アーケード版『スラッシュラリー』(英題:Thrash Rally)は、1991年12月20日にSNKより稼働開始され、開発はアルファ電子工業(後のADK)が担当しました。ジャンルはトップダウンビューのラリーレーシングゲームで、「世界ラリー選手権モード」と「ダカールラリー(ラリーモード)」という2タイプの本格コースが用意されています。
開発背景や技術的な挑戦
Alpha Denshi(アルファ電子)はNeo Geo黎明期に多くのサードパーティタイトルを手がけ、本作もその一環です。MVS基板(MC68000+Z80、YM2610、4096色)を駆使し、トップダウン視点ながら高速な描画と多彩な地形変化(砂地・雪道・舗装路など)を実現し、リアルさへ大きく踏み込みました。
プレイ体験
プレイヤーは6車種からハンドリング・加速・最高速・耐久性の異なるクルマを選びます。世界選手権は複数ステージを連続して走破し、ダカールモードでは一発勝負の長距離コースをクリアします。操作はアクセル・ブレーキ・パワードリフトを使い分ける必要があり、時間制限や地形ごとの差が戦略性を高めます。
評価と再評価
稼働当時はアーケードでも一定の評価を受け、リアル志向のトップダウンラリーゲームとしてのユニークさが注目されました。一方で、派手な演出やグラフィック面では制約も感じられましたが、後年アケアカNEOGEOとして配信されたことで、歴史的重要作としての再評価が進んでいます。
他ジャンル・文化への影響
当時は珍しかったトップダウン型のラリーレースで、後にADKが制作した『Over Top』(1996年)は本作の精神的続編とされ、本作の地形・視点・操作感がそのまま引き継がれています。
リメイクでの進化
現代リメイクでは、HD・3Dマップ化、オンラインタイムアタック/対戦、車種カスタマイズ、視点切替(トップダウン・やや斜め視点など)、難易度・物理演算の調整が進化の鍵となります。さらにコースエディット機能やリプレイ共有機能もあると話題性も高まるでしょう。
まとめ
『スラッシュラリー』はNeo Geo黎明期において、トップダウンビューで本格ラリー体験を実現した意欲作です。簡易視点でありながら地形変化と車両性能の戦略性が楽しめる点は、このジャンルの貴重な先駆者としての価値があります。
© SNK CORPORATION 1991