ゲーム&ウォッチ版『ドンキーコングJR.』鍵で父を救う緊張感あふれる名作アクション

プラットフォーム名『ドンキーコングJR.(Game & Watch)』は、1982年に任天堂が発売した携帯型LCDゲーム機「New Wide Screen」シリーズの第一弾です。任天堂が開発・発売を担当し、アクション・プラットフォームジャンルに分類されます。特徴としては、LCDパネルと直接操作式の十字キー&ジャンプボタンによる、手軽で中毒性の高いプレイ体験が挙げられます。

開発背景や技術的な挑戦

当時、ゲーム&ウォッチはポケットサイズで時計としても使える画期的な携帯ゲーム機として人気を博していました。その新シリーズ「New Wide Screen」は従来のモデルよりも大型で色鮮やかなデザインが特徴です。『ドンキーコングJR.』は、このシリーズ初のタイトルであり、アーケード『ドンキーコングJR.』の主要ストーリー(マリオに捕らわれたドンキーコングを息子が救う)を忠実に移植し、LCDパネルの限られた表現力で手軽な再現を目指すという技術的チャレンジに取り組んでいます。

プレイ体験

プレイヤーはドンキーコングJR.を操作し、ツタを登降して4つの鍵を集め、檻の鍵穴へ差し込むことで父親を救出します。敵としてワニやカラスなどが行く手を阻み、ミス3回でゲームオーバーになる緊張感があります。視覚的にはシンプルながら、タイミングとルート選択が重要で、ゲームBではより高難度なルート制限が加わり、繰り返し遊びたくなる中毒性があります。

初期評価と現代の再評価

当時のレビューは限られていますが、MobyGamesではプレイヤー評価が2.6/5と控えめです。しかし近年のコレクターやレトロゲームファンの間で、その完成度と携帯性、高い操作性が注目され、New Wide Screenシリーズの代表作として評価が上昇しています。

他ジャンル・文化への影響

『ドンキーコングJR.』は、後のゲーム&ウォッチGalleryシリーズ(Game Boy向け)に再収録され、人気復権の一助となっています。さらに他メディアでは、スーパーマリオカートでは鍵を使った攻撃技が登場するなど、同作へのリスペクトが見られます。

リメイクでの進化

もし現代に「New Wide Screen」スタイルでリメイクされるなら、カラーLCD採用やアニメーション、追加ルートやタイムアタックモード、リプレイ機能などが導入され、オリジナルの持ち味を残しつつ遊びと見た目に深みが加わるでしょう。

まとめ

シリーズ初となるNew Wide Screen作品としてLCD表現の限界に挑みながら完成度の高い設計を実現した本作は、携帯アクションゲームとしての歴史に深い足跡を残しています。現在ではレトロゲームファンから高く評価され続けている名作であり、後世の携帯機型アクションゲームにも影響を及ぼした作品といえます。

攻略

プレイヤーは、囚われの父ドンキーコングを助けるために立ち上がったジュニアとなり、ツタを登ったり降りたりしながら、檻の鍵を1つずつ開けていきます。ゲーム画面には、檻に閉じ込められたドンキーコングと、その前で鍵を手に奮闘するジュニアの姿が描かれています。敵として登場するカラスやスナップジョー(ワニ)たちは、一定のパターンで画面内を移動しており、接触するとミスとなります。タイミングよく移動して敵を避けつつ、檻に鍵を差し込む動作を繰り返すことでステージが進行します。右下のマリオはジュニアの行動を妨害するような位置におり、シリーズの中では珍しく敵役として描かれているのも本作の特徴です。

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