アーケードゲーム『マリオブラザーズ』は、1983年に任天堂から発売されたアクションゲームです。開発は任天堂R&D1、ディレクターは宮本茂氏と横井軍平氏が務め、特徴的な2人同時プレイやPOWブロックなどを導入しました。
開発背景や技術的な挑戦
『ドンキーコング』の成功を受け、余剰基板を有効活用するために開発された続編的作品です。宮本氏は落下ダメージなしのキャラクター設計を模索し、横井氏の提案で「下からひっくり返す」システムが導入されました。また、マリオの兄弟キャラクター「ルイージ」を登場させるにあたっては、マリオと同じグラフィックを使用し、色だけを変更することで手間を抑える手法が使われました。これは「パレットスワップ」と呼ばれる技術で、同じキャラデザインに別の色を割り当てることで別キャラクターとして表現する工夫です。
プレイ体験
ステージ構成は単一画面で、上下左右にスクロールしながらカニやカメを下から叩いてひっくり返し、蹴り飛ばして倒していきます。POWブロック使用時はエネミー全体がひっくり返る爽快感があり、2人協力プレイでは連携が醍醐味です。一方、ルイージを操作する協力プレイは相互に邪魔し合うこともあり、特に高難易度ステージでは戦略性と緊張感が求められます。
初期の評価と現在の再評価
アーケード稼働当初、北米では約2000台、日本でも人気を博し、アクション性と協力度が高く評価されました。現在では当時のアーケード機が希少となり、レトロゲーム愛好者の間でその完成度が再評価されています。単純ながらプレイヤースキルや協力姿勢を試す設計は、現代のゲームデザインにおいても色あせない価値があります。
他ジャンル・文化への影響
『アーケードアーカイブス』シリーズにも再収録されるなど、ゲーム史における「2D協力アクション」の先駆として影響力が大きく、後のスーパーマリオシリーズの基本要素(コイン、ルイージ、POWブロックなど)の礎を築きました。さらに、格闘ゲームや対戦型アクションの原型とも言える「お邪魔仕様」は、同作以降、数多くの協力/競争型ゲームに影響を与えました。
リメイクでの進化
もし現代に当作がリメイクされるなら、以下の進化が期待できます:
- オンライン協力プレイとローカル対戦モード搭載
- グラフィックは2.5Dまたはハイクオリティ2Dに刷新
- タイムアタックやスコアチャレンジなどの競技要素実装
- ステージエディット機能やカスタマイズ敵出現パターン
- 新要素としてパワーアップやギミックブロック追加
まとめ
『マリオブラザーズ』アーケード版は、1983年という時代において革新的な協力・競争アクションを実現した名作です。宮本茂氏と横井軍平氏の技術的判断や、シンプルながら奥深いゲーム性は、今日のゲームにも通じる普遍的な価値を持っています。リメイクの可能性を含め、その存在感は今も色あせません。
攻略
プレイヤーは、マリオまたはルイージを操作し、地下の配管エリアで次々と現れる敵キャラクターを撃退していきます。敵は土管から出現し、足場を左右に移動しながらプレイヤーに接近してきます。攻撃の基本は、敵のいる床の下からジャンプして床を突き上げて転倒させ、その後、敵が起き上がる前に体当たりすることで撃退するというものです。敵によっては移動速度が速くなったり、ジャンプしたりといった異なる挙動を持っており、ステージが進むごとにそのバリエーションと難易度が増していきます。
また、画面左右の端はつながっており、一方から出たキャラクターは反対側から現れる構造になっています。このループ構造を活用して敵の背後に回ったり、危険を回避したりする立ち回りが求められます。さらに、ステージ中央には「POWブロック」が設置されており、これを叩くとすべての敵を一時的に転倒させることができますが、使用回数には制限があるため、ここぞという場面での使用が重要です。
一定のラウンドをクリアすると、敵の出ないボーナスステージが挿入され、画面内のコインをすべて時間内に回収することで得点を稼ぐことができます。さらに、このゲームは2人同時プレイに対応しており、協力して敵を処理するだけでなく、相手の行動を妨害することも可能です。プレイヤー同士の駆け引きも盛り込まれており、単純ながらも奥深いアクションが楽しめる構成となっています。
ストーリー
本作の舞台は、地中に張り巡らされた配管施設であり、そこに突如出現したモンスターたちを退治するという設定です。
物語の背景では、マリオとルイージはニューヨークの配管工として働いており、地下配管で発生した奇怪な現象に立ち向かうことになります。配管の中では、カメやカニ、ハエといった謎の生物や、火の玉などの危険な存在が次々と現れ、二人は工具も持たず、ジャンプと頭突きのみでこれらの敵を退治していきます。
ゲームシステム
敵キャラクターの撃退システム
アーケード版『マリオブラザーズ』では、敵キャラクターをジャンプで床の下から突き上げることで転倒させ、転倒中に体当たりすると倒すことができます。この「床の下から攻撃する」仕様は、それまでの敵を踏みつける形式とは異なり、戦略的な位置取りが重要となる特徴的なシステムです。
ループステージ構造
本作のステージ構造はループ型になっており、画面の左右端はつながっているため、敵もプレイヤーも一方の端からもう一方にワープするように移動できます。この仕組みにより、敵の動きを先読みした立ち回りや、反対側から奇襲をかけるといったテクニックが活きるようになっています。
パウブロック(POWブロック)
ステージ中央に設置されている「POWブロック」は、プレイヤーが叩くことで全フロアの床を振動させ、すべての敵を一度に転倒させることができます。ただし、使用できる回数には制限があり、通常は3回までです。緊急時の切り札として活用することで、戦況を有利に運べます。
ボーナスステージシステム
一定のラウンドをクリアすると、敵の出現しないボーナスステージが出現します。このステージではコインが画面上に多数配置されており、すべてを制限時間内に集めると追加得点が得られます。アクションの精度とスピードが試される、テクニカルな要素です。
協力と妨害を両立する2人同時プレイ
アーケード版では2人同時プレイが可能で、マリオとルイージを操作して共にステージクリアを目指します。敵の処理を分担して効率的に進める協力プレイができる一方で、相手をジャンプで押し出したり、足場を奪ったりと妨害することも可能です。この競争と協力が入り混じる設計が、白熱したゲームプレイを生み出しています。
敵の種類と進化するパターン
ゲームが進むにつれて出現する敵の種類が増え、それぞれ異なる挙動や特徴を持ちます。たとえば「カメ」は基本的な動きですが、「ファイター・フライ」はジャンプしながら移動し、「氷」は滑りやすい床に関係した挙動を見せます。ラウンドが進むごとに敵の速度や攻撃的な動きが増し、難易度が段階的に上昇します。
スリップ床による滑りシステム
一部のステージでは床に氷のようなスリップ効果が加わり、キャラクターの動きが滑りやすくなります。このスリップ床によって、停止や方向転換が難しくなるため、敵との距離感やタイミングにより慎重な操作が求められます。プレイヤーの技術をさらに試す要素です。
攻略のポイント
本作は、床を下から叩いて敵を転倒させ、上から蹴り落とすという独特の戦闘システムが特徴です。敵には「シェルクリーパー(カメ)」、「サイドステッパー(カニ)」、「ファイターフライ(ハエ)」、そして氷を発生させる「スリッピス」などが登場します。
特に「サイドステッパー」は1回の攻撃では転倒せず、一度目で怒ってスピードが上がるため、素早く2度叩いて無力化する必要があります。また、「ファイターフライ」はジャンプ移動を行うため、着地を狙って床下パンチを繰り出すと効果的です。
「POWブロック」は各プレイヤーに3回の使用権があり、敵が地上にいるタイミングで使用することで全敵をひっくり返せます。ただし、空中にいる敵には無効なため、使用タイミングは慎重に見極めましょう。
戦術
インストラクションカードには、効果的な叩き方として「追い打ち」「正直打ち」「顔面打ち」の3種類が紹介されています。「追い打ち」は逃げる敵を追って下の段に落とす方法、「正直打ち」は敵の真下に潜り込んでタイミング良く止める方法です。「顔面打ち」はカニなど硬い敵に対し、手前で一度止まらせる目的で使います。
また、敵を連続で倒すことでスコアが大幅に増加します。1連で800点、2連で1600点、3連で2400点、4連で3200点と上昇し、効率的に得点を稼ぐには敵の動きを見極め、タイミングを揃えて処理することが重要です。コインは敵を蹴り落とすごとに1枚出現し、最大800点分のスコアが得られます。
2人プレイと連携戦略
『マリオブラザーズ』は2人プレイが非常に楽しい要素の一つです。1人プレイ時はマリオを使用し、2人目がルイージを操作します。インストカードにも「2人で遊べば100人力」とあるように、協力と裏切りのバランスがこのゲームの醍醐味です。
効率的な2人プレイでは、片方が床下攻撃役、もう一方が蹴り落とし担当となる分業制が効果的です。敵をひっくり返した直後に素早く反応できるため、ミスが減り、テンポの良いゲーム進行が可能になります。
ただし、足場の取り合いやアイテムの回収タイミングなど、時には競合する場面もあります。互いの動きを見ながら「協力するか、それとも裏切るか」を選ぶ緊張感が、このゲームを一層盛り上げます。
追加のヒントや裏技
敵を倒す際に、連続して処理することがスコア獲得の鍵です。特に敵の出現を遅らせず、リズム良く倒し続けることで、連続得点が発生しやすくなります。連携プレイでは、片方が敵を引きつけてもう片方が狙うというコンビネーションも有効です。また、ボーナスステージでは敵は出現せず、制限時間内にすべてのコインを回収することが目的となります。上下段を効率的に移動し、時間内にすべてのコインを集めるには事前にルートを決めておくとよいでしょう。
©1983 Nintendo