザーを中心としたコミュニティでの支持が強く、後のSF系ゲームやスペースオペラ調のゲームに影響を与えたと考えられています。
リメイクでの進化
公式には大規模なリメイクはされておらず、移植版がいくつか出ただけです。移植にあたってはグラフィックの手直しや、ボイスが追加された版もあります。たとえばX68000版ではグラフィックが大幅に描き直され、FM-TOWNS版ではビジュアルや音声面の演出が強化されたとされています。メガCDやPCエンジンSUPER CD-ROM2版ではCD-ROMの容量を活かした演出や音声要素が取り入れられました。
特別な存在である理由
『アルシャーク』はいくつかの点で特別です。まず、ライトスタッフのデビュー作であり、その後の作品群にも影響を与えるブランドを確立したという点。次に、SF設定+宇宙戦+複数形式の戦闘という組み合わせが、当時としては挑戦的であり、それらを比較的うまくまとめていたこと。さらに、PC-98をはじめとした複数機種に移植され、それぞれのハードの特徴を活かして進化してきたことです。
まとめ
『アルシャーク』は、1991年にライトスタッフが手がけたSFロールプレイングゲームで、広大な宇宙設定、多様な戦闘形式、乗り物や宇宙船などの移動手段を含めたスケールの大きさが魅力です。難易度やシステムのクセも多く、万人向けとは言い難い側面もありますが、レトロゲームファン、SF好き、複数ハード・移植作を追いたい人にとっては非常に価値のある作品です。今もし機会があれば、グラフィック強化版・ボイス付きの移植版を探してみると、より深く楽しめるでしょう。
©1991 ライトスタッフ